ツツジやシャクナゲのおすすめスポットを紹介
桜の花びらが落ち、春が終わりに近づきはじめると、ツツジやシャクナゲの季節がやってきます。そこで、奈良出身の写真家・高橋良典さんが地元のおすすめ花スポットを紹介。美しい風景を切り取るための、撮影テクニックとともに解説します。
写真家
高橋 良典(たかはし よしのり)さん
1970年、奈良県生まれ。2000年にフリーの写真家として独立し、写真事務所「フォト春日」を設立。風景写真を中心とした作品をカレンダー・観光ポスター等へ提供。また、写真雑誌や出版物への写真提供および原稿執筆を行う。生まれ育った奈良県の魅力と、国内各地にて自然の中に潜む「何か」のすみかをテーマに撮影を続けている。
(公社)日本写真家協会会員・日本風景写真家協会会員・奈良県美術人協会会員
目次
おすすめの絶景スポット【1】室生寺
室生寺(むろうじ)と言えば、数々の写真家に愛されたお寺としても有名。屋外にあるものとしては日本最小の五重塔をシャクナゲが彩る様子は、象徴的な風景と言えます。撮影におすすめなのは雨の日。木々や花、石段などがしっとりと濡れることで重厚感が増します。
風景撮影でよく使用するPLフィルターで雨の反射を抑えると、落ち着いた雰囲気に仕上がりますが、すべての反射を取るのではなく少し効果を弱めて若干のテカリを残せば、みずみずしく描くことができます。ぜひ試してみてくださいね。
雨の日は暗いので三脚を使用するのが理想ですが、参拝者の邪魔にならないよう注意しましょう。昼間は混雑するので、拝観時間に合わせて早めに訪れるのがベストです。
室生寺
- 住所
- 奈良県宇陀市室生78
- シャクナゲの見頃
- 例年4月下旬~5月上旬
- 拝観時間
- 8:30~17:00
※12/1~3/31は9:00~16:00 - 入山料
- 大人600円、子ども400円
- アクセス
- 【電車】近鉄「室生口大野」駅よりバス約15分、「室生寺前」バス停下車、徒歩約5分
【車】名阪国道「針」ICより約30分 - 公式サイト
- 女人高野 室生寺
おすすめの絶景スポット【2】弁財天石楠花の丘
金刀比羅神社への長い階段を上ると、境内に1万本の石楠花(シャクナゲ)が現れます。境内は周回できるようになっており、見上げたり見下ろしたりしてアングルに変化がつけられるので、長時間撮影していても飽きることがありません。森の中にあるため晴れでも曇りでも光の強弱がつけやすく、撮りやすいでしょう。
写真は晴れの日の夕刻、シャクナゲが日陰になったタイミングで撮影。あえて青味の光の色を残すよう、ホワイトバランスは太陽光のままにしています。室生寺同様にしっとりとした雨の日もおすすめですが、滑りやすいので注意が必要です。
ところで、雨天時の撮影はカメラが濡れることが気になってしまいますよね? 雨が降っている時、私はよほどの大雨でない限り、厚手のタオルを1枚カメラにかけて撮影しています。ビニール袋などをかぶせるのも良いのですが、外す時に大きな水滴がカメラに落ちないように気を付けましょう。
弁財天石楠花の丘
- 住所
- 奈良県宇陀市室生田口元上田口
- シャクナゲの見頃
- 例年4月下旬~5月中旬
- 開山時間
- 8:00~17:00
- 入山料
- 500円
- アクセス
- 【電車】近鉄「榛原」駅よりバス約20分、「弁財天」バス停下車、徒歩約5分
【車】名阪国道「針」ICより約30分
おすすめの絶景スポット【3】鳥見山公園
標高735メートルの鳥見山(とりみやま)の中腹に公園が広がります。ツツジが咲く季節は新緑も美しく、撮影しながら森林浴の気分が味わえますよ。標高が高いため霧や雲海が発生しやすく、時に幻想的な雰囲気に包まれます。
ツツジの赤色を鮮やかに描くため、PLフィルターをしっかりと活用しましょう。初夏だけでなく、秋の紅葉時期も美しくおすすめです。公園までの道が狭いので、対向車に注意しながらゆっくりと上がってくださいね。
鳥見山公園
- 住所
- 奈良県宇陀市榛原元萩原2741
- ツツジの見頃
- 例年4月下旬~5月中旬
- 料金
- 入園無料
- アクセス
- 【電車】近鉄「榛原」駅より徒歩約60分、またはタクシーで約10分
【車】名阪国道「針」ICより約20分 - 詳細
- 宇陀市榛原鳥見山公園
おすすめの絶景スポット【4】長岳寺
「関西花の寺二十五カ所」の一つである長岳寺(ちょうがくじ)では、たくさんの花を楽しむことができます。桜が花びらをすっかり落とす頃にツツジが咲き始め、境内を彩ります。木はかなり大きくボリューム感があり、見ごたえ抜群です。
この写真では、F11まで絞って手前の花から奥の門まで、しっかりとピントを合わせて撮影しています。ツツジの丸みと立体感、そして道の奥行きが感じられるよう、弱い陰影が付く光線を選びました。
