「あぶくま洞」と「入水鍾乳洞」へ!福島で味わう地底の神秘とスリル満点の探検

あぶくま洞

東京駅から電車とタクシーを乗り継ぎ、約2時間半でアクセスできる福島県田村市には、東北を代表する鍾乳洞「あぶくま洞」と、探検体験が楽しめる「入水鍾乳洞(いりみずしょうにゅうどう)」があります。洞内には、天井から垂れ下がるつらら石など多彩な鍾乳石が広がり、自然の造形美を間近に観賞することができます。

それぞれ異なる魅力を持つ2つの鍾乳洞の見どころや特徴はもちろん、料金や必要な装備、周辺のグルメスポットなど、訪れる際に役立つポイントをご紹介します。

 

 

「あぶくま洞」へのアクセス

あぶくま洞

福島県の中央部に位置する田村市には、阿武隈山系の一角に「あぶくま洞」と「入水鍾乳洞」という2つの魅力的な鍾乳洞があります。

 

郡山駅

最初の目的地は、東日本最大級の観光鍾乳洞「あぶくま洞」。

公共交通機関を利用して向かう場合は、まずJR郡山駅を目指します。東京駅から東北新幹線で約1時間25分、郡山駅でJR磐越東線に乗り換え、約45分で最寄りのJR神俣駅へ。「あぶくま洞」周辺にはバス停がないため、神俣駅からはタクシーを利用して約10分で到着です。

神俣駅や菅谷駅からは、月~土曜に事前予約制の「田村らくらくタクシー」が1時間に1本程度運行しています。片道300円と通常のタクシー料金の約5分の1で利用でき、お得にアクセス可能です。

車で「あぶくま洞」へ向かう場合は、東北自動車道・矢吹ICからあぶくま高原道路に入り、40分ほど走って滝根ICで降ります。その後、県道19号を15分ほど走れば到着です。

 

大自然の神秘「あぶくま洞」へ

あぶくま洞

「あぶくま洞」は、多彩な鍾乳石が織りなす景観で知られる日本屈指の鍾乳洞。1969年に発見され、未公開区間を含めた総延長は約4.2キロメートルにおよびます。

鍾乳洞とは、雨水が長い年月をかけて石灰岩を少しずつ溶かし、地下に空洞をつくってできたもの。その大きさは、積み重ねられた時間の長さを感じさせます。「あぶくま洞」誕生の秘密はいまだ明らかになっていませんが、数百万年の時を経て形づくられた神秘の空間に足を踏み入れると、自然のスケールの大きさを実感できるでしょう。

 

おすすめコースと注意点

あぶくま洞マップ

「あぶくま洞」の公開区間は約600メートル。コースは「一般コース」(所要時間約40分)と、途中から分岐する「探検コース」(所要時間約50分)の2種類に分かれています。

「探検コース」では丸太のはしごを登ったり、飛び石を渡ったりとアクティブな動きが求められるため、初めて訪れる人には気軽に楽しめる「一般コース」がおすすめです。

 

あぶくま洞

「探検コース」のチケットは洞内の分岐点でも購入できるので、実際に歩いてみてから挑戦するかどうか決めることも可能です。

「一般コース」でも階段の昇り降りがあり、床が濡れて滑りやすい箇所がありますので、動きやすい服装と歩きやすい靴で訪れると安心です。なお、洞内での飲食は禁止されており、ベビーカーや車いすでの入洞はできません。また、内部にトイレはありませんので事前に済ませておきましょう。

 

季節を問わず心地よい鍾乳洞

入洞券発売所でチケットを購入したら、入口に進んで長い階段を下りましょう。

 

あぶくま洞

鍾乳洞の入口に立つと、洞内から冷たい空気が漂ってくるのが分かります。中に入ると、さらにひんやりとしていました。

鍾乳洞の温度は、年間を通してその土地の平均気温に保たれるのだそう。「あぶくま洞」はいつでも約15度と、暑い時期は涼しく、寒い時期はやや温かく感じる快適な温度です。

 

多彩な鍾乳石と神秘の景観

あぶくま洞

洞内は照明があり、足元は基本的にコンクリートで舗装されているので歩きやすくなっています。それでも、屈まなければ通れなかったり、鍾乳石と鍾乳石の間をすり抜けなくてはいけなかったりするポイントもあるので、足元に気を付けてゆっくり進んでください。

