大学入試の試験会場が自宅から離れている場合、遅くとも前日には現地入りしなければなりません。そこで、重要になってくるのがホテルなどの宿泊施設選びです。受験のための宿泊となると、旅行や出張とは違う視点で選ぶことが重要になってきます。
そこで、長年に渡り多くの受験生をサポートしている大手予備校「河合塾」広島校の進学アドバイザー・竹内深雪(たけうち みゆき)さんに、ホテル選びや予約のポイントはもちろん、入試前日の過ごし方、持ち物などもうかがいました。
1~2月は満室続出!? 遅くとも年内には予約を!
大学の一般選抜は、国公立大学が2月下旬から3月、私立大学の多くが1月中旬から3月に行われています。遠方の大学を受験するとなると宿泊施設を確保しなければなりません。
――実際に受験生は、いつ頃にホテルを予約しているのでしょうか?
竹内さん:「一般的には、1月後半から2月前半にかけてホテルの予約が集中すると言われています。これは、受験生の多くが1月中旬に実施される大学入学共通テストの自己採点結果を踏まえて最終的な出願校を決め、その時点で宿泊先の予約に取りかかるからです。」
実際に楽天トラベルで、宿泊施設が受験生向けに販売している宿泊プランの予約実績の月別シェアを見てみても、2023‐2024年では2月が33%、1月が27%と6割を占めています。そのため、いざこの時期に予約しようとしても条件のいい宿泊施設はすでに埋まっていることが多く、理想的な宿泊先が確保できないケースは少なくありません。
――条件のいいホテルを確保するためにはどうすればいいのでしょうか?
竹内さん:「受験したい大学の入試日程がわかった時点で予約することを生徒にはすすめています。私立大学の入試日程の発表は大学によって異なりますが、8月中にはおおむね判明します。志望校の入試日程がわかったら、早めに宿泊施設を押さえておくと安心です。実際、早い人は8~9月に予約をしています。
一方で8~9月の時点では、まだ翌年1~3月の予約の受付が開始されていないホテルも多いようです。そのため、早期を目指しても受付が開始される11~12月頃の予約になってしまうケースは少なくありません。いずれにしても、直前では条件のいい宿泊施設が予約で埋まってしまう可能性がぐっと高まるので、遅くとも年内には予約を意識しましょう。」
――共通テスト結果で出願校が変わる可能性もありますよね?
竹内さん:「当然、1月の共通テストの結果次第で出願する大学を変えることはありますから、変更後に備えた宿泊先も2つ3つ押さえておく必要があります。
それに伴って、キャンセルができるかどうか? いつまでならキャンセル料が不要か? を予約の際に確認しておきましょう。早い予約だとキャンセル料がかかるのでは? と心配になる人も多いと思います。出願から試験日までは1カ月程度あるため、ホテルにもよりますが最終出願校を決定後に速やかにキャンセルすれば、キャンセル料がかかることは少ないです。」
竹内さん:「一つ気がかりなのが、試験会場です。特に複数のキャンパスがある大学の場合、試験会場がどこのキャンパスになるかは受験票が届くまでわからない大学もあります。また、地方入試などで試験会場が大学ではない場合もあります。となると宿泊地にも影響してきます。受験票が届くのは、一般的には受験日の1~2週間前です。まずは前年度の動向などを参考にしながら、どの会場になりそうか目星をつけ、そのうえで予約を済ませておくことをおすすめします。
特に1~2月は、宿泊先の予約に関しても最終調整期間です。最終的な出願校が決まるのに伴って宿泊が不要になった場合は、速やかに予約をキャンセルしましょう。予約が取れず困っている受験生もいるかもしれないため、キープせずに必要とする人に譲る心遣いも大切です。
キャンセルも多く出てくるこの時期は、いい条件の宿泊施設が押さえられなかったという人にとってもチャンスです。以前は予約で埋まっていたホテルを改めて調べてみると空きが出ていることもあるので、必要に応じて乗り換えも検討してみましょう。」
地方の大学を受験する場合は、特に早めの予約が必要!
――昨今のインバウンド需要は、受験生にも影響していますか?