ツツジと入れ替わりで咲くのがカキツバタ。新緑とのコラボが美しくマッチします。池に映るその姿は涼しげで爽やか。水面に近い、低めの位置にカメラを構えると、映り込みがより印象的になるので試してみましょう。
長岳寺を訪れた際、時間が許すようなら日本最古の道と言われる「山の辺の道」を歩いてみましょう。アップダウンの少ない道で、長岳寺から大神神社(おおみわじんじゃ)まで約4.5キロメートル。普通に歩けば1時間ほどの道のりですが、カメラを持って撮影しながら歩くと思いのほか時間がかかるもの。時間に余裕を持って動きましょう。
道中は田園が広がり、いたる所から大神神社のご神体である三輪山を望むことができます。フットワーク軽く動くためには高倍率ズームが便利ですが、あえてフルサイズ換算35mm~50mm前後の開放F値が明るい単焦点レンズ1本で割り切り、身軽なスナップ撮影をするのも楽しいですよ。
長岳寺
- 住所
- 奈良県天理市柳本町508
- 花の見頃
- [ツツジ]例年4月中旬~下旬
[カキツバタ]例年5月上旬~中旬 - 拝観時間
- 9:00~17:00
- 拝観料
- 大人400円、大学生・高校生 350円、中学生300円、小学生250円、小学生未満無料
- アクセス
- 【電車】JR「柳本」駅より徒歩約20分
【車】西名阪自動車道「天理」ICより約15分 - 公式サイト
- 長岳寺
おすすめの絶景スポット【5】葛城山
「一目百万本」とも言われるツツジの大群落が広がります。見渡す限り真っ赤なじゅうたんが広がる圧巻の風景は、青空がきれいな晴天の日がおすすめ。順光で撮影すると鮮やかさに欠けてしまうので、サイド光や半逆光でアプローチすることを意識しましょう。
青空とツツジのコントラストを描くには、PLフィルターが必須。ロープウェイで手軽に訪れることができますが、関西屈指の名所なだけに、特に休日は混雑が予想されます。早めの時間帯の行動を心がけましょう。
葛城山
- 住所
- 奈良県御所市櫛羅
- ツツジの見頃
- 例年4月下旬~5月中旬
- アクセス
- 【電車】近鉄「御所」駅よりバス約15分、「葛城ロープウェイ前」バス停下車、葛城山ロープウェイ「葛城登山口」駅より約6分、「葛城山上」駅下車
【車】南阪奈道路「葛城」ICより約20分(山麓駐車場まで) - 詳細
- 葛城山
おすすめの絶景スポット【6】馬見丘陵公園
四季を通して花が楽しめる馬見丘陵公園(うまみきゅうりょうこうえん)。園内は広く、北、中央、南エリアに分かれており、5月は南エリアでポピーが楽しめます。超広角レンズを使って、その広がりを描いてみましょう。
ポイントはなるべく花畑に近寄り、画角の広い部分を使うことですが、畑には踏み入らないよう注意! たとえ三脚の脚1本でも入ってはいけません。自分1人くらいは…と思っても、みんながそうしてしまうとどんどん花が傷ついてしまいます。
被写体に近づくほどピントがシビアになりますので、しっかりと絞って適切な位置(一番手前より心持ち奥が目安)にピントを合わせましょう。撮影後に手前から奥までシャープに写っているかどうか、画像を拡大しての確認は必須です。
馬見丘陵公園
- 住所
- 奈良県北葛城郡河合町佐味田2202
- ポピーの見頃
- 例年5月上旬~中旬
- 料金
- 入園無料
- アクセス
- 【電車】近鉄「五位堂」駅よりバス約15分、「馬見丘陵公園」バス停下車、ポピー畑の南エリアまで徒歩約15分
【車】西名阪自動車道「法隆寺」ICより約10分(南エリア駐車場まで)
おすすめの絶景スポット【7】大台ヶ原
日本百名山に数えられる大台ヶ原(おおだいがはら)は、海抜1,500~1,700メートルほどの高地にありながら、起伏がゆるやかなため気軽にトレッキングを楽しめます。靴や服装などの装備を整えて入山する必要がありますが、しっかりと整備された東大台コースはトレッキング初心者にもおすすめです。
シャクナゲが楽しめる場所は何か所かあるのですが、大蛇嵓(だいじゃぐら)への分岐点の前後、そして分岐から大蛇嵓までの道中がわかりやすいでしょう(駐車場から徒歩1時間弱)。たくましくも可憐な自生のシャクナゲに魅了されるはずです。
晴れの日も良いのですが、写真撮影では幻想的な霧がおすすめ。雨に重なることも多いので、傘だけでなく両手が使えるようレインウェアの準備とカメラを濡らさないような対策が必要です。霧に覆われた森の中は思いのほか暗く、絞り込んで撮影するとシャッタースピードが極端に遅くなってしまうため、三脚の使用がベスト。奥行き感が出るよう、木々の配置を考えて左右のカメラ位置を決めましょう。
大台ヶ原
- 住所
- 奈良県吉野郡上北山村
- シャクナゲの見頃
- 例年5月中旬
- アクセス
- 【電車】近鉄「大和八木」駅よりバス約2時間、「大台ケ原」バス停下車、(大蛇嵓分岐周辺まで)徒歩約1時間
【車】名阪国道「針」ICより約2時間(駐車場まで)
撮影・文/高橋 良典
