箱根・元箱根の静かな森に抱かれ、芦ノ湖と山々の絶景を見下ろすように佇む「箱根芦ノ湖温泉 和心亭 豊月」(以下、「和心亭 豊月」)。すぐそばには関東屈指のパワースポットといわれる箱根神社があり、かつてこの地もその境内の一部だったと言われます。そんな特別な地に息づく、30年以上愛され続ける大人の隠れ宿です。
2024年までに客室や料亭をはじめ館内をリニューアルし、より快適な滞在へ。
湯けむりの向こうに広がる箱根の自然、四季を映すモダン懐石、そして寄り添うようなおもてなし。深呼吸するたびに癒やしを感じ「和のぜいたく」を味わえる「和心亭 豊月」での宿泊体験をお届けします。
目次
- ・アクセス・チェックイン
- ・客室
- ・温泉
- ・リラクゼーションルーム
- ・夕食「モダン懐石」
- ・貸切風呂
- ・エステ
- ・朝食
- ・周辺散策
アクセス・チェックイン
駒ヶ岳山麓に包まれる、箱根の隠れ宿へ
駒ヶ岳山麓に位置し、箱根の自然に溶け込むような滞在ができる「和心亭 豊月」。アクセスは東名高速「厚木I.C.」より車で約60分、「御殿場I.C.」より約40分です。紅葉など四季折々の箱根の風景を楽しみながらドライブすると、立派な門構えの宿に到着します。
電車・バスで行く場合は、箱根登山鉄道「箱根湯本」駅より箱根登山バスに乗り、「元箱根港」バス停が最寄り。「元箱根港」バス停からは、徒歩約15分でも到着しますが、登り坂になるため、無料送迎バスの利用がおすすめです。
笑顔が素敵なスタッフに案内されながら、美しい調度品が飾られた館内へ。宿の名前が刻まれた彫刻は、とあるリピーターの方の作品です。ほかにも、宿には宿泊者から寄贈された作品が複数飾られており、リピーター率約5割を誇る「和心亭 豊月」がいかに愛されているかを感じます。
そして床の間では、季節を感じる「和」を表現。訪れた秋の日には陶芸家である島田恭子さんの益子焼が飾られ、作品を通して秋を感じることができました。
風流な宿の雰囲気に和みつつ、ロビーラウンジでチェックイン。豊かな緑に癒やされる空間で、東には芦ノ湖や箱根神社の鳥居、西には二子山を見渡せます。
チェックインはお着き菓子とスタッフが点てた抹茶をいただきながら。お着き菓子は、ホテルオリジナル和菓子です。「石たたみ」は柔らかく炊かれた黒豆入り、なめらかな口溶けの「龍水」はもち米&小豆入り。本格的な抹茶とともに味わうと、より一層おいしさが増しました。
客室
「和心亭 豊月」自慢の特別室
チェックインを終えたら客室へ。廊下には「月」の名にちなんだ調度品や、季節に合わせたアートが飾られ、目でも楽しませてくれます。
客室は全16室あり、なかでも特別な日に華を添える客室が、宿自慢の「特別室」。2階もしくは3階の角部屋に位置する、宿の中でも最も眺望の良い限定2室の客室です。
窓際のソファからの眺めに目を奪われます。箱根神社の第一鳥居の先にある恩賜箱根公園を含め、芦ノ湖を一望。
さらにこの客室の特別なしつらえが「半露天風呂」です。芦ノ湖を望む、半露天風呂付き客室はこの客室だけ。
宿の地下約100メートルから汲み上げた井戸水「磐境(いわさか)の水」を沸かしたお湯で、湯浴みを楽しめます。「磐境の水」は駒ヶ岳に降り注いだ雨や雪が長年かけて自然にろ過され、清らかな水へと生まれ変わった箱根の天然水。
ちなみに館内の蛇口から出る水はすべて「磐境の水」です。蛇口から出る「磐境の水」ももちろん飲むことができますが、「磐境の水」を詰めたペットボトルのミネラルウォーター「箱根山の天然水」も用意されています。
洗面所はダブルシンクで、ゆとりを感じるつくり。大きな鏡で、朝も複数人同時に身だしなみをととのえられます。
全客室に用意されている化粧水、乳液、洗顔フォームは、「和心亭 豊月」のオリジナル化粧品「Luna creciente(ルナクレシエンテ)」シリーズ。ミネラルをたっぷり含んだ「磐境の水」をベースに、天然のバラ油を配合しており、スキンケアをするたびにローズの香りに癒やされました。