 

あぶくま洞

暗さに目が慣れてくると、奇妙な鍾乳石の数々が見えてきました。鍾乳石とは、長い年月をかけて天井や壁から滴る地下水に含まれる石灰成分が少しずつ固まり、積み重なってできたもの。

自然にできたとは思えないほど芸術的で、ずっと見ていたくなる造形です。触れてみると、表面はつるつるしていて不思議な感触でした。

 

あぶくま洞

触るとよく分かるのですが、白っぽい鍾乳石は表面が濡れていて現在進行形で成長中です。一方、乾いて茶色っぽいものはすでに成長が止まっています。ぜひ、実際に触って確かめてみてください。

 

あぶくま洞

奥へ進むと「妖怪の塔」と名付けられた鍾乳石が姿を現します。どことなく妖怪の表情に見えることから、この名前が付いたのだとか。

 

あぶくま洞

その先にあるのは、流れ落ちる滝のように見える「白磁(はくじ)の滝」。壁面を流れ落ちる地下水によってできた鍾乳石で、フローストーンとも呼ばれています。

 

あぶくま洞

近くで眺めると、まるで磁器の彫刻のよう。今にも水が流れ出しそうな立体感に圧倒されます。

 

あぶくま洞

中間地点より少し先には「クリスマスツリー」が。石筍(せきじゅん)と呼ばれる鍾乳石で、床からタケノコのように成長しているのが分かります。隣の「樹氷」は、天井から下がったつらら石と、床から伸びた石筍がつながってできた石柱で、その姿が樹氷のように見えることから名付けられました。

同じ洞窟なのに、場所ごとに鍾乳石の姿が変わるのが不思議ですね。

 

自然が描いた荘厳なる「滝根御殿」

あぶくま洞

「あぶくま洞」のハイライトは、高さ29メートル・幅25メートルのスケールを誇る大空間「滝根御殿(たきねごてん)」。洞内公開エリアの最上層に広がるこの神秘のホールでは、360度あらゆる方向に多彩な鍾乳石が織りなす壮観な景色を楽しむことができます。

 

あぶくま洞

光に照らし出された鍾乳石が織りなす、幻想的な世界も魅力です。

 

あぶくま洞

「滝根御殿」の中だけでも多彩な鍾乳石が点在。特に「クリスタルカーテン」は名前の通りカーテンのように薄く、光を透かすと石の模様まで浮かび上がる、とても珍しい鍾乳石です。

 

あぶくま洞

上部が円盤状の「洞穴シールド」と呼ばれる鍾乳石もあります。

 

あぶくま洞

鍾乳石がわずか1センチ伸びるのに要する時間は、およそ70~100年。見上げるほどの壮大な空間が形づくられるまでに、どれほどの歳月が流れたのか。太古から続く時の流れを感じながら、神秘の世界に浸ってみてください。

 

幻想的な光に照らし出される「月の世界」

あぶくま洞

コースの締めくくりは、ライトアップで描かれる「月の世界」。

色が移り変わる調光システムを採用し、朝日が上り、夕陽となって沈むまで、1日の移ろいを2分間の光の演出で再現。移り変わる色彩に照らされた鍾乳石は、思わず息をのむ美しさです。

 

あぶくま洞

「月の世界」を抜ければ、出口はすぐそこ。光があふれる外へ出た瞬間、まるで地球の奥深くから帰還したような、不思議な達成感に包まれます。

 

探検のあとはスイーツでひとやすみ

あぶくま洞

「あぶくま洞」には、レストランや軽食コーナーも併設されています。

軽食コーナーで注目なのが、田村市特産のえごまを使った「じゅうねんソフトクリーム」(450円)。「じゅうねん」とはえごまを意味する方言で、バニラのやさしい甘さにえごまの香ばしさが溶け合い、週末には行列ができるほどの人気です。

 

あぶくま洞
冷しキーマカレーうどん

ほかにも、バリスタ監修の「水出しアイスコーヒー」(500円)や、かき氷にキーマカレーをあわせた「冷しキーマカレーうどん」(650円※季節限定)など変わり種もあるので、ぜひチェックしてみてください。

