群馬県みなかみ町にある「土合駅(どあいえき)」は、下り線ホームが地下約70メートルにあることから「日本一のモグラ駅」と呼ばれています。
静かな無人駅にある巨大な地下空間は、まるで別世界へ迷い込んだかのような神秘的な雰囲気。秘境駅や鉄道好きな方はもちろん、訪れた人の冒険心をくすぐるスポットです。周辺には絶景の諏訪峡、谷川岳ロープウェイなどもあり、見どころも満載。
今回は、「土合駅」を起点に、自然・絶景を漫喫する1日観光モデルコースを紹介します。
目次
地下約70メートルへ続く462段の階段「JR上越線 土合駅」
JR上越線の「土合駅」は、群馬県と新潟県の県境にある無人駅です。
東京から公共交通機関を利用した際のアクセスは、約2時間15分。
「東京駅」から上越新幹線に約1時間15分乗って「越後湯沢駅」を目指し、そこからJR上越線に乗り換えて約30分で到着します。
車で向かう場合、まずは関越自動車道を3時間50分程度通って「水上IC」へ。高速を下りたあと、北へ20分ほど走れば到着です。
「土合駅」の駅舎は、谷川岳をイメージした三角形の屋根がユニーク。
後ろに広がる谷川岳とのコントラストも見事で、燃えるような緑から、美しい紅葉まで春夏秋冬、さまざまな景色が楽しめます。
駅舎に掲げられた看板の文字「モ」がモグラの形になっていました。
無人駅のため、Suicaなどの交通系ICは利用できません。
出発駅からSuicaで乗ってきた場合には、一度有人駅まで行って精算しなければならないため、訪れる際は現金を持って行くようにしましょう。
時間がゆっくり流れているかのように感じられる、静かでどこか懐かしい雰囲気の待合室にも注目です。
「土合駅」は上り線ホームが地上に、下り線のホームが地下にあります。
1931(昭和6)年の開設時は、上り線ホームのみでしたが、1967(昭和42)年に上越線の複線化を目的とした「新清水トンネル」の開通により、地下に下り線ホームが作られました。
地下約70メートルの位置にあるため、10分ほどかけて462段の階段を下りていく必要があります。
階段へ一歩足を踏み入れると、雰囲気が一転。
階段を下りていくごとに冷気も感じ、まるでゲームの世界に入って地下牢を探検しているような気分になりました。
暗闇の中にあるホームは、ここが日常生活で利用する駅であることを忘れてしまうほど、不思議な空間です。
土合駅
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽
- 料金
- 駅への入場のみの場合、近隣の駅の券売機にて入場券150円の購入が必要(※購入当日のみ有効)
- アクセス
- 【電車】JR上越線「土合」駅構内
【車】関越自動車道「水上」ICから車で約20分
駅舎内の「喫茶モグラ」でひと休み
長い階段を上り下りしたあとは、駅舎内にある「喫茶モグラ」で一息つきましょう。
かつての駅務室をリノベーションしたお店で、当時駅で実際に使われていた伝言板や切符売り場が、カウンター席として使われています。
おいしいコーヒーや地元の食材を使った焼き菓子のほか、みなかみ町で醸造したクラフトビールなどが注文可能です。
「日本一のモグラ駅」探索の余韻に浸りながら、ゆったりとした時間を過ごせます。
喫茶モグラ
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽218-2(土合駅舎内)
- 営業時間
- 10:00~15:00
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 【電車】JR上越線 土合駅すぐ
【車】関越自動車道「水上」ICから約20分
アウトドアホテル「DOAI VILLAGE」でととのい体験
土合駅には、2020年にオープンした「DOAI VILLAGE」も隣接。
谷川岳の麓、国立公園内に泊まるという”ちょっと特別"な体験ができる宿泊施設です。
セルフで薪をくべて温度を調節する、本格的なフィンランド式サウナを楽しめます。
谷川岳の天然水を使った水風呂と外気浴で、心身ともにととのうのも良いですね。
DOAI VILLAGE
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽
- アクセス
- 【電車】JR上越線 土合駅徒歩すぐ
【車】関越自動車道「水上」ICから約20分
標高差約570メートルを一気に駆け上がる「谷川岳ヨッホ by 星野リゾート」
「土合駅」での地下冒険を漫喫したあとは、空の旅に出かけましょう。
