提供:ことりっぷ
洛北の玄関口にあたる一乗寺エリア。曼殊院道は、界隈の高野川から曼殊院までの約2・3㎞を、商店街や住宅地をぬうようにして結びます。
後編でご紹介する一乗寺駅付近は地元の商店街になっており、そのなかにわざわざ遠くから足を運ぶ人もいるという名店が潜んでいます。その代表格が恵文社一乗寺店。「世界で一番美しい本屋10」に日本で唯一選ばれたという書店です。
ほかにも個性あるスイーツや、デザインショップが曼殊院道に並びます。紅葉さんぽの帰りに、ふらりと立ち寄ってみましょう。

読書の秋にこそ行きたい 世界が恋する美しい書店「恵文社一乗寺店」

静かなBGM、少し落とした照明、アンティーク家具が異国情緒を漂わす店内。2010年の英紙ガーディアンが発表する「世界で一番美しい本屋10」に選ばれた「恵文社」が“他とは違う町の本屋さん”を目指し開店したのは1975(昭和50)年のこと。一乗寺を選んだのは「わざわざ足を運んで欲しい」からだそう。
アンティークの棚やテーブルに並ぶ本。書店というには美し過ぎるシンボリックな空間は幻想文学のコーナー
本はテーマのつながりや流れを考えてレイアウトされており、自分に響く棚を見つけたり、予想外の本との出会いがあるのが楽しいです。

インテリアは、照明をはじめ本棚やテーブルもアンティーク。思わず見惚れてしまいそう。
星月夜工房「豆本」1,000円~。リトルプレスのコーナーは他で見かけることのない本に出会える
誰もが味わえる体にやさしい アフタヌーンティー「むしやしない」
むしやしないとは、京言葉で小腹を満たしてくれるちょっとしたモノの意味
グルテンフリー&ヴィーガン対応のパティスリー「むしやしない」。
オーナーのうのゆきこさんは、16年前に23種の食物アレルギーを持つ男の子のために試行錯誤を繰り返し、米粉、豆乳、果物と野菜から作るミラクルケーキを考案しました。
和風アフタヌーンティーの花こふれ 6,000円(要予約)
アフタヌーンティーは、タルトやムース、白玉などの和洋菓子、おばんざいや豆乳のチーズを使ったセイボリーが重箱に詰められ、まるで宝石箱のよう。
グルテンフリーのお麩、和菓子の最中や求肥も使われています。お茶は大豆から作るおから茶です。
ネーミングも楽しいお菓子「想う壺」1,800円
シンプルがキーワード フランスで食べた味を再現「Régis d.」

この6月に開店から1年を迎えたビスキュイの専門店「Régis d.」。フランス出身のレジスさんが、一乗寺に店を構えたのは、賑わいつつも、流行に飲み込まれることなく、自分の味を保てる条件が揃っていたからだそう。
「ピプレット」3,900円
京都と滋賀の小麦、フランスの醗酵バターと天日塩、種子島の洗双糖から焼き上げるビスキュイは、かめばかむほど旨味が出てきます。
ビスキュイの詰め合わせ「ピプレット」には、全粒粉を使うリュスティック、紅茶、はちみつ、コニャック漬けのぶどうを練り込んだコニャックレザンの4種が入っています。ピプレットとはフランス語でピーチクパーチク話し好きの人を表す言葉。缶に鳥をデザインしたのは、その理由から。
4種のビスキュイは種類ごとにバラ売りもされている 各500円。ちょっとしたプレゼントにもよさそう
活字を使った活版印刷で メッセージを伝える「りてん堂」

「りてん堂」は活版印刷を手がけるデザイン事務所兼店舗。店主の村田良平さんが、廃業寸前の印刷屋さんから機械や道具などを引き取ったのには、過去の印刷文化を残したい、というよりもデザインの表現方法のひとつとして利用したいという思いがあったそう。
活版印刷は活字を集める文選、印刷する形に整える組版、印刷、組んだ版を元に戻す解版の4工程からなります。目にもとまらぬ速さで左手で刷り上がった紙を印刷機から取り除くと同時に、右手で新しい紙をセットする。そんな印刷の原点を垣間見ることができますよ。
カラフルなメモランダム伝ゑ候(つたえ そうろう)6柄6色枚入り 390円
名刺やポストカード、オフィスで使えそうなメッセージカードの販売や、活版印刷のワークショップも展開しています。
もっとよりみち

曼殊院から修学院離宮までは徒歩で10分あまり。今の曼殊院を設けた良尚法親王と、修学院離宮を設計した後水尾上皇はいとこ同士で、当時の洗練された美意識に目をみはります。また、叡山電車に乗れば、大原や八瀬、貴船や鞍馬、二ノ瀬の白龍園へもアクセス可能。
秋の京都旅を楽しんでくださいね。
文:戸塚江里子 写真:小川康貴 編集:ことりっぷ編集部
