古民家で温泉と薩摩の美味を堪能。日本の原風景に心が満たされる「忘れの里 雅叙苑」

忘れの里 雅叙苑

鹿児島県霧島市の豊かな自然に溶け込むようにたたずむ「忘れの里 雅叙苑」。天降川(あもりがわ)沿いの敷地内には移築した茅葺(かやぶき)屋根の古民家が8室点在し、全部屋に源泉100%かけ流しの温泉が備わっています。

身体の芯まで染み渡る温泉と、採れたての野菜をたっぷり使用した郷土料理、そして温かなおもてなしの数々に、心がほぐれる癒やしの時間。日々の喧騒を忘れると同時に古き良き日本に思いを馳せる、ここでしかできない体験が満載の滞在記をお届けします。

 

 

アクセス、チェックイン

鹿児島空港からわずか15分で、古き良き日本にタイムスリップ

忘れの里 雅叙苑

日本百名山の一つに数えられる霧島山や、霧島温泉郷・妙見温泉などで知られる鹿児島県霧島市。かつて坂本龍馬も妻のお龍と訪れ、姉への手紙に「この世の外かと思われるほどのめずらしきところなり」と感動を記したこの地に、「雅叙苑」はあります。

 

忘れの里 雅叙苑

鹿児島空港から車で約15分と抜群のアクセスながら、道を進むにつれて徐々に建物が少なくなり、人里離れた雰囲気へと変わっていきます。草木が青々と茂る中に茅葺屋根の古民家が建ち並ぶ様子は、昔からそこに存在する一つの村のよう。初めて訪れたはずなのに、どこか懐かしい気分にさせてくれます。

 

忘れの里 雅叙苑

宿を訪れると最初に案内されるのが、土壁が温かい雰囲気を醸し出す「食処喫茶 不忘舎(ふぼうしゃ)」です。

 

忘れの里 雅叙苑

ウェルカムサービスとして、ここでお着き菓子が振る舞われます。この日のお菓子は手作りのよもぎ団子。よもぎの香りと優しい甘さのサツマイモ餡が絶妙で、清々しい香りの霧島茶との相性も抜群でした。

 

客室

「雅叙苑」には離れのお部屋が8つあり、全室温泉風呂付き。外観は歴史と風情を感じる一方、室内はモダンな空間になっており、Wi-Fi環境も整っています。

和室スイート「光」

忘れの里 雅叙苑

今回宿泊するお部屋は、天降川に面する和室スイート「光」。広々とした畳座敷と半露天の内湯を備え、5名まで宿泊できます。

 

忘れの里 雅叙苑

客室に入るとまず目に入るのが、楽しみの一つでもある温泉。特有の香りが、「温泉宿にやって来た」という旅情をかきたてます。

源泉かけ流しの湯は熱すぎず、温泉ビギナーにも入りやすい温度。湯上がりはすっきり爽快な気分になりました。また、肌に付着した老廃物を洗い流す重曹成分や、天然の保湿成分と呼ばれるメタケイ酸を多く含むことから、美肌効果が期待できる点も大きな魅力です。

 

忘れの里 雅叙苑

24.5帖の広々とした和室は、シンプルで落ち着いた雰囲気。全開口の大きな窓から、季節ごとに異なる表情を楽しめます。

 

忘れの里 雅叙苑

ツインタイプのローベッドは、子ども連れにも好評です。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

客室には浴衣と作務衣を用意。どちらでも好みのものを着て、お宿の敷地内を自由に散策できます。

葉っぱに書かれたウェルカムメッセージ。ほっこりするおもてなしに、思わず笑みがこぼれます。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

お茶の産地として有名な霧島らしく、客室には霧島茶が用意されています。早速、お茶をいれて縁側でひと息。天降川を眺めながらしばし時間を忘れて過ごすのも、このお部屋ならではの楽しみ方です。

 

和室スイート「空」

忘れの里 雅叙苑

2~5名まで宿泊できる和室スイート「空」は、和室と半露天の内湯に加え、お風呂が付いた縁側まで備える特別なお部屋。天降川のせせらぎや鳥のさえずり、山の澄んだ空気など、自然をより近くに感じながら温泉に浸かることができます。

 

忘れの里 雅叙苑

大きな窓に緑が映える25.5帖の広々とした和室。冬にはこたつも用意されるそうです。

 

お風呂リビング「さくら」

忘れの里 雅叙苑

「さくら」は8つの客室の中でも、特に人気の高いお部屋。最大の特徴は「お風呂リビング」があること。ベッドルームとお風呂場が、なんと障子一枚でつながっています。ちなみに、シャワールームは奥にあるので、床が濡れる心配はありません。

 

忘れの里 雅叙苑

元々あった露天風呂に屋根や壁を取り付けて、天候や季節を問わず快適に湯浴みできるようにしています。

岩づくりの浴槽のすぐそばにはベッドがあり、温泉に浸かった後に寝転んで休憩したり、そのまま寝たりできます。リビングでくつろぐように温泉を楽しめるため、ひと味違う体験をしてみたい方には特におすすめです。

 