2024年12月にリニューアルオープンした「谷川岳ヨッホ by 星野リゾート」では、ロープウェイに乗って、谷川岳をより間近に感じることができます。
全長約2,400メートル、標高差約570メートルを結ぶロープウェイは、日本国内に3カ所しかない「フニテル式」。風に強く揺れが少ないため、快適な乗り心地です。
ケージやペットキャリーに入れれば、ワンちゃんと一緒に乗ることもできます。
ロープウェイに乗り込むと、眼下には谷川岳の雄大な山並みが。
山麓の「土合口駅」から標高1,319メートルの「天神平駅」まで約15分間の空中散歩を楽しみましょう。
春から夏は残雪と新緑、秋は紅葉、冬は豊かなパウダースノーと、四季折々の自然を感じられます。
「天神平駅」にはスノーシューエリアや絶景ポイントなどもあり、冬に雪上の足跡をたどると、高確率で野生のカモシカに出会えることもあるそう。
さらにここから「天神峠ペアリフト」に乗れば、谷川岳の360度パノラマビューが広がる標高約1,500メートルの「天神峠展望台」に行くことも可能です。
ロープウェイ・リフト(谷川岳ヨッホ by 星野リゾート)
- 営業期間
- 【ロープウェイ】2025年12月6日~2026年4月5日
【リフト】2025年12月10日~19日、2026年3月10日~4月5日 - 営業時間
- 8:30~16:30※ロープウェイ・リフト上り最終16:00まで
- 料金
- 【ロープウェイ】(往復)中学生以上3,000円、小学生以下1,500円
(片道)中学生以上1,800円、小学生以下900円
【ロープウェイ+リフト】(往復)中学生以上3,600円、小学生以下2,000円 - アクセス
- 【電車】JR上越線「水上駅」バス乗車「谷川岳ヨッホ」下車徒歩約0分
【車】関越自動車道「水上」ICから約23分
「ビューテラスてんじん」で名物・谷川岳パングラタンを味わう
「天神平駅」のすぐそばには、絶景を眺めながら食事やデザート、ドリンクが味わえる展望レストラン「ビューテラスてんじん」があります。
ここでぜひ試してもらいたいのが、名物の「谷川岳パングラタン」(1,500円)。
くりぬいたパンに鶏肉、ベーコン、野菜を詰め込み、ホワイトソースとたっぷりのチーズで仕上げたオリジナルメニューです。
注文ごとに焼き上げる熱々のパングラタンを頬張りながら、窓越しに谷川岳の絶景を望むのも良いですね。
ビューテラスてんじん
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曾字湯吹山国有林
- 営業時間
- ドリンク・デザート9:30〜15:30(L.O.)、フード11:00〜14:30(L.O.)
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- ロープウェイ「天神平」駅から徒歩約3分
旅の記念に立ち寄りたい「ベースプラザ6階ショップ」
山の上からの景色を堪能したら、ふたたびロープウェイに乗って山麓の「土合口駅」へ。
「土合口駅」にある「ベースプラザ」の6階には、谷川岳ヨッホのオリジナルグッズやお土産が充実したショップが併設されています。
「谷川岳ヨッホ by 星野リゾート」のオリジナルグッズをはじめ、地元の特産品やお菓子など、旅の記念になるアイテムが満載。
自分用やお土産選びにぴったりなスポットです。
ベースプラザ6階ショップ
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曾字湯吹山国有林
- 営業時間
- 9:00~16:30※季節により変動あり
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 【電車】JR上越線「水上駅」バス乗車「谷川岳ヨッホ」下車徒歩すぐ
【車】関越自動車道「水上」ICから約23分
笹笛橋から望む谷川岳と利根川の絶景「諏訪峡」
次は、利根川の清流が造り出した渓谷美を眺めに「諏訪峡」へ行きましょう。
「諏訪峡」はみなかみ町を代表する景勝地で、2004年には「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれました。
渓谷の入口には、高さ約20メートルの岩壁に架かる全長約32メートルの吊り橋「笹笛橋」が。
この橋の上からは谷川岳と利根川の絶景を望め、撮影スポットとしても知られています。
川沿いには約2.5キロメートルの遊歩道が整備。
取材時は見事な紅葉が広がっていましたが、春は新緑、冬は雪景色と、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。何度訪れても新鮮に楽しめるスポットです。