竹内さん:「コロナ禍で一時減った旅行者も戻り、ホテルの予約は増えていると聞きます。それに加えてインバウンド需要が高まっている昨今は、受験のためのホテルもますます取りにくい傾向があります。特に注意したいのは、地方の大学を受験する場合です。都市圏はホテルの数も多いので、条件の妥協が必要になることはあっても、宿泊先がどこも取れずに困ってしまうことは、あまりありません。
一方、宿泊施設が少ないエリアの場合ではすぐに満室となってしまい、近隣に泊まれる場所がないという事態も発生しかねません。そうなると、隣県など会場から離れた場所に泊まり、当日の朝に長時間かけて移動しなければならなくなってしまいます。宿泊施設が少ないエリアの場合は、なおさら早めの予約が重要になります。」
理想は徒歩圏内! 最も重要なのは「受験会場からの距離」
――受験生はどんなポイントでホテルを選べばいいのでしょうか?
竹内さん:「最も重視すべきは『立地』です。試験会場に近いことが大事で、できれば徒歩圏内にある宿泊施設が理想です。電車は利用する路線や出入口で迷うことがありますし、バスやタクシーは渋滞に巻き込まれてしまう可能性があります。また、都市圏の朝の電車は非常に混雑しますから、その電車に乗っただけでぐったりしてしまう人もいるでしょう。こういった余計な心配やストレスはできるだけ減らしたいものですから、やはり試験会場まで歩ける距離にある宿泊施設がベストです。とはいえ、徒歩圏内の施設は人気のため予約のハードルも高くなります。確保できなかったとしても、できるだけ移動距離が短い、行き方がわかりやすい立地を選びましょう。」
――ホテルの設備面で重視すべきことはありますか?
竹内さん:「受験生にとっては、勉強ができる環境が整っているかも重要なポイントです。『机が小さくてノートや参考書を広げられない』『部屋に間接照明しかなく、参考書が見えにくい』といった部屋は、勉強に不向きです。予約する際はホテルのホームページなどで部屋の写真を見て、勉強に適したデスクやイス、照明などが備わっているか確認するといいでしょう。ライトスタンドや加湿器を貸し出してくれるホテルもあるので、ホテルに問い合わせてみましょう。
近年はリモートワークの普及で、施設内に『ワークスペース』を設けているホテルも増えています。こういったスペースを活用するのも一つの方法です。あとは、『コンビニが近くにある』『バス、トイレ別』など、利便性で優先順位をつけていきましょう。」
朝食は自分の好みに合った場所や方法を選ぼう
――コンビニ飯より、ホテルの朝食を利用した方がいいでしょうか?
竹内さん:「朝食はどうするべきか? と迷われる方も多いですが、宿泊施設の朝食サービを利用する方がいいか、コンビニなどで調達して部屋で食べる方がいいかは人それぞれです。
宿泊施設の朝食を利用すれば、購入に出かける手間もなく、温かい食事がいただけます。一方で、混み合っていると行列に並んで待たなければならないといった懸念もあります。また、同じホテルには、同じ大学を受験するいわばライバルも多く宿泊しているので、『朝食会場で同じ受験生を見ると、緊張が高まってしまう』という人も少なくないようです。朝の時間を有意義に使いたい人や周りが気になってしまう人は、部屋で食べる方が安心かもしれません。」
ホテルの「受験生向け宿泊プラン」を活用しよう
ホテルによっては、受験生の滞在に配慮したさまざまなサービスを提供する「受験生向け宿泊プラン」を用意しています。
東京都心にある大学へのアクセスの良さから、毎年2,000人ほどの受験生を受け入れている「東京ドームホテル」(東京都文京区・1,006室)では、国公立大学の入試日の1年前から「受験生宿泊プラン」の販売を開始しています。プランでは、広いデスクと電気スタンドを完備した客室を用意するだけでなく、チェックイン前とチェックアウト後の荷物預かり、試験当日のモーニングコール、文房具の貸し出しなど、受験生のかゆい所に手が届くサービスを提供しています。
食事にも気遣い、夕・朝食付きのほかに、試験会場で食べるための「ランチBOX」が付くプランも。同ホテルの宿泊企画担当は、「東京ドームが近いので、イベントがあるときには音が響かないように反対側のお部屋へご案内するなどの配慮をしています。受験生や保護者様が安心して過ごせるように、お困りごとがありましたらスタッフに何でもご相談ください」と話しています。
東京・水道橋駅や飯田橋駅から徒歩約5分の「ホテルメトロポリタン エドモント」(東京都千代田区・666室)では、1月末〜2月末の期間に、宴会場を受験生のための自習室に変更して提供しています。14席の机と電気スタンド、加湿器のほか、文房具の貸し出しやリフレッシュできるお菓子、アイマスクなどを提供。「受験生応援プラン」で予約した受験生であれば、9:00~22:00まで自由に利用できます。「早朝や夕方の時間帯は、8割くらいの座席が埋まるほどご利用いただいています」と同ホテルの宿泊部担当。
最も問い合わせの多い、ホテルから試験会場への行き方については、あらかじめ周辺大学の試験日程表を作ってスタッフ間で共有し、各会場までのルートや交通手段を適切にアドバイスできるようにしているとのこと。また、昨年度は朝食会場を受験期間に通常よりも30分前倒して6:00~開始するなど、受験生が余裕をもって試験に臨めるようにサポートしています。
「受験生向け宿泊プラン」を利用すれば、施設側にも宿泊者が受験生であることがわかるので、さまざまなサービスや配慮を受けやすくなるメリットもあります。ホテル選びの際は、こういった宿泊プランを用意している施設を利用するのも選択肢の一つです。
※表示されている宿泊プランは、そのホテルの最安値プランです。「受験生向けプラン」は、ホテルページの「プラン一覧」からお探しください。
ホテルから試験会場までのルートを必ず下見しよう!
