昨今、旅行やホテルの宿泊プランで注目を集めているのが、食事やドリンク、体験コンテンツなどの料金があらかじめ含まれ、追加料金を気にせず楽しめる「オールインクルーシブ」スタイル。支払いの心配なく、その土地の魅力にどっぷり浸れる心地よさが支持されています。
そんな“インクルーシブ旅”を、都心から電車で約1時間という好アクセスで満喫できるのが、三浦半島を舞台にした「みさきまぐろきっぷ」です。京急線の往復乗車券に加え、指定店舗で味わえるまぐろ料理の食事券、観光施設の利用やお土産と引き換えできる施設利用・お土産券がセットになった、充実度の高いチケット。移動もグルメも体験も、これ1枚で完結します。
食事券の対象となる加盟店舗は30店舗以上、レジャー施設やお土産交換店舗も60以上。計算上の組み合わせは実に300〜600通りにも及びます。選択肢が豊富だからこそ迷ってしまう、という方のために、本記事では「グルメ旅」「女子旅」「冒険旅」の3つのテーマでモデルコースをご提案。三浦・三崎の魅力を余すことなく楽しむ一日へとご案内します。
目次
お得においしく周遊できる「みさきまぐろきっぷ」とは?
「みさきまぐろきっぷ」とは京急(京浜急行電鉄)が提供する、三浦半島の三浦・三崎エリアを1日満喫できるおトクなきっぷのこと。
「電車・バス乗車券」「まぐろまんぷく券(食事券)」「三浦・三崎おもひで券(施設利用・お土産券)」がひとつになっており、コスパの高さや利便性が魅力です。
「まぐろまんぷく券」は、30以上ある加盟店舗の中から好きな1軒を選び、まぐろ料理を味わえる食事券。各店では、きっぷ利用者向けの限定メニューなどが用意されています。
「三浦・三崎おもひで券」は、カフェや観光船、温泉入浴、レンタサイクルなどの施設利用、または加盟店舗でのお土産交換に使える施設利用・お土産券です。
「電車・バス乗車券」には、京急の各駅から「三崎口駅」までの往復が付帯。途中下車もできますが、逆戻りはできません。
さらに、京浜急行バスの三浦・三崎エリアの指定区間を1日自由に乗り降りできます。
たとえば2泊3日で横浜旅行を計画しているなら、そのうち1日を三浦半島への小旅行にあててみるのもおすすめ。京急線「横浜」駅から三崎口駅までの往復に加え、三崎・三浦エリアでの交通費までまるごと含まれているので、移動の負担を気にせず観光に集中できます。
「みさきまぐろきっぷ」の料金は、きっぷの仕様や出発駅などによって異なります。たとえばデジタルきっぷで「品川駅」から乗⾞する場合、3,750円~4,250円(繁忙期などで変動)です。
詳細は公式サイトの料金表で確認してみてください。
なお、磁気乗車券は京急線の各駅(泉岳寺駅、三崎口駅を除く)の自動券売機で当日購入可能。デジタルきっぷはスマートフォン専用サイト「newcal」から事前購入できます。
2026年からは京急プレミアポイントでの購入も可能になり、より便利になりました。
「みさきまぐろきっぷ」の舞台・三浦半島の魅力
三浦半島は神奈川県の南東部に位置し、三崎はその最南端にあるエリアを指します。
なだらかな山や丘が大部分を占めており、平地が少ない「三浦丘陵」と呼ばれる地形です。
海に囲まれた丘陵であるため眺めが良く、富士山などのビュースポットも多数。
野菜栽培に適した環境で、丘の上では至るところで畑が見られます。
特に大根とキャベツは全国でも有数の一大産地で、国指定産地にもなっている地域です。
さらに、この恵まれた地形はまぐろ漁にも最適。
三浦半島南端部のすぐ先には「城ヶ島」という自然島があり、外洋が荒れていても内洋はおだやか。そのため、大きな漁船が停泊しやすく、 明治時代末期よりまぐろ船の基地として定着しました。
1922(大正11)年には、魚市場(現在の通称「みさき魚市場」)が開設されます。
2018(平成30)年 には、世界中の海で獲れたまぐろを、新鮮な状態で水揚げ・保管できる日本初の冷凍まぐろ専用卸売市場「三浦市低温卸売市場」も開業。
日々、季節を問わず400~1000本程度のまぐろが取引されているエリアです。