施設紹介

敷地内を散策して、情緒に浸る

忘れの里 雅叙苑

自然豊かな敷地内では、日中ニワトリが自由に歩き回っています。「雅叙苑」のアイドルとも言える存在で、毛艶の美しさに思わず見とれてしまいました。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

お部屋の前の竹筒には、季節の花が生けられています。生け花が得意なスタッフが、宿に咲いた植物を使っているそう。普段の生活ではなかなか感じられない季節の移ろいや、自然の美しさを至る所で目にすることができます。

 

忘れの里 雅叙苑

奥のかまどで米を炊いたり、魚を焼いたり、調理の一部が行われる水屋。こちらも茅葺屋根の古民家同様、実際に使われていたものを移築しています。

 

忘れの里 雅叙苑

夕飯で使われるたくさんの野菜が、出番を待っています。旬のおいしさを存分に味わえるごはんのおいしさも、「雅叙苑」の魅力の一つ。野菜は主に霧島にある自家農園で採れた、無農薬のものを使用しています。

 

忘れの里 雅叙苑

食事が用意される「食処 いちょうの間」。祖父母の家に訪れたかのような雰囲気があり、テーブル席のほか、天降川を見下ろすテラス席もあります。

 

忘れの里 雅叙苑

「雅叙苑」のロビーとも言える囲炉裏小屋も。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

14:30頃になると囲炉裏小屋に黒糖と重曹で作られたおやつ「ふくれ菓子」が用意され、自由に味わうことができます。これは鹿児島県で古くから愛されている郷土菓子で、フワフワの食感とほのかな甘さが、どこか懐かしいおいしさです。

爽やかなレモン水も「食処喫茶 不忘舎」に用意されていて、自由に飲むことができます。

 

温泉

個性豊かな二つの貸し切り風呂を堪能

忘れの里 雅叙苑

一通り敷地内を散策したら、夕食の前に温泉へ。お部屋の温泉のほかに無料で利用できる貸し切り風呂が二つあり、そのうちの一つが「建湯(たけるゆ)」です。浴槽は、重さ約20トンの巨大な一枚岩を約半年かけてくりぬいて造られていて、ワイルドさが魅力です。

三つの自家源泉を所有する「雅叙苑」では泉温の違う源泉をミックスすることで、加水も加温もすることなく、適温を保っているのだそう。pH6.6の中性で、肌への刺激も少ないため、赤ちゃんから年配の方まで幅広く楽しめます。

日帰り利用できる12:00~15:00以外、宿泊客は24時間入浴が可能。利用の際は入口に「入浴中」の札をかけましょう。

 

忘れの里 雅叙苑

もう一つの貸し切り風呂が、天降川のすぐ脇にある自噴泉の「ラムネ湯」です。

 

忘れの里 雅叙苑

体温と同じくらいのぬるめの湯が自然に湧き出ていて、こちらを目当てに「雅叙苑」を訪れる温泉ファンも多数いるという、知る人ぞ知る名湯です。二酸化炭素ガスを多く含み、血液の循環を活性化させる効果が期待できることから、「心臓の湯」とも呼ばれています。

入れるのは宿泊客のみで、夜22:00まで利用できます。こちらも利用する際は、入口に「入浴中」の札をかけるのをお忘れなく。

 

夕食

素材本来の魅力を引き出した、薩摩の郷土料理

忘れの里 雅叙苑

温泉をのんびり楽しんでいる間に辺りは薄暗くなり、宿に明かりが灯りました。昼間とは異なる幻想的な雰囲気です。

 

忘れの里 雅叙苑

水屋では夕食の準備が行われていて、その様子を見ることができます。旬の食材が丁寧に調理されていて、辺りにはいい香りが。すっかりお腹が空いたので、「食処 いちょうの間」へ向かいましょう。

 

忘れの里 雅叙苑

夕食の一品目は、新鮮だからこそ味わえる「地鶏の刺身盛り合わせ」。この日はモモ、ササミ、ムネの3種でした。直営の養鶏場で栄養豊富なエサを食べ、走り回って育った地鶏は、噛むほどに旨みがあふれます。

 

忘れの里 雅叙苑
二品目は「季節の野菜盛り合わせ」
忘れの里 雅叙苑

せっかくなので、鹿児島に来たら味わいたい芋焼酎もオーダー(別途有料)。中でも限定入荷している鹿児島・国分酒造の焼酎は、果実のような香りが広がる「フラミンゴオレンジ」や、爽やかな風味を感じる「クールミントグリーン」など、芋焼酎の新たな世界が楽しめておすすめです。

 

忘れの里 雅叙苑
鹿児島名物の「さつま揚げ」と「味噌田楽」
忘れの里 雅叙苑

3時間かけてコトコト炊き出した「地鶏鍋」。まずはスープを味わうと濃厚な旨みが口いっぱいに広がって、思わずため息が出てしまうほどのおいしさでした。サツマイモのでんぷんで作られたプルプルもちもちの「だご(団子)」や、ほろほろの鶏肉も絶品です。

 

