「銭洗弁財天宇賀福神社(ぜにあらいべんざいてん うがふくじんじゃ)」は、神奈川県鎌倉市に位置する由緒ある神社です。「銭洗弁天」の名で親しまれ、「奥宮の霊水でお金を洗って使うと、何倍にもなって返ってくる」という言い伝えがあることから、金運パワースポットとして知られています。
境内には5つの社殿があり、それぞれ異なる神様が祭られています。参拝のポイントや作法をしっかり押さえることで、より深いご利益が期待できますので、ぜひ参考にしてください。
目次
夢のお告げで創建された「銭洗弁財天宇賀福神社」
「銭洗弁財天宇賀福神社」(以下、銭洗弁財天)は、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝によって創建されたと伝えられている神社です。
「戦や飢饉に苦しむ人々を救いたい」と願っていた頼朝は、巳の年の1185(文治元)年、巳の月(12月)、巳の日(約12日に一度の間隔でやってくる吉日のこと)に見た夢の中で、「西北の谷に湧き出す霊水で神仏を供養せよ。天下は泰平になるであろう」というお告げを受けました。
お告げ通りの場所に湧き水を見つけた頼朝は、お社を建てて宇賀福神を祀り、その水で神仏の供養を行いました。これが、銭洗弁財天のはじまりとされています。
その後、頼朝の信仰を受け継いだ鎌倉幕府5代執権・北条時頼が、人々にお社の参拝をすすめたことで、その場所がにぎわいを見せるようになりました。
また、このとき弁財天を信仰する人が、「持っているお金をこの水で清めると、不浄の塵垢が消えて福銭となる」といい、自らのお金を洗って一家繁昌、子孫長久を祈ったといわれています。
それが「銭洗」の由来となり、以来700年以上にわたって、絶えることなく多くの参拝者が訪れるようになりました。
「銭洗弁財天宇賀福神社」へのアクセス
銭洗弁財天の最寄り駅は、JR「鎌倉駅」です。駅に着いたら西口を出てロータリーを抜け、市役所通りに続く道を真っすぐ進みます。銭洗弁財天までの道のりは徒歩約20分。最初のうちは歩道が少し狭いので、注意して歩きましょう。
鎌倉市役所の前を通り過ぎると見える「佐助一丁目」の交差点を右に曲がります。
駅からは少し離れていますが、鎌倉の豊かな自然を満喫できる道のりです。銭新弁財天の入口手前は少し傾斜のある坂道になっているので、履きなれた靴で行くことをおすすめします。
近くの「源氏山公園」には、銭洗弁財天にゆかりの深い源頼朝像もあるので、合わせて訪れてみるのもいいですね。
岩肌を削ってつくられた荘厳な入口
豊かな葉が生い茂る木々をくぐり抜け、高台へ続く坂道を上っていくと、銭洗弁財天の入口が現れます。岩肌をくりぬいて作られており、まるで別世界に足を踏み入れたような雰囲気。
週末など参詣者の多い日には、入口にあるちょうちんに明かりが灯されます。
銭洗弁財天の見どころのひとつトンネル
入口の鳥居をくぐった先には、岩のトンネルが。長さは数メートルほどですが、ひんやりとした静かな空気が流れており、心地よさを感じられます。実はこのトンネル、実は昭和に入ってからつくられた新しい入口なのだそう。
正式な表参道は境内の奥にあり、そちらは近隣の「佐助稲荷神社」へ出られる道に続いています。現在も表参道は利用可能で、ここから銭洗弁財天へ入場することもできますが、途中に狭い山道があり通りづらいので、トンネルから入る方がベターです。
まずは社務所で、線香とろうそくを購入
参道を抜けると右手に社務所があるので、まずはこちらに立ち寄りましょう。
ろうそくと線香をセット(200円)で購入し、お金を入れて洗うためのざるを借ります。これで、参拝の準備が整いました。
ちなみに社務所には、お守りやおみくじ、お清めの塩など、ほかにもさまざまなものが置いてあります。
中でも目を引いたのは「銭亀」(1,200円)。長寿と金運の象徴とされるかわいらしい銭亀が木箱に入っています。財運を高めたい場所に置くとご利益があるそうなので、金庫や財布などのそばに置いておくといいかもしれませんね。
ろうそくは燭台、線香は香炉へ
社務所の隣にある燭台に、灯明(とうみょう)をあげます。燭台には、火の灯された大きなろうそくがあるので、そこから購入したろうそくに火をうつして、燭台に置きましょう。そのあと続けて、線香にも火をつけます。
線香は点火が穏やかなので、長く火にあて続けてしまう人がいますが、まわりが白くなればOK。中心は燃えていなくても大丈夫です。線香に火がついたら、香炉の灰に立てましょう。
水の神・市杵島姫命(イチキシマヒメノミコト)を参拝
銭洗弁財天には5つの社があり、本社には主祭神の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が祀られています。古事記や日本神話にも登場する神様であり、水を司る存在として知られている神様です。
神仏習合(神道と仏教の融合)の影響から七福神の「弁財天」と同一視されるようになりました。音楽や弁舌などの芸能に関するご利益があるとされています。
社殿には、ほかの神社ではなかなか見られない「奉納卵入れケース」が設置されていました。これは、銭洗弁財天が巳(蛇)と深い縁があることで生卵をお供えする風習があるからなんだそう。生卵は売店や茶屋で購入し、奉納することができます。ケースはほかの社にも置かれているのでチェックしてみてください。
奥宮でお金を洗ってみよう!