約76平米の客室内には、ドアで区切られたベッドルームも。2台のシモンズ社製セミダブルベッドが用意されており、もし3人以上で宿泊の場合はリビングに最大4枚の布団を敷いてもらうこともできます(定員6人)。
館内着として用意されているのは市松模様や月に住むうさぎがデザインされた浴衣。1人あたり2枚ずつ用意されているのも、うれしい心遣いです。
客室に深みをもたせる、国指定・伝統的工芸品である「箱根寄木細工」。樹木それぞれの自然の色味を活かした幾何学模様がとても美しく、その丁寧な手仕事にふれることができます。
一際大きな箱根寄木細工の箱。ここに入っているのは、「和心亭 豊月」に宿泊した人たちの“想い”です。宿泊者が自由に記せる「旅の想い出」は、自分の想い出を綴るだけではなく、過去の宿泊者の想いにもふれることができます。
旅の思い出を読みながら、お茶を味わうのも楽しいひととき。静岡県産・岡部茶のほうじ茶と煎茶が用意されています。
和モダンツインA(TYPE 1A)
客室は全7タイプで、特別室以外にも芦ノ湖を一望できる客室はあります。「和モダンツインA」(TYPE 1A)もその一つ。ソファやベッドから箱根の山々と芦ノ湖を見渡せます。広さは約37平米、定員2人。
「和モダンツインA」(TYPE 1A)の特徴が「ワークスペース」。掘り座卓式のデスクがあり、箱根の自然を感じながら作業ができるので、ワーケーションにも適した客室です。デスク横のポートは電源コンセントだけではなく、USB Type-C、USB Type-Aにも対応しています。
和モダンツインB(TYPE 1B)
「和モダンツインB」(TYPE 1B)も、芦ノ湖を一望できる客室。広さ約37平米、定員2人で、夫婦・カップルはもちろんのこと、女性2人での宿泊にもぴったりです。
「和モダンツインA」(TYPE 1A)との違いは窓際のカウンター。木製の温もりあふれるカウンターやソファで自然を眺めながら、飲み物片手にゆったりとしたひとときを。
温泉
湯けむりの先に見える、箱根の大自然に癒やされる
客室でゆったりくつろいだ後は、2024年7月にリニューアルした「温泉大浴場」へ。内風呂「湯けむり月」・露天風呂「出合い月〜灯〜」、そして内風呂「月見の湯」・露天風呂「風月の湯」が基本的に月替わりで男女入れ替えとなります。
内風呂「湯けむり月」は、内風呂とは思えないほど開放的な箱根の景色を見渡せる半円形の湯船。内風呂は単純硫黄温泉である芦ノ湖(元箱根)温泉と「磐境の水」を掛け合わせたお湯です。
露天風呂「出合い月〜灯〜」は単純硫黄温泉を掛け流し。温泉らしい硫黄の香りが、心まで優しくほぐしてくれます。夜になると月が見え、ヘッドレストに頭をあずけながら月を愛でる時間は、とても風流です。
内風呂「月見の湯」も、大きなガラス窓から望む景色が魅力。四季折々の風景が映し出され、この日はほんのり紅葉した箱根の秋を感じることができました。
露天風呂「風月の湯」の湯船は、岩風呂からモダンなタイルデザインに全面リニューアルしています。湯けむりの先に見えるのは、箱根の山々。硫黄が香る湯気と澄み切った箱根の空気を深く吸い込み、単純硫黄温泉の湯を楽しむひとときは、至極のぜいたくでした。
各洗い場に用意されているシャワーは高級ヘアケアブランドの「ReFa」。毛穴より小さなファインバブルで、肌も髪も汚れをしっかりと落としながらうるおいを与えてくれます。女湯のドライヤーも「ReFa」です。
ローズ香るシャンプー・トリートメントは、「和心亭 豊月」オリジナルの「Luna creciente」シリーズ。パラペンフリー&アルコールフリーのアミノ酸系シャンプーと、シアバター配合のトリートメントです。女性の大浴場には「Luna creciente」のスキンケアのほか、メイク落としも用意されており、手ぶらで訪れても安心。
湯上がりには「磐境の水」や「ヤクルト」で水分補給を。ヤクルトは24時間、いつでも飲めるようにスタッフの手で準備されています。
リラクゼーションルーム
1993年の開業当時より綴られた「旅の想い出」も