忘れの里 雅叙苑

その日に天降川で採れた貴重な天然鮎を、香ばしく焼き上げた「天然鮎の塩焼き」。素材のおいしさを存分に感じられるよう、味付けはあえて塩のみです。骨をスッときれいに抜く方法は少しコツがいるので、ぜひスタッフに教えてもらいましょう。

 

忘れの里 雅叙苑
お口直しの「紫蘇シャーベット」
忘れの里 雅叙苑
「焼きとり」は焼き野菜と一緒に
忘れの里 雅叙苑
「摘み草と深海魚の揚げもの」
忘れの里 雅叙苑

「和牛のオリンピック」と言われる大会で日本一に輝いた、鹿児島黒牛のステーキ。肉質はきめ細かく、とろけるような柔らかさと脂の甘みがたまりません。

 

忘れの里 雅叙苑

ごはんは、スタッフが一つ一つむいた栗入り。具材は季節によって変わり、ウナギやちらし寿司が登場することもあるそう。田舎蕎麦は手打ち麺のほっこりとした味わいと、鶏だしの相性が抜群。漬物も自家製です。

 

忘れの里 雅叙苑
デザートは「季節の果物」

宿のイメージそのまま、素朴な味わいの中に素材の旨みを感じる料理ばかりの夕食でした。

 

夕食後の一杯

かっぽ焼酎を片手に、一期一会の時間

忘れの里 雅叙苑

滋味深い夕食に大満足した後は、囲炉裏小屋へ向かいましょう。カンカンと板を鳴らす音が聞こえたら、かっぽ焼酎が用意された合図です。「かっぽ焼酎」とは竹筒に焼酎を入れ、囲炉裏や焚き火で温めたもの。炙ったキビナゴをつまみに焼酎を酌み交わしながら、ほかの宿泊客の方々と会話を楽しみます。

スタッフの「一期一会の時間を大切にしてほしい」という思いから始まった、かっぽ焼酎のサービス。この囲炉裏小屋での語らいを楽しみにしているリピーターも多いそうです。

 

忘れの里 雅叙苑

ひとしきり会話を楽しんだ後は一度部屋に戻り、就寝前に再度「建湯」で温泉を満喫。巨大な一枚岩をくりぬいて造られた湯船に浸かると身体がじんわり温まり、身も心も満たされたまま眠りに就きました。

 

朝食

最高の一日の始まりは、日本の朝ごはんから

忘れの里 雅叙苑

「雅叙苑」の朝は、ニワトリの元気な鳴き声からスタート。外に出ると水屋からは煙が立ち上り、薪を使ってお米が炊かれています。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

朝食の焼き魚は数種類の中から、好きな魚を1つ選びます。この日はイワシ、アユ、タイ、サバ、アジが並んでいました。どれもおいしそうで、目移りしてしまいます。

さらに卵料理も、卵焼き、卵とじ、目玉焼きの中から好きなものを選べます。養鶏場で採れた卵は、黄身が白っぽい本物の自然卵です。

 

忘れの里 雅叙苑

朝食も夕食同様、「食処 いちょうの間」へ。先ほど選んだ焼き魚と卵料理に加え、焼き野菜、豚味噌、温泉卵が入った具だくさんの味噌汁など、充実の朝ごはんが運ばれてきます。

かまどで炊いたごはんは、ホクホクのサツマイモ入り。霧島産大豆入りの玄米ごはんも味わい深く、朝からおかわりしてしまうほど。味噌汁もおかわり自由なので、しっかり食べたい人も満足できますね。

 

チェックアウト

お別れにはうれしいサプライズも

忘れの里 雅叙苑

チェックアウトは12:00。朝ごはんを食べた後もまだ時間に余裕があったので、お部屋で朝風呂を満喫します。宿泊中は何度も温泉に入ることができ、とてもぜいたくな時間を過ごすことができました。

 

忘れの里 雅叙苑

お風呂でさっぱりした後は、売店でお土産探し。柚子を使用したオリジナルのゆべしと、手作りのらっきょうを購入しました。

 

忘れの里 雅叙苑
忘れの里 雅叙苑

後ろ髪を引かれながらチェックアウトを済ませると、敷地内に咲いたお花で作られた首飾りのプレゼントが。さらに、おにぎりと卵焼きも「おやつにどうぞ」といただきました。おにぎりはおこげが香ばしく、卵焼きは優しい甘さ。心温まる贈り物に、最後までほっこりさせてもらいました。

 

忘れの里 雅叙苑

懐かしいロケーションの中、名湯や滋味深い料理を堪能し、安らぎを実感した1泊2日。滞在中は村人になったかのような気持ちになり、「またここに帰ってきたい」と思える大切な場所になりました。遠方から訪れるリピーターが多いのも納得です。

本当の豊かさを思い出させてくれる「雅叙苑」で、心身ともに温まるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

忘れの里 雅叙苑

住所
鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4230
アクセス
鹿児島空港より車で約15分、またはバスで約25分「雅叙苑前」下車
チェックイン
14:00
チェックアウト
12:00
客室数
8室
駐車場
あり/8台(予約不要)

 

撮影/岡村智明 取材・文/石川知京

 

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