京急最南端の終着点である「三崎口駅」は、「品川駅」から約65〜70分、「横浜駅」からは約45〜50分で到着します。
駅の看板やホームの駅名標が「三崎マグロ駅 みさきまぐろえき」となっているので、下車時には写真を撮るのをお忘れなく。
「三崎口駅」前のバス停留所から、「みさきまぐろきっぷ」の加盟店が多く集まる、三崎港・城ヶ島方面へ向かうバスは、日中の9〜15時ごろであれば、おおむね5〜10分に1本程度の頻度で運行。
便数が多いため、時刻表を細かく気にしなくても目的地の近くにはスムーズに移動可能です。
1.【グルメ旅】大トロ入りの寿司セットとまぐろ土産で美食三昧
三浦半島のグルメを存分に堪能したい人には、「みさきまぐろきっぷ」を使った美食尽くしの旅がぴったり。
まずは、神奈川県を代表する「回らない」回転寿司店でぜいたくなまぐろ寿司を堪能し、そのあと漁港近くの物産館でお土産を探しましょう。
市場の仲買直営だから味も価格もピカイチ!「廻転寿司 海鮮」
神奈川県の人気寿司店 「廻転寿司 海鮮」。
握りたてを提供するためにあえて回転レーンではなく、手渡しで直接提供する、いわば“回らない”回転寿司。
三崎口駅のひとつ前にある「三浦海岸駅」から徒歩約5分の立地です。
店内に入ると、板場をぐるりと囲むようにカウンター席が配置されていて、右奥にはボックス席も用意されています。
このお店で「みさきまぐろきっぷ」を提示すると、「まぐろ類5貫、地魚等6貫、自家製軍艦1貫」または「地魚寿司(日替り)5種10貫、まぐろの煮物」のいずれかを選べます。
まぐろ類5貫の中には、なんと本まぐろの大トロと中トロが!
そのほか、ビンチョウまぐろトロや、メバチまぐろ赤身、そして三浦市が新ブランドとして打ち出している希少部位「まぐろ茜身(血合い)」のステーキも味わえます。
地魚はその日の仕入れによって異なる点も魅力です。
実は「廻転寿司 海鮮」は三崎魚港の仲買が母体。
まぐろも地魚も中間業者を通さずに直接競り落としているため、鮮度抜群でありながらリーズナブルな価格で提供できるのです。
まぐろ以外のネタも絶品で、板場を見ていると追加であれこれ頼みたくなるかもしれません。
廻転寿司 海鮮
- 住所
- 神奈川県三浦市南下浦町上宮田3372-18
- きっぷ利用可能時間
- 11:00~14:15(L.O)、16:30~19:30(L.O)、土日祝11:00~19:15(L.O)
- 定休日
- 木(祝日の場合は営業し前日休み)、特別休業あり
- アクセス
- 京急久里浜線「三浦海岸駅」から徒歩約5分
- 公式サイト
- 廻転寿司 海鮮
三浦が誇るグルメ天国「うらりマルシェ」でおいしいお土産を探そう
「うらりマルシェ さかな館」は、「三浦・三崎おもひで券」を使ってお土産交換ができるお店のひとつ。
漁港のすぐそばにあり、「三崎口」前のバス乗り場から「三崎港」停留所まで20分前後で到着します。そこから約4分歩くと到着です。
館内には、三崎の冷凍まぐろやまぐろの加工品、獲れたての地魚にご当地グルメなど多彩な商品を扱う12軒がずらり。
各店舗から店員の活気あふれる声が飛び交い、まるで市場のようなにぎわいです。
各店舗に「三浦・三崎おもひで券」で交換できる商品が用意されています。
たとえば魚問屋「さんき」では「まぐろのかまの炙り焼き」または「まぐろのかまの炭火焼き」、「まぐろハム」と交換可能です。
地元で加工された、ご飯のお供やお酒のおつまみにぴったりの一品。
「オーシャン・グロウ」で交換できるのは「まぐろアゴ肉 1キロ」の冷凍品。
水揚げ港だからこそ手に入る、まぐろの希少部位がたっぷり入っています。焼き物、揚げ物、煮物など、活用法は多種多様です。
「うらりマルシェ さかな館」には、「みさきまぐろきっぷ」の対象商品以外にも、目移りしそうなほどのまぐろグルメが満載。
2階には「うらりマルシェ やさい館」もあるので、館内の休憩所で休みながらゆっくりお土産選びを満喫しましょう。
うらりマルシェ さかな館
- 住所
- 神奈川県三浦市三崎5-3-1 うらりマルシェ 1F
- きっぷ利用可能時間