 

あぶくま洞

住所
福島県田村市滝根町菅谷字東釜山1
営業時間
8:30~17:00
※時期により異なる
定休日
なし
料金
【一般コース】大人1,200円、中学生800円、小学生600円
【探検コース】大人1,500円、中学生1,100円、小学生900円
所要時間
【一般コース】約40分
【探検コース】約50分
アクセス
【電車】JR「神俣」駅からタクシーで約10分
【車】あぶくま高原道路「滝根」ICより約15分
公式サイト
あぶくま洞

 

冒険心に火がついたら「入水鍾乳洞」へ

入水鍾乳洞

さらに自然の中で本格的な冒険を味わいたい人には、「あぶくま洞」から車で約10分の場所にある「入水鍾乳洞」もおすすめです。ここでは膝まで冷たい水に浸かり、狭い鍾乳石の隙間をくぐり抜けたり、四つん這いになって進んだりと、まさに探検気分を満喫できます。

1927(昭和2)年に発見され、国の天然記念物にも指定されている「入水鍾乳洞」は、探検できる区間がおよそ900メートル。距離だけ見れば「あぶくま洞」(公開区間約600メートル)より長いですが、空間の広がりやスケール感は控えめで、より素朴でコンパクトな造りが特徴です。内部には「地蔵洞」「雛壇」「カボチャ洞」などユニークな鍾乳石が並び、中には高さ1メートルにおよぶものもあります。

 

探検に必要な装備は?

入水鍾乳洞マップ

「入水鍾乳洞」には3つの探検コースがあります。片道約150メートルのAコース(往復約30分)は、初心者でも安心。そこからさらに奥へ進むBコースは片道約600メートルで、所要時間は往復約1時間。

さらに、最深部まで進むCコース(片道約900メートル/往復の所要時間約90分)はガイド同行の上級コースで、現在は田村市のふるさと納税者のみが予約可能です。

「Aコース」は特別な装備がなくても進めますが、その先の「Bコース」からは暗闇と水のエリアが待ち受けています。防水仕様のヘッドライトや懐中電灯に加え、濡れてもいい服(ショートパンツやTシャツ)やゴムサンダルが必須。必要な装備は有料レンタルもあるので、手ぶらでも挑戦可能です。洞内をスマートフォンで撮影したい人は、防水ケースの準備もお忘れなく。

なお、どのコースも急な坂や階段が多いため、車いすやベビーカーでの入洞はできません。

 

探検の第一歩は「Aコース」から

入水鍾乳洞

受付で入洞料を払ったら、荷物をロッカーに預け、更衣室でTシャツと短パンに着替えて、いざ洞内へ。

 

入水鍾乳洞

中に入った瞬間、轟音のような水の音に圧倒されます。これは入水鍾乳洞を形成する山々が水源の地下水脈が流れているためで、大自然の力を間近に感じられる瞬間です。

通路には急な坂もあり、手すりを頼りに上る場面も。足元は常に濡れているため、「Aコース」だけに挑戦する場合でも、必ず動きやすい服装と滑りにくい靴を用意して臨みましょう。

 

入水鍾乳洞

途中には岩に挟まれた狭い箇所もたくさん。油断せず、慎重に進みます。

 

入水鍾乳洞

少し進むと、「Aコース」の見どころのひとつ「不動滝」が見えてきました。勢いよく流れ落ちる水の迫力は圧巻で、この水流によって「入水鍾乳洞」は今も形を変えながら成長を続けています。

 

入水鍾乳洞

その奥の「地蔵洞」には鍾乳石の石筍が、まるでお地蔵のように並んでいます。少し開けた場所なので、ひと休みするのにもぴったり。「入水鍾乳洞」の探検は狭い空間を進むので、休憩を挟みながら自分のペースで進みましょう。

 

入水鍾乳洞

片道約150メートルの「Aコース」はこの辺りで終了。

「Bコース」に進まない場合は、来た道をそのまま戻ります。照明も明るく、足場も比較的整えられているので、気楽に挑戦できる入門コースです。

 

