雄大な自然をより感じられる北海道の冬。東部に位置する阿寒エリアでは、雪原を歩きながら自然と語り合ったり、氷上でのワカサギ釣りやスノーモービルを体験できたりするなど、冬ならではのアクティビティが満載です。さらに、温泉で体を温めつつ、澄み切った空気の中で舞うタンチョウの優雅な姿も堪能できます。 都会の喧騒を忘れ、心からリフレッシュできる阿寒の冬をご紹介します。
目次
阿寒湖へのアクセス
阿寒エリアを旅するなら、釧路市北部に位置する阿寒湖は外せません。手つかずの自然が残る阿寒摩周国立公園内にあり、ミネラル豊富な湖は特別天然記念物であるマリモの貴重な住み家です。四季折々で豊かな自然が風景を鮮やかに彩り、湖が凍る冬は澄みきった青と白に染まった絶景が広がります。
阿寒湖へ車で向かう場合、たんちょう釧路空港からは約60分、JR釧路駅からは約90分。公共交通機関を利用するのであれば、バスが便利です。釧路駅や釧路空港から、湖のすぐ近くの「阿寒湖バスセンター」行きの路線バスが1日数本出ています。「阿寒湖バスセンター」は旭川や北見に向かう高速バス、知床や摩周湖を巡る観光バスにも乗れるので、ここを阿寒エリア観光の拠点にするのがおすすめです。
釧路空港への直行便があるのは、羽田空港と新千歳空港、札幌丘珠空港。同じ道内でも国内線があることに、改めて北海道の大きさに気付かされます。
阿寒地域の自然について学べる「阿寒湖畔ビジターセンター」
「阿寒湖バスセンター」に着いたら、阿寒湖温泉街にある「阿寒湖畔ビジターセンター」へ向かいましょう。
こちらでは、阿寒地域の自然や動植物などが展示・解説されています。
なかでも水槽展示されている天然マリモは必見です! 冬の時期、阿寒湖のマリモを見られるのはここだけ。
阿寒湖のマリモは成長すると直径15センチメートルを超え、最大で約30センチメートルにもなるのだとか。初めてこんなに大きなマリモの存在を知り、自然の神秘に引き込まれます。
「阿寒湖畔ビジターセンター」は入場料が無料で、カフェスペースも併設。自然に触れるイベントやガイドなども年間を通じて実施しており、冬はスノーシューを履いてのハイキングも行っています。
ビジターセンターの裏にあるボッケ遊歩道を、ガイドと一緒に歩く「ボッケ自然ガイド」(有料)も人気です。
阿寒湖畔ビジターセンター
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉1-1-1
- 開館時間
- 9:00~17:00
- 休館日
- 火曜日(祝日の場合は翌日休館)
- 料金
- 入館無料
[ボッケ自然ガイド]大人(中学生以上)2,000円、小学生1,000円、小学生未満無料(大人1名の場合4,000円)
※ガイド不在の場合もあるため、事前に電話で要確認
※スノーシュー等のレンタルは別途有料 - アクセス
- 阿寒湖バスセンターより徒歩約10分
- 公式サイト
- 阿寒湖畔ビジターセンター
自然現象を間近で感じる「ボッケ遊歩道」
「阿寒湖畔ビジターセンター」のすぐ裏には、気軽に阿寒湖の自然を満喫できる「ボッケ遊歩道」が整備されています。
樹木に囲まれた小道ではアカゲラやシマエナガといった野鳥だけでなく、エゾシカを間近で見られることも。静けさの中、森の声に耳をすませてみることで心身ともにリフレッシュできそうです。
「阿寒湖畔ビジターセンター」から10分ほど歩くと、遊歩道の名前にもなっているボッケに到着です。