- 月~土9:00~17:00、日7:00~17:00
- 定休日
- なし
- アクセス
- 京急久里浜線「三崎口駅」からバス停「三崎港」下車、徒歩約4分
- 公式サイト
- うらりマルシェ
2.【女子旅】癒やしとスイーツを楽しむまぐろツアーへ
「みさきまぐろきっぷ」を使ったおすすめの女子旅モデルコースは、看板猫がいる食堂と、漁港近くのジェラテリアをめぐるプランです。
食堂は、自然のフォトスポットが多い「城ヶ島」にあるのもポイント。両店ともにアクセスは最寄りが「三崎口駅」で、そこからバスで移動します。
看板猫がいる「かねあ」で、まぐろとしらすのゴージャス丼を
城ヶ島で半世紀以上続く食堂「磯料理 かねあ」。
馴染みの問屋から独自で仕入れる鮮魚のほか、店主自ら乗船して釣った今朝獲れの地魚や生しらす料理などが味わえます。
お店のそばには、数匹の看板猫が。
取材時はキジトラのボノ、三毛猫の宮尾、白茶のハナコがお出迎えしてくれました。
「磯料理 かねあ」の看板猫は、全国的な知名度も高く、毎年産経新聞社から発行される「猫どころカレンダー」のトップを飾ることもあるそう。
晴れた日はお店の近くでひなたぼっこをしていることも多いので、見かけたら呼びかけてみましょう。
「磯料理 かねあ」の「みさきまぐろきっぷ」でいただけるメニューは「厳選‼ まぐろ丼 湘南しらす添え」。
脂が乗ったメバチまぐろ中トロ、赤身、ネギトロ、ビンチョウまぐろがぎっしり並び、旨み満点の釜揚げしらすが彩りを添えます。
店内にはテーブル席と座敷があり、ゆったりくつろげる空間です。
お店のすぐ先は城ヶ島の岬なので、沿岸を散歩してから立ち寄るのも良いですね。
磯料理 かねあ
- 住所
- 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島689
- きっぷ利用可能時間
- 11:00~15:30(L.O)、土日祝10:00~16:00(L.O)
- 定休日
- 不定
- アクセス
- 京急久里浜線「三崎口駅」からバス停「城ヶ島」下車、徒歩約2分
- 公式サイト
- 磯料理 かねあ
人気店がタッグを組んだ至福のデニッシュジェラート「3204 bread&gelato」
「三浦・三崎おもひで券」にはスイーツの加盟店もあり、ジェラテリアの「3204(サンニーゼロヨン) bread&gelato」もそのひとつ。
場所は三崎港の近くで、目の前は港湾の内洋。港のバス停から徒歩3分ほどで到着します。
三浦市の初声町にあるベーカリー「充麦(みつむぎ)」と、鎌倉のビストロ「オシノ」がタッグを組み、2022年にオープンしました。
「みさきまぐろきっぷ」専用のメニューは、「デニッシュコンジェラート+お好きなドリンク」。
デニッシュコンジェラートとは、ジェラートのデニッシュサンドのことで、日本では馴染みのない一品です。
香り高いデニッシュは焼きたてサクサクで、オレンジピールのビターな甘酸っぱさが良いアクセントに。
イタリア・シチリア産のピスタチオが使われたジェラートは、コク深くリッチな風味。
それぞれのおいしさがより引き立つ、ベストな組み合わせです。
3204 bread&gelato
- 住所
- 神奈川県三浦市三崎3-12-10
- きっぷ利用可能時間
- 12:00~17:00(L.O)、土日11:00~17:30(L.O)
※11~1月は12:00~16:30(L.O)、土日11:00~17:00(L.O) - 定休日
- 火、水※公式SNS を要確認
- アクセス
- 京急久里浜線「三崎口駅」からバス停「城ヶ島」下車、徒歩約3分
3.【冒険旅】まぐろ解体ショーと水中観光船で思い出作りを
エンタメ性を重視する人にイチオシのモデルコースが、まぐろの解体ショーを行う飲食店と、水中観光船「にじいろさかな号」による海中探検の組み合わせ。
「にじいろさかな号」は、「うらりマルシェ」前が発着所となっていて、まぐろ料理店からの所要時間は歩いて10分ほどです。
港町散策を兼ねて、のんびりと散歩しながら向かいましょう。
解体ショーを毎朝行うまぐろ料理の有名店「くろば亭」