夕食までの時間は、リラクゼーションルームへ。ここにはマッサージチェアがあり、「和心亭 豊月」自慢の蔵書とともにくつろぎの時を過ごせます。大人はマッサージチェア、そして子どもは絵本やハンモックを楽しめる空間なので、ファミリーにも人気です。
注目は、ずらりと並ぶ「旅の想い出」。開業時から綴られている宿泊者の想いが、この棚に集結しています。家族旅行の思い出、赤ちゃんが生まれて2回目に再訪した宿泊者の思い出……自分がまた次に泊まりに来た時に、探してみるのも面白いですね。
夕食
繰り返さない献立。「本当の旬」を味わう
旬の食材をふんだんに使った「料理」も、「和心亭 豊月」に滞在する楽しみの一つ。宿泊者専用の料亭は、全室個室で、気兼ねなく水入らずの食事を楽しむことができます。
季節によって変化する「モダン懐石」のコンセプトは、「繰り返さない献立、名物料理はつくらない」。あえて「和心亭 豊月」の顔となるような料理をつくらないことで、箱根や日本の「本当の旬」を味わってほしいという想いが込められています。この日訪れた神無月(10月)の献立は、「南瓜夜」。すすきの穂が垂れる箱根の秋に合わせた秋の実りをふんだんに使った料理の数々で、献立は書道準師範の若女将の達筆です。
先附「秋の彩り色々」からスタートした懐石は全9品。「秋の彩り色々」は芦ノ湖産鱒の昆布締めや、あんきもペーストをあしらった静岡産の海老芋などが、秋らしい器で登場しました。空芯菜やいちじくは「箱根西麓野菜」。地元の旬を、美しい料理で味わえます。
続いては、丁寧な昆布出汁の旨みを感じる御椀「鮑と蕪のすまし仕立て」。
「風まかせ俺まかせ造里」とユニークな献立名で登場したのは、マグロ、コチ、トラフグの御造里。「和心亭 豊月」では豊洲市場のマグロ仲卸「やま幸」から仕入れた、漁から一度も凍らせない「生マグロ」を使用しています。生マグロはスッと溶けるような口どけと濃厚な旨み。豊洲で早朝に競り落とされた魚はその日の昼には宿に届くそうで、箱根にいながら上質な海鮮も味わえます。
お月様のような美しい蒸し物「萩豆腐 雲子~菊菜あん~」をいただいた後は、焼物「秋刀魚柚庵焼と焼茄子」。こちらは、脂ののった北海道サンマを存分に味わえた一品。この料理のペアリングとして、ウイスキー「知多」(770円)のロックをいただきました。サンマの香ばしさと、ウイスキーの熟成感が絶妙にマッチ。ほかにも「御造里」には日本酒「久保田 萬寿」など、その月の献立に合わせたペアリングを楽しめます。
お凌ぎには、秋らしい色合いの赤ワインを練りこんだ「豊月うどん」が登場。
丁寧な料理人の手仕事をふんだんに感じた、中皿「牛たんの大和煮」。じっくりと煮込まれた牛たんはホロホロ崩れるほどで、細やかな下ごしらえがほどこされたアスパラやレンコンと一緒に楽しめました。
締めの水菓子は地物のかぼちゃを使った「かぼちゃプリン」に、富有柿を添えて。最後まで秋らしさあふれる料理はすべてがおいしく、「本当の旬」を嗜むぜいたくを体験できました。
貸切風呂
プライベートな空間で「磐境の水」の湯を楽しむ
夜は貸切風呂「磐境の湯」で、プライベートな湯浴みを楽しむのもおすすめです。お湯はあえて温泉ではなく、「磐境の水」を使用。1回2,200円もしくはプラン特典で楽しめます。
貸切風呂「磐境の湯」は「星」と「月」の2種類。どちらも円弧状の水盤が美しいテラスが設置されていて、チェアに座りながら星や月を愛でる、外気浴も楽しめます。
エステ
アロマの香りに癒やされながら、東洋医学発想のトリートメントを
さらなる安らぎを得るなら、「山のエステ」で「経絡トリートメント」を。「経絡トリートメント」とは鍼灸師が考案した東洋医学における元気の通り道「経絡」をととのえる「山のエステ」独自のトリートメントで、「アロマテラピー」や「タラソテラピー」の要素も取り入れながら極上の癒やしへと導きます。