境内の奥にある奥宮に着いたら、ここでお金を洗ってみましょう。岩を掘ってつくられた奥宮は天井の高い洞窟になっており、右手にはお社、正面には鎌倉五名水のひとつ「銭洗水」が流れています。
千羽鶴やひょうたん、たくさんの鳥居などが奉納されており、神秘的な雰囲気に満ちた空間です。
お金を洗うためのひしゃくが並べられているので、ひとつ手に取って、社務所で借りたざるに自分のお金を入れ、水をかけます。
小銭は全体を濡らしても良いですが、お札ははじに少し水をかけるだけで十分です。というのも、洗ったお金は水気をふきとってからお財布に戻すので、紙のお札を濡らしすぎると、やぶれてしまう可能性があるからです。
洗ったお金は福銭となるため、しっかり使い切ることでご利益が巡ってくるといわれています。その後のお金の使い道にあれこれ考えを巡らせることができるのも、銭洗弁財天ならではの特別な楽しみですね。
上之水神宮(かみのすいじんぐう)
社務所と本社の間にある階段を上った先にあるのは、境内上手から湧き出る水を祭神とする「上之水神宮(かみのすいじんぐう)」。奥まった場所にあるため、つい見過ごしてしまいそうになりますが、豊かな緑に包まれた独特の雰囲気を味わうことができます。ぜひこちらにも足を運んで、お参りしてみてください。
下之水神宮(しものすいじんぐう)
上之水神宮への参拝を終えたら、右手にある階段を下りましょう。すると今度は、境内の下手から湧き出す水を祭神とする「下之水神宮(しものすいじんぐう)が現れます。
湧き水をたたえた池と、その上にかかる美しい赤い橋がとても印象的です。お参りの際に、岩肌から生えている美しい苔や、多様な植物にも注目してみてください。
七福神社
下之水神宮の隣にあるのは「七福神社」。大黒天・恵比寿天・毘沙門天・弁財天・布袋尊・福禄寿・寿老人の七福神が祀られており、福徳円満、商売繁盛のご利益があるといわれています。
七福神社の周辺には、おみくじ掛けや、絵馬掛所(えまかけどころ)もあります。社務所で引いたおみくじや授かった絵馬はここに掛けましょう。
龍神様の神水で占う「水おみくじ」
銭洗弁財天には、ちょっとユニークなおみくじが。龍神様が神水で運勢を占ってくれる「水おみくじ」です。
やり方は簡単で、社務所で専用のおみくじ(200円)を入手して、本社のうしろにある龍神様の水に浸すだけ。すると、段々運勢の書かれた文字が浮き上がってきます。水にゆかりのある銭洗弁財天ならではのおみくじなので、ぜひ試してみてください。
最後は「弁天茶屋」でゆったりとしたひとときを
境内には、「弁天茶屋」もあります。店内には囲炉裏があり、ほっとする空間で煎茶やおだんごをゆっくりと味わえるお店です。
店先では、「三福だんご」(500円)が香ばしくあぶられていました。だんごはみたらし、特製しょうゆ、くるみ入り味噌の3つの味が楽しめます。
おすすめは「深蒸し煎茶」(600円)。香り高い煎茶とかりんとうがセットになったメニューです。
最初に淹れる一煎目は風味が豊かで、ビタミンCがたっぷり入っているのだとか。確かに、味は濃いのに渋みは一切なく、普段飲むお茶とはまったく違う驚くようなおいしさでした。最後の一滴までしっかり入れることがコツだそうです。
お湯は何杯でもおかわり自由なので、二煎、三煎、四煎と、風味の違いを長く楽しむことができます。夏の暑いときなどには、「弁天冷茶」(600円)もおすすめです。
鎌倉の自然豊かな山間にひっそりとたたずむ「銭洗弁財天 宇賀福神社」。金運祈願の魅力と、神秘的な雰囲気に包まれた魅力的なスポットです。参拝を通じて、心身が浄化されるような感覚を味わうことができました。周辺には源氏山公園や佐助稲荷神社といった名所も点在していますので、鎌倉観光の際にはぜひ立ち寄ってみてください。
銭洗弁財天宇賀福神社
- 住所
- 神奈川県鎌倉市佐助2-25-16
- 参拝時間
- 8:00~16:30(入場は16:00まで)
- 定休日
- なし
- アクセス
- JR「鎌倉駅」から徒歩約20分
取材・文/馬渕 祥子 撮影/三原 久明
