提供:ことりっぷ
美食の街として知られる鎌倉のお店は、店構えから提供する食材に至るまで、店主のこだわりが細部にわたってちりばめられています。
とくにカレーは、専門店でなくても隠れた人気メニューになっていることが多く、日本茶専門店や古民家カフェなど、意外なお店で出会うオリジナルカレーもとても魅力的。それぞれの店の個性までも煮込んだかのようです。
長年、鎌倉を取材してきたライターが、本当におすすめしたい6軒をご紹介します。
日本茶専門店の特別メニュー「鎌倉倶楽部 茶寮小町」
カウンターの棚には作家の急須が並ぶ
全国の茶農家から直接仕入れた選りすぐりのお茶が楽しめる「鎌倉倶楽部 茶寮小町」。
カウンターでは店主が丁寧に淹れる玉露や煎茶など、日本茶をはじめとする約30種類ものお茶を味わえます。
急須で淹れるお茶付きの「spiceカレー」(3,000円)
そんな日本茶専門店に、知る人ぞ知るカレーがあります。
ドライカレー風の「spiceカレー」で種類は「辛い」と「辛くない」の2種類。辛さは唐辛子の量で調整し、「辛くない」は、鶏肉とカルダモン、シナモン、ショウガなどに加え、最後に日本茶の茶葉を入れて煮込んでいます。
後味に清涼感が広がる、ここでしか味わえないカレーです。
取材時は釜炒り茶の「嬉野/おくむさし」を選択
このカレーのために作られた、梅花皮(かいらぎ)と呼ばれる模様が特徴の器も趣があり、黒米のごはんに添えられた三浦半島の旬の野菜が彩りを添えます。
茶葉は6グラムを天秤で量る
カレーと一緒に楽しむお茶は、しっかりとした味わいのお茶がおすすめだそう。天秤で重さをはかり、それぞれの茶葉に応じた温度で淹れるお茶は旨味たっぷり。食後も2煎、3煎と楽しんで。
朱塗りの御膳でいただく薬膳カレー「燕カフェ」
静かな住宅街に佇む古民家
築90年の古民家を改装した「燕カフェ」。和室には昔ながらのちゃぶ台や縁側があり、畳の上でのんびりとくつろげます。
古物営業許可を持つオーナーが収集した、江戸時代の薬箪笥や有田焼、九谷焼の器など、貴重な骨董品がセピア色の光を放ちます。
手の込んだ小鉢料理付き「薬膳カレー」(2,000円)
そんな古民家で味わう「薬膳カレー」は、野菜の形がなくなるまで煮込んでトロトロ。
みかんの皮や桂皮、山椒、クローブ、シナモンなどをブレンドした五香粉とショウガも一緒に煮詰め、仕上げに黒ゴマと白ゴマ、クコの実をトッピング。心も体もホッと温まる優しい味わいです。
杏仁豆腐と美人茶をプラスする「薬膳セット」は+500円
カレーにぜひセットして味わいたいのが、自家製の「杏仁豆腐」と「美人茶」。本格的な杏仁豆腐に欠かせない杏仁霜と豆乳を使った、ほんのり甘い香りが漂います。
温かいままいただける心遣いが嬉しい「薬膳茶」
菊花、なつめ、クコの実、はと麦などを使った「美人茶」は数種類あり、日替わりで提供されます。温かいポットから大切に受け継がれてきたカップに注いでいただくとリフレッシュしますよ。
円覚寺からの絶景を眺めて味わう欧風カレー「弁天茶屋 航」
白色の暖簾が目印
北鎌倉の古刹・円覚寺境内の高台に暖簾を掲げる「弁天茶屋 航」は、北鎌倉のフレンチの名店「北鎌倉 航」の姉妹店で、シェフが手がける本格欧風カレーを堪能できます。
開放感あふれる景色を眺めながら、ゆったり過ごせるのも魅力です。
「弁天茶屋 航」からの眺め
お店は、円覚寺の中でも特に見晴らしのいい鐘楼「洪鐘」や弁天堂のすぐ隣。そこまでの道中も古刹らしい趣があります。
鳥居をくぐり、木々に囲まれた風情ある石段を登っていきます。勾配のある石段を登りきった先に広がる北鎌倉の自然と澄んだ空を見渡すと、とても爽快な気分に。
「洪鐘弁天特製カレー」(1,600円)
自然の中でいただくカレーは、フォンドボーがベース。そこに数種類の香味野菜と牛タンを4日間かけてじっくり煮込んだルーは、驚くほどまろやかで、深いコクと優しい味わいが特徴です。