毎日11:00の開店前に店頭でまぐろカブト(頭部)の解体ショーを行っている「くろば亭本店」。
名物のまぐろは、胃袋、心臓、白子、たまご、ハチ、ノド、骨ズイなど希少部位も活用。
それらを独自のレシピで調理したメニューを提供しています。
仕入れは毎朝その日に獲れた鮮度抜群の魚介を見極め、市場から直接買い付けるのがモットーなのだとか。
地魚と、親しい農家から仕入れた三浦野菜を使い、海と山の旬を届けてくれます。
「みさきまぐろきっぷ」では、4種類の専用メニューを用意。
「まぐろ舟盛定食(茜身焼きorまぐろ唐揚げ付き)」「舟盛り定食」「まぐろ漬けトロ天丼」「まぐろカルビ焼き定食」から選べます。
定番は、まぐろの刺身に三浦の新名物・茜身焼きをセットにした「まぐろ舟盛り定食」。
刺身は中トロ、赤身、ビンチョウ、中落ちと豪華な内容で、茜身焼きは香ばしく力強い旨みが口いっぱいに広がります。
地魚も食べたい人におすすめなのが「舟盛り定食」。
まぐろの赤身と中落ちを含む、7種類ほどの刺身が盛り付けられるぜいたくなメニューです。
まぐろカブトの解体ショーを見るなら、ぜひ開店前に訪れましょう。
店の前には待合所もあるので、早く到着しても安心です。取材時も、早くから人だかりができていました。
時間になると、解体ショーがスタート。解説を交えながら、無駄のない動きで丁寧にすいすいさばいていきます。
目玉や頬肉など各部位の魅力が伝わる語りに引き込まれ、自然と食欲がかき立てられました。
まぐろのカブトを食べてみたい人は、3日前までに予約すれば「カブト焼き」を食べることもできます。(※切符対象外・別料金)
まぐろ好きは要チェックです!
くろば亭本店
- 住所
- 神奈川県三浦市三崎1-9-11
- きっぷ利用可能時間
- 11:00~19:00(L.O)
- 定休日
- 水※その他休あり。詳細は公式サイトを要確認
- アクセス
- 京急久里浜線「三崎口駅」からバス停「日ノ出」下車、徒歩約1分
- 公式サイト
- くろば亭本店
半潜水式の観光船で水中探検「にじいろさかな号」
みさきまぐろきっぷの「三浦・三崎おもひで券」では、観光船「にじいろさかな号」への乗船も可能です。
半潜水式となっている船で、水中の様子を窓から観察できます。
出航時間は朝9:20を第1便として、16:00まで1日計8便(冬季は7便で、最終は15:10)。乗船時間は約40分です。
地上階の客席は、海風を存分に感じられる開放的な空間です。
客席前後の階段から下へ降りた先には、水中階が。
たくさんの窓から海をのぞける展望室になっており、まるで宇宙船のような雰囲気です。
船は東方に向かって戻るコースで、まずは大きなまぐろ船が停まる「花暮岸壁(はなくれがんぺき)」を通り過ぎ、城ヶ島大橋をくぐり抜けて宮川湾を目指します。
魚の観測ポイントである宮川湾に到着すると、乗客がゆっくり鑑賞できるよう船はしばらく停泊。
日によりますが、メジナ、クロダイ、クサフグ、カンパチなどたくさんの魚を見られます。
途中でカモメにエサ(1袋・100円)をあげられたり、沿岸部にはユニークな岩礁の景勝地「八景原(はつけばら)」が見えたりと、水中以外にも注目スポットが盛りだくさんです!
にじいろさかな号
- 住所
- 神奈川県三浦市三崎5-3-1 うらりマルシェ岸壁
- きっぷ利用可能時間
- 9:00からチケット引き換え開始。最終便の出航は16:00(冬季は~15:10)
- 定休日
- 悪天候時は運休。公式サイトを要確認
- アクセス
- 京急久里浜線「三崎口駅」からバス停「三崎港」下車、徒歩約4分
- 公式サイト
- うらり
今回はお得にインクルーシブ旅ができる「みさきまぐろきっぷ」を紹介しましたが、京急には近いエリアで同様の旅ができる「よこすか満喫きっぷ」や「葉山女子旅きっぷ」、さらにすべてを組み合わせた「三浦半島まるごときっぷ」もあります。
周辺にはホテルもさまざまなタイプがそろっているので、泊まりがけでじっくり満喫してみてはいかがでしょうか。
今回紹介したスポットMAP
取材・文/中山 秀明 撮影/三原 久明