また、遊歩道にはみなかみ町にゆかりのある歌人・与謝野晶子の歌碑も設置されています。
景観とともに文学にも触れられる散策道です。
諏訪峡
- 住所
- 群馬県利根郡みなかみ町小日向
- アクセス
- 【車】関越自動車道「水上」ICから約5分
『雪国』の舞台にもなった「越後湯沢温泉」で旅の疲れを癒す
最後は、温泉で旅の疲れを癒やしましょう。
みなかみ町から北へ進んだ先にある新潟県の越後湯沢は、川端康成の小説『雪国』の舞台にもなった歴史と情緒あふれる温泉街。
豊富な湯量と多彩な泉質が魅力で、地元食材を使った料理や地酒を味わえる飲食店なども軒を連ねています。冬はスキーリゾートとしてもにぎわうエリアです。
「越後湯沢駅」のすぐそばに広がっており、「土合駅」から上越線に乗って乗り換えなしで約20分、車で約40分とアクセスも抜群です。
足湯スポットも複数あるので、短い時間でも気軽に立ち寄ることができます。
駅からすぐの無料足湯「越後湯沢駅西口駅前広場の足湯」
「越後湯沢駅前 広場の足湯」は、24時間無料で利用可能な足湯スポット。
「越後湯沢駅」西口を出てすぐの場所にあるので、新幹線や電車の待ち時間にひと休みするのにぴったりです。
こちらで、たくさん散策して疲れた足の疲れをほぐしていきましょう。
越後湯沢駅西口駅前 広場の足湯
- 住所
- 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢(JR越後湯沢駅西口駅前広場内)
- 営業時間
- 24時間 ※浴槽清掃時間を除く
- 定休日
- なし
- 料金
- 無料
- アクセス
- 【電車】JR上越線「越後湯沢駅」西口徒歩約0分
【車】関越自動車道「湯沢」ICから約5分
グリーンタフが足裏を刺激する「からかさ亭 美白の足湯」
「越後湯沢駅」西口から徒歩約2分の場所には「からかさ亭 美白の足湯」もあります。
旅館「越後のお宿 いなもと」の正面玄関前にあり、宿泊客以外も自由に入浴可能です。
この足湯の特徴は、グリーンタフという天然石材を使用していること。
岩盤浴などでも使われるマイナスイオンが発生する石材で、リフレッシュ効果が期待できると言われています。
また「越後のお宿 いなもと」では、100%源泉かけ流しの露天風呂や広々とした大浴場での日帰り入浴が可能なので、全身浴に浸かりたい人はこちらも利用しましょう。
越後のお宿 いなもと
- 住所
- 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2497
- 営業時間
- 【からかさ亭 美白の足湯】8:00~18:00(冬季休業)
【日帰り入浴】12:00~最終受付17:00(入浴は18:00まで) - 定休日
- なし※12月28日~1月5日は日帰り入浴不可
- 料金
- 【からかさ亭 美白の足湯】無料
【日帰り入浴】中学生以上1,500円、小学生500円、未就学児無料 - アクセス
- 【電車】JR上越線「越後湯沢駅」西口から徒歩約2分
【車】関越自動車道「湯沢」ICから約5分
温泉街散策の途中に立ち寄りたい「足休め かんなっくり」
「越後湯沢駅」から温泉街を北に徒歩約7分の場所にあるのが、「足休め かんなっくり」。
歴史民俗資料館「雪国館」の隣にあるので、資料館見学と兼ねて訪れるのもおすすめです。
2020年のリニューアルで浴槽を3つに増設したため、広々と使うことができます。
ちなみに「かんなっくり」とは、越後湯沢エリアの方言で「つらら」を意味するそうです。
足休め かんなっくり
- 住所
- 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢354-9
- 営業時間
- 9:00~21:00
- 定休日
- なし(※冬季(12月上旬〜4月中旬)は閉鎖)
- 料金
- 無料
- アクセス
- 【電車】JR上越線「越後湯沢駅」西口から徒歩約7分
【車】関越自動車道「湯沢」ICから約5分
群馬県みなかみ町から新潟県越後湯沢にかけてのエリアは、土合駅の異世界のような地下空間、諏訪峡や谷川岳の雄大な自然、そして温泉の癒やしと、多彩な魅力が凝縮されています。
個性豊かな宿泊施設も充実しており、日帰り観光はもちろん、温泉宿に泊まってゆっくり過ごすのもおすすめです。
週末の小旅行で、日常から離れた特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した観光スポット
取材・文/望月 優衣 撮影/三原 久明