スパイスの香りも豊かで、一口ごとにシェフのこだわりが伝わってきます。
JR北鎌倉駅から徒歩1分の円覚寺
旬の鎌倉野菜が10種類ほど添えられ、赤ワインで炊いたバターライスとの彩りも鮮やか。見た目にも美しい一皿を、ぜひご堪能あれ。
味噌と香味野菜が引き立てる専門店の味「OXYMORON komachi」
シンプルな外観
小町通りから脇道に入った場所にある「OXYMORON komachi(オクシモロン コマチ)」は、カレーと甘いもの、そして素敵な器が揃った人気の専門店です。
店名は「賢い」と「愚か」という相反する意味を持つ言葉に由来していて、その名の通り、辛いカレーと甘いスイーツの両方を楽しめます。
ノスタルジックな雰囲気の店内
定番は「和風キーマカレー」と「エスニックそぼろカレー」、さらに日替わりカレーも加わります。
シンプルでありながら和洋折衷の雰囲気を感じさせる器やカップはファンも多く、販売もしています。
「和風キーマカレー」(1,540円)
スパイスに八丁味噌とゴボウを加えて煮込む「和風キーマカレー」は、和の要素が加わったやや甘めの味わい。青ねぎの風味と、とろりとした半熟卵の黄身がアクセントになり食欲をそそります。
ひと手間かけた漬物や三温糖とシナモンでキャラメリゼしたクルミは、箸休めにも。
「カスタードプリン」(650円)「自家製レモンスカッシュ」(900円)
辛いものの後にはぜひ甘いものを。
開店当初から変わらないレシピで焼く「カスタードプリン」はやや固めで、たまごの風味とバニラビーンズがほのかに香る昔ながらのタイプ。定番のカスタードのほかに季節の味わいも登場します。
スパイスがじんわりと体に染みるカレー「古民家カフェ ユキノシタ」
濡れ縁のある古民家カフェ
鶴岡八幡宮のすぐそばに佇む「古民家カフェ ユキノシタ」。築80年の日本家屋をリノベーションした店内は、茶箪笥や温かい照明など、古き良き風情を残していて、レトロで静かな時間が流れていきます。
「ユキノシタ スパイスカレー」(1,800円)
ヴィーガン素材を使ったメニューが多く、カレーもまた奥深い味わいです。「ユキノシタ スパイスカレー」は、カルダモンなどのスパイスに自家発酵のタマネギ麹や八丁味噌、乾物、野菜を煮込んでいます。
シンプルな見た目とは裏腹に、ピリッとした辛さとコクが口いっぱいに広がります。
「ココナッツミルクカレー」(1,900円)
まろやかな「ココナッツミルクカレー」は、スパイス控えめで甘みのある味わいです。
どちらのカレーにも、レンバイ(鎌倉市農協連即売所)の鎌倉野菜を使った小鉢が添えられるので、地元の素材も味わって。
落ち着いた店内
貴重な自家製はちみつをブレンドした「点心庵」のカレー
大きなお屋敷の食事処「点心庵」の広間
北鎌倉の古刹・建長寺直伝のけんちん汁が名物の食事処「点心庵」は、広々とした座敷の奥には静かな坐禅堂があり、心落ち着く時間が過ごせます。
ここでは、建長寺の山内でスタッフが養蜂した貴重なはちみつを使った「湘南野菜の鎌倉はちみつカレー」が楽しめます。
「湘南野菜の鎌倉はちみつカレー」(1,530円)
ルーはスパイスにチーズと生クリームをブレンドし、緑豊かな北鎌倉の自然がもたらすはちみつを混ぜて煮詰めます。純度100%の透明感のあるはちみつが、カレー独特のヒリヒリとした辛さをまろやかに仕上げる隠し味に。
ローストした地元野菜が添えられ、器は北大路魯山人の窯を継ぐ作家の作品。北鎌倉らしさを五感で感じられます。
自家養蜂のはちみつ
料理を待つ間や食後には、円窓から四季の移り変わりを眺められる坐禅堂で、ゆっくりと心を整えてみてはいかがでしょうか。
坐禅堂にしつらえた円窓
鎌倉でぜひ訪れたい個性豊かなカレーのお店を6軒ご紹介しました。観光の合間に、散策しながら自分好みのカレーを探してみてくださいね。
文:高橋茉弓、写真:高橋茉弓、依田佳子、新井智子