「ボッケ」はアイヌ語で「煮え立つ」を意味する「ポフケ」が由来で、その名の通り、高熱の火山ガスがボコボコと地中から噴き出しています。
じーっと眺めていると、勢いよく泥が弾け飛びます。蒸気がもくもくと立ち上る様子に、地球のエネルギーを感じますね。
ボッケの先にある展望台は、阿寒湖を一望できる絶好のスポットになっています。
阿寒湖では1~2月の期間、雪が積もっていないこと、マイナス15度以下になること、風がほとんどないことを条件に、氷の結晶が湖面に集まるフロストフラワーが見られることも。”霜の花”が陽の光できらきらと輝き、まるでガラス細工のようです。
フロストフラワーは結氷した湖面が溶け、その時に生じる水蒸気が凍ることで発生します。阿寒湖では温泉が湖の底から湧き出ているため、冬でも完全に湖面が凍ることはありません。湯壺という温泉が湧き出ているスポットでは薄い氷が張ったり、融けたりを繰り返すので、3月上旬頃までフロストフラワーを見ることができます。
ただし、氷が薄い場所も多いため、観光ガイドと一緒に見に行くようにしましょう。
アクティビティ満載の阿寒湖
眺めるだけでなく、普段なら歩けない湖の上でさまざまなアクティビティを楽しめるのも、冬の阿寒湖の魅力です。
1~3月にオープンする冬限定のレジャーランド「あいすランド阿寒」では、さまざまなアクティビティが楽しめます。氷上を自分で運転しながら疾走するスノーモービルは、爽快感抜群! 四輪バギーは小学生から乗車できます。
そして、ここで外せないのが天然わかさぎ釣りです。道具はすべてレンタルでき、あとはテントの中でゆっくりと待つだけ。釣ったわかさぎはすぐに天ぷらで味わえます。冬のわかさぎは苦味が少なく、自分で釣ったのならおいしさもひとしお! もし釣れなくても、天ぷらはもらえるのでご安心を。
あいすランド阿寒
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-5-10
- 料金
- [天然わかさぎ釣り]1セット(釣具一式、遊漁料込)/2,200円ほか
※8:00から日没まで、天ぷらサービス付
[スノーモービル]2,000メートルコース/2,200円ほか
[四輪バギー]コース1周(300メートル)/大人330円、小学生220円 - アクセス
- 阿寒湖バスセンターより徒歩約9分
- 公式サイト
- あいすランド阿寒
冷えた身体を温めるなら「ウレ・カリプ」へ
遊歩道を歩いて身体が冷えてきたなと感じたら、温泉街にある阿寒湖まりも足湯「ウレ・カリプ」へ。アイヌ語で「足」を意味する「ウレ」と、「輪」を意味する「カリプ」を組み合わせて名づけられたスポットで、人々がここに集まり、つながる場所になってほしいという願いが込められています。
大きな足湯にはテーブルだけでなくWi-Fiも完備。温泉街のお店でテイクアウトしたものを食べたり、次の観光プランを立てたりするのにも絶好の場所です。源泉かけ流しの居心地の良さに、思わず長居してしまいそう。
タイツを履いている場合など足湯に入れない人のために手湯も設けられていて、誰もが温泉を堪能できる憩いの場になっています。
阿寒湖まりも足湯「ウレ・カリプ」
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉1-4−25
- 営業時間
- 24時間営業
- 料金
- 無料
- アクセス
- 阿寒湖バスセンターより徒歩約5分
ランチは「奈辺久」でワカサギを堪能!