冷たい水と暗闇に挑む「Bコース」

入水鍾乳洞

「Aコース」の終点を越えて「Bコース」に足を踏み入れると、空気が一変します。照明はほとんどなく、頼れるのはヘッドライトの明かりだけ。先ほどまでの轟音は消え、真っ暗な洞内に水滴の音が静かに響きます。暗所や狭さが苦手な人には、勇気を試される場面かもしれません。

通路は限られているため迷う心配はありませんが、「Bコース」はここから片道450メートルと長く、体力的にもハード。無理をせず、不安な場合は引き返す判断も大切です。
 

入水鍾乳洞

そして「Bコース」最大の特徴は、常に水の中を進むこと。洞内には膝ほどの高さまで水が溜まっています。足を入れると、慣れるまで少し時間がかかるほどの冷たさです。

感覚が薄れるほど冷たい水の中で、デコボコとした底を歩くため、足元には十分な注意が必要です。

 

入水鍾乳洞

水に浸かりながら、つらら石の隙間を縫うように進みます。狭い通路では鍾乳石がすぐ目の前に迫り、気を抜くと頭をぶつけてしまいそうです。入口でレンタルできるヘルメットを着用すれば、安心して探検を楽しめますよ。

 

入水鍾乳洞

あまりに狭すぎて、体をねじ込むようにして進まなければならない箇所も。

 

入水鍾乳洞

「胎内くぐり」と「第二胎内くぐり」は、思わず進むのをためらうほど狭い横穴。水が溜まった空間を四つん這いで進むため、腰から下はびしょ濡れになります。

冷たい水に体を沈めながら進む道のりは険しいものの、非日常的で過酷な状況に不思議と気持ちが高揚します。

 

入水鍾乳洞

「第二胎内くぐり」を抜けてしばらく進むと、ごろんとした鍾乳石「カボチャ洞」がある空間に出ます。ここで、「Bコース」は終了です。

 

入水鍾乳洞

ほっとしたのも束の間、帰り道も水に浸かりながら同じルートを戻るため、最後まで気は抜けません。だからこそ、外に出た瞬間に得られる満足感と開放感は格別。街中では決して味わえない体験です。

 

入水鍾乳洞

住所
福島県田村市滝根町菅谷字大六89-3
営業時間
【Aコース】8:30~16:30(最終受付)
【Bコース】8:30~15:30(最終受付)
定休日
なし
料金
【Aコース】高校生以上600円、中学生以下500円
【Bコース】高校生以上1,000円、中学生以下800円
所要時間
【Aコース】約30分
【Bコース】約60分
アクセス
【電車】JR「菅谷」駅からタクシーで約5分
【車】磐越自動車道「田村」スマートICより約20分、あぶくま高原道路「滝根」ICより約20分
公式サイト
入水鍾乳洞

 

「星の村ふれあい館」でランチタイム

星の村ふれあい館
星の村ふれあい館

鍾乳洞で大自然の神秘を堪能したあとは、「星の村ふれあい館」でランチタイムを。「あぶくま洞」から車で約10分、「入水鍾乳洞」からは徒歩約5分という好立地にあります。

 

星の村ふれあい館

ここでぜひ食べてもらいたいのが、「冷やたれうどんセット」(1,100円)。田村市産えごまを使った味噌ベースの特製ダレに、地元野菜の天ぷらが添えられたボリューム満点の一品で、探検後のパワーチャージにぴったりです。

さらに、「星の村ふれあい館」は入浴施設も完備。広々とした大浴場で、あぶくまの天然水を使った湯に身をゆだねれば、疲れも心地よく癒やされます。

 

星の村ふれあい館

住所
福島県田村市滝根町菅谷字馬場168
営業時間
レストラン/11:30~15:00(L.O.14:30)
定休日
不定休
アクセス
【電車】JR「菅谷」駅からタクシーで約5分
【車】磐越自動車道「田村」スマートICより約20分、あぶくま高原道路「滝根」ICより約20分
公式サイト
星の村ふれあい館

 

あぶくま洞

数百万年という歳月をかけて形成された鍾乳石は、まさに自然が生み出した芸術。その多彩な造形美を誇る「あぶくま洞」、そして本格的な探検気分を味わえる「入水鍾乳洞」は、いずれも地質学的に貴重なスポットです。

福島県田村市で、大地の神秘と迫力をぜひ体感してみてください。

 

取材・文/星 マチコ 撮影/佐藤 真珠

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