――試験会場までスムーズに行けるか心配ですよね。下見は必要ですか?
竹内さん:「当日、道に迷わないか心配という人は多いと思いますが、一度自分の足で体験しておくと不安も解消されます。中には地図アプリがあるから大丈夫という人もいるかもしれませんが、初めての土地となるとアプリがあっても迷ってしまうことはあり得るので、過信は禁物です。
会場まで徒歩で行く場合は、同じ道を歩いてみる。電車ならば、実際に電車に乗って試験会場の最寄り駅まで行き、駅から会場まで歩いてみましょう。実際にたどってみると、『思っていたよりややこしかった』『紛らわしい道があったな』ということも。下見をしておけば注意すべき場所も把握できるので、当日のトラブル防止になります。」
――下見の際に意識すべきことはありますか?
竹内さん:「下見をするときは、しっかり周りを見ておくことも大事です。情景の記憶がないと、当日、『下見のときにこんな道通ったかな?』と、余計な不安やトラブルの種を生んでしまう可能性もあります。向かう過程で目印になるものをインプットしておきましょう。いざというときに頼れるコンビニ、トイレ、駅のインフォメーションの場所なども把握しておくといいでしょう。」
――下見はいつするのがいいでしょうか?
竹内さん:「オープンキャンパスのときに済ませておく生徒もいます。遠方の場合、下見のためだけに現地に赴くことはなかなか難しいですから、入試前日に現地入りしたらその足で下見をするのが現実的でしょう。北海道などの雪国では、空の便が大雪で乱れたことが過去にありましたので、前々日入りがベストです。
また、可能であれば試験当日と同じ時間帯で下見をすると、よりイメージをつかみやすいと思います。というのも、駅も街の中も朝と昼では人通りや雰囲気がまったく違います。特に都市圏の通勤時間帯の駅や電車は非常に混雑し、駅構内の移動がスムーズにいかないこともあります。
実際に体験し実情を知っておくと、少し早めに出発した方がいいな、など対策を講じることができます。朝の時間帯に下見をする場合は前々日からの現地入りが必要になりますから、宿泊施設の予約についてもその点を踏まえる必要があります。いずれにしても、下見は必須! 下見をしておくことで、当日も気持ちの余裕をもって向かうことができます。」
持ち物はリストを作り、しっかり確認。時計は2個以上持参!
――持ち物を用意する際の注意点はありますか?
竹内さん:「自宅を出発する前には、必ず持ち物チェックをしましょう。『宿泊に必要なもの』と『試験に必要なもの』をそれぞれリストアップして、一つひとつちゃんと持ったか確認をしていくといいでしょう。特に、受験票や身分証明書(生徒手帳)など替えが効かないものは絶対に忘れてはいけないので、入念にチェックしてください。
持ち物のことで生徒に念を押してお伝えしているのは、腕時計は2個以上持っていくことです。当日、突然電池が切れてしまったという話は思いのほか多いですから、必ず予備を持参しましょう。また、試験会場には、集合時間の1時間前には到着するようにしましょう。なお、試験会場にはスマートウォッチや音が鳴る時計、電卓や辞書機能などがある時計は持ち込めないので注意してください。」
宿泊に必要なもの
・着替え
・洗面用具
・新幹線・飛行機などのチケット
・宿泊予約の控え
・財布(小銭も用意!)
・雨具
・目覚まし時計
・コンタクトレンズ、眼鏡
試験当日に必要なもの
・受験票
・身分証明書(生徒手帳)
・筆記用具(鉛筆・消しゴム)
・鉛筆削り
・時計(アラームは切ること)
・現金(できるだけ小銭で)
・ハンカチ、ティッシュ、マスク
・参考書、ノート
・お弁当、飲み物
出典:「河合塾の大学入試情報サイトKei-Net」より
――「持っていくといい」ものはありますか?