人気はドイツのオーガニックアロマ&スキンケアブランド「プリマヴェーラ」のオイルを使った「アロマてあて(30分 9,130円〜)」。4種類からアロマを選ぶことができ、気に入った香りとスペシャリストによるトリートメントの相乗効果で、そのまま眠りにつきたくなるほどリラックスできます。
宿からのうれしいサプライズ。記憶に残る「いなり寿司」
客室に戻ると、テーブルに夜食として「いなり寿司」が置いてありました。夕食でお腹が満たされたはずでしたが、その心遣いがうれしく、つい手を伸ばしてしまいます。
朝食
箱根西麓野菜や静岡のブランド鶏に舌鼓
翌朝は露天風呂の温泉から1日をスタートし、「料亭 向月」へ。この日は二子山や芦ノ湖の絶景が見える個室で秋晴れを楽しみながら、朝食を味わいました。
朝食も季節に合わせた料理を楽しむことができ、この日は静岡県産のブランド鶏「富嶽白鶏(ふがくはっけい)」の塩焼きや「金目鯛の煮付け」に舌鼓。丁寧に仕込まれた箱根西麓野菜がおいしく、サラダ一つとってもほかとは違う洗練された味わいを感じました。
白米と味噌汁だけではなく、「出汁茶漬け」が楽しめるのもうれしいおもてなし。さらに水菓子の豆乳プリン・葡萄も用意され、朝から幸福感で満たされました。
食後はラウンジに移動し、コーヒーでほっと一息。ジュースも用意され、美しい風景を眺めながら好きなドリンクを片手に出発までの時間を楽しめます。
周辺散策
森林を抜けて。徒歩約5分の箱根神社へお散歩
朝食の前後は宿から徒歩約5分の「箱根神社」に行くのがおすすめです。森の中を抜ける小道があり、自然の涼やかな空気を感じながら神社へと向かうことができます。帰り道は上り坂になり、朝のいい運動にも。
箱根神社は運開きの神様として信仰されており、商売繁盛・縁結びにご利益のある九頭龍神社(新宮)にも参拝が可能です。そして樹齢1,000年を超える安産杉は根幹が健全なる母胎の象徴とされ、古くから子孫繁栄や安産祈願として盛んにお参りされています。フォトジェニックな平和の鳥居は大変人気のため、早朝に訪れると、人の少ない神聖な空気の中お参りできますよ。
「SUN SAN D」のバターサンドと抹茶ラテを満喫
チェックアウト後は芦ノ湖畔に向かい、観光を。 その際訪れたいのが、「和心亭 豊月」が手掛ける箱根初のバターサンド専門店「SUN SAN D(サンサンド)」。隣接する工房でクッキーから焼き上げた極上のバターサンドやクッキーサンドを購入できます。
バターサンドは「プレーン」、「ダブルチョコレート」、「ピスタチオ&ベリー」、「抹茶toかのこ豆」の4種類(各400円、要冷蔵)。一番人気はレモンピールの爽やかな味わいが好評のプレーンです。友人や家族へのお土産は、常温で持ち運べるクッキーサンドもありますよ。
バターサンドは湖畔で、「抹茶ラテ」(650円)と一緒に味わうのが一押し。抹茶ラテは素焚糖(すだきとう)シロップにスタッフが一杯ずつ点てた抹茶とミルクを注ぎ、さらにふんわり泡立てたミルクをあしらったこだわりのドリンクです。ほんのり苦味のある抹茶とバターサンドは相性が良く、湖を眺めながら食べればおいしさもひとしおです。
スタッフの温かみ、美しい箱根の自然と温泉、旬を楽しめる料理……日本の温泉旅館ならではの、洗練されたおもてなしを感じられる「和心亭 豊月」。リピーターの中には何十回と宿泊する人もおり、大切な人と一緒に泊まる時に、安心して選べる宿です。和の心にふれられる箱根の温泉旅館で、心癒やされるひとときを過ごしませんか。
箱根芦ノ湖温泉 和心亭 豊月
- 住所
- 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根90-42
- チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:18:00)
- チェックアウト
- 11:00
- 総部屋数
- 15室
- アクセス
- 【電車】小田急線「箱根湯本」駅よりバス、またはタクシー/「元箱根」・「元箱根港」バス停より送迎
【車】東名高速「厚木」I.C.より車で約60分、「御殿場」I.C.より約40分
取材・撮影・文/小浜みゆ