温泉街には宿泊施設や飲食店なども充実。郷土料理のお店「奈辺久(なべきゅう)」では、定食、丼もの、そばなどが楽しめます。
八割のそばは手打ちでコシがあり、濃いめのだしが冷えた身体に沁みわたります。そのほか、もちろん阿寒湖名物ワカサギも。カラッと揚がった天ぷらは、ふっくらとしたワカサギの旨みが口の中に広がり、箸が止まらないおいしさでした。
郷土料理 奈辺久
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-4-1
- 営業時間
- 11:00~15:00/18:00~21:00(ディナーの営業は土・日のみ)
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 阿寒湖バスセンターより徒歩約9分
アイヌ文化を体験できる「阿寒湖アイヌコタン」
温泉街の一角には、大きなフクロウが見守る観光スポット「阿寒湖アイヌコタン」があります。北海道の先住民族であるアイヌの生活や歴史、文化に触れられる国内有数のコタン(集落)で、今でも約120人が暮らしながら伝統的な刺しゅうや木彫り細工などを制作、販売しています。
約20軒のお店が集まっており、お土産を購入したり、ジビエ料理を味わったりできます。どこに行こうか迷ったら、入口に近い「アイヌアートギャラリー コタン屋」へ。各店で販売中の作品なども紹介されていて、ここでお気に入りを見つけてからお目当てのお店に行くという方法も。
さらに、奥にはアイヌ民族の暮らしぶりが展示・再現されている「生活記念館ポンチセ」や、アイヌ民族舞踊専門の劇場「阿寒湖アイヌシアター イコロ」があります。古式舞踊だけでなく、現代舞踊とデジタルアートを組み合わせた演目も上演され、目の前で繰り広げられる舞踊は迫力満点! アイヌ文化の世界観に圧倒されます。
冬季は夜の演目が中心なので、阿寒湖温泉に宿泊して幻想的な夜の温泉街を満喫しながら見に行くと、雰囲気も倍増です。
阿寒湖アイヌコタン
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-19
- 営業時間
- 店舗、施設によって異なる
- 料金
- 入場無料
- アクセス
- 阿寒湖バスセンターより徒歩約15分
- 公式サイト
- 阿寒湖アイヌコタン
タンチョウの生息地・鶴居村
阿寒湖の南に位置する鶴居村(つるいむら)ではその名の通り、1年を通じてタンチョウを見ることができます。特に冬になると給餌場に多くのタンチョウが集まり、その美しい姿を一目見ようと愛好家たちが国内外から訪れます。
タンチョウの二大給餌場のひとつ「鶴見台」では、11月下旬から3月中旬頃まで、9時頃と13~14時頃の1日2回給餌が行われ、最大200羽近いタンチョウが集まります。
鶴見台
- 住所
- 北海道阿寒郡鶴居村下雪裡
- アクセス
- 【車】阿寒湖バスセンターより約55分、JR釧路駅より約35分
「鶴見台」から車で約10分の「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」でも1日2回の給餌があり、冬期はこちらでも多くのタンチョウを見ることができます。ネイチャーセンターも併設していて、スタッフが観察や撮影のポイントも教えてくれ、地域全体からタンチョウへの愛の深さが感じられます。
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
- 住所
- 北海道阿寒郡鶴居村中雪裡南
- アクセス
- 【車】阿寒湖バスセンターより約60分、JR釧路駅より約45分
一時は絶滅したと考えられていたタンチョウですが、実は釧路で再発見されたことで頭数は回復。午前中の方が餌を求めに多くのタンチョウが集まりますが、寝床に帰る際に夕暮れの空に向かって一斉に羽ばたく瞬間も神秘的。すらーっと伸びた身体は凛々しく、雪原に良く映えます。
帰路に立ち寄りたい「道の駅 阿寒丹頂の里 クレインズテラス」
阿寒湖や鶴居村から釧路駅や釧路空港へ戻る際、ぜひ立ち寄りたいのが「道の駅 阿寒丹頂の里 クレインズテラス」です。
釧路の情報が集まる観光案内所のほか、タンチョウやマリモに関連する商品など釧路ならではのお土産も充実。隣接する「阿寒マルシェ」では、地元産の農産物や加工食品も購入できます。
敷地内にはタンチョウの生態や保護活動に関する資料を展示する「阿寒国際ツルセンター [グルス]」や、かけ流し天然温泉が人気の宿泊施設「赤いベレー」も。日帰り温泉としても利用できるので、旅の余韻に浸りながらゆっくりと時間を過ごすのにぴったりです。
道の駅 阿寒丹頂の里 クレインズテラス
- 住所
- 北海道釧路市阿寒町上阿寒23-36-1
- 営業時間
- 10~4月/9:00~17:00、5~9月/9:00~18:00
※4月29日、30日は9:00〜18:00 - アクセス
- 【車】たんちょう釧路空港より約25分、JR釧路駅より約43分
- 公式サイト
- 道の駅 阿寒丹頂の里 クレインズテラス
木々の葉が落ちた冬の北海道は地平線の遥か先まで見通せて、その雄大さがいっそう感じられます。降り積もる雪は寒さも音も吸収し、まるで時が止まったかのよう。そのおかげで五感が研ぎ澄まされ、ボッケが放つ音や生きものの息吹をより身近に感じ取れます。人間も自然の一部。アイヌの言葉が響く、阿寒湖の冬は魅力的です。
取材・文/浅井みら野 撮影/岡村智明