竹内さん:「そばにあると安心できるものや心身のコンディションを整えるために必要なものがあれば、持参するといいかもしれません。例えば、ホテルだとなかなか眠れないという人は、マイ枕やアイマスクなどの安眠グッズを用意する。性格的に雑音が気になる人や繁華街にあるホテルに宿泊する人は耳栓を持っていく。違う環境だと落ち着かない人は、いつも部屋にある置物を持っていく。
人によって不安になる要素も違えば、安心をもたらしてくれるものも違います。自分の性格や体調、習慣などを考慮して、あったら安心と思えるものは持っていくといいのではないでしょうか。過去の受験生からも、こういった体調や気持ちを整えるツールは『持っていってよかった』という声をよく聞きます。」
前日は「いつも通り」が大事!焦ったり、追い込んだりせずに平常心で
――受験前日と当日の朝はどのように過ごせばいいでしょうか?
竹内さん:「試験前日ともなれば、落ち着かないという人が多いでしょう。気持ちも行動もソワソワしてしまいがちですが、こういうときこそ『いつも通り』が大事です。特別な日と意識するとより緊張して頭に何も入らなくなってしまいますし、目がさえて眠れなくなってしまったりします。いつもと同じ流れで勉強をして、いつもと同じように過ごすのがベストです。試験当日の朝は、なおさら緊張で頭が真っ白になってしまうかもしれません。だからといって新しい知識を詰め込んだり、ギリギリまで追い込んだりするのは逆効果です。」
受験は誰もが緊張するものですが、「不安」が多いとより緊張をしてしまいます。「不安」を一つでも減らすためにも、ストレスが少なく移動でき、快適に過ごせるホテルを選ぶことは大切です。いい条件の宿泊施設を確保できるように、ぜひ早めの予約を意識しましょう。
取材協力/河合塾 取材・文/柿沼曜子
主要大学のキャンパスに近い人気ホテルランキング
関東・関西にある主要大学キャンパスの位置情報をもとに、シティホテル・ビジネスホテルの人気ランキングをリアルタイムで更新しています。
※掲載大学は、2024年に受験者数が多かった大学を選定しています。
東京・神奈川
・明治大学 駿河台キャンパス
・明治大学 和泉キャンパス
・明治大学 中野キャンパス
・東洋大学 白山キャンパス
・法政大学 市ケ谷キャンパス
・早稲田大学 早稲田キャンパス
・日本大学 法学部神田三崎町キャンパス
・日本大学 三軒茶屋キャンパス
・日本大学 商学部校舎
・日本大学 理工学部駿河台キャンパス
・中央大学 多摩キャンパス
・立教大学 池袋キャンパス
・東京理科大学 神楽坂キャンパス
・専修大学 神田キャンパス
・専修大学 生田キャンパス
・青山学院大学 青山キャンパス
・慶應義塾大学 三田キャンパス
・慶応義塾大学 日吉キャンパス
・駒澤大学 駒沢キャンパス
・上智大学 四谷キャンパス
・明治学院大学 白金キャンパス
・成蹊大学
・國學院大學 渋谷キャンパス
・学習院大学
・成城大学
> 東京で「受験生向け宿泊プラン」がある人気のホテル
※表示されている宿泊プランは、そのホテルの最安値プランです。「受験生向けプラン」は、ホテルページの「プラン一覧」からお探しください。
大阪
・近畿大学 東大阪キャンパス
・関西大学 千里山キャンパス
・立命館大学 大阪いばらきキャンパス
・阪南大学 本キャンパス
・摂南大学 寝屋川キャンパス
> 大阪で「受験生向け宿泊プラン」がある人気のホテル
※表示されている宿泊プランは、そのホテルの最安値プランになります。「受験生向けプラン」は、ホテルページの「プラン一覧」からお探しください。
京都
・立命館大学 衣笠キャンパス
・龍谷大学 深草キャンパス
・同志社大学 今出川校地
・京都産業大学
> 京都で「受験生向け宿泊プラン」がある人気のホテル
※表示されている宿泊プランは、そのホテルの最安値プランです。「受験生向けプラン」は、ホテルページの「プラン一覧」からお探しください。
兵庫
・関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス
・甲南大学 岡本キャンパス
> 兵庫で「受験生向け宿泊プラン」がある人気のホテル
※表示されている宿泊プランは、そのホテルの最安値プランです。「受験生向けプラン」は、ホテルページの「プラン一覧」からお探しください。
