令和6年能登半島地震の発生から1年以上が過ぎ、復興が徐々に進んでいる石川県・能登半島。他県に住んでいると、「現地を観光して応援したいけれど、今はどこに行っていいのかわからない」と迷いますよね。そこで今回は「能登デスクさん」の愛称で知られる一般社団法人・能登半島広域観光協会の中山智恵子さんと一緒に、2025年春の能登半島バスツアーへ!
プリプリ大きな春の「能登かき」をたっぷり楽しめる牡蠣漁師直営の食事処や、4月にスタートしたのと鉄道「震災語り部観光列車」など、能登の最新情報をレポートします。そこには毎春訪れたくなる能登の魅力が詰まっていました。
※2025年4月13日時点の情報です。観光地の状況やサービス内容は変更となっている場合があります。
能登を知り尽くす案内人と行く春の能登をめぐる旅
今回参加したのは「【体感!金沢の旅】能登を知り尽くす案内人と行く春・おすすめの能登をめぐる旅」。金沢発のバスツアーを催行する株式会社丸一観光の1日限定ツアーです。能登を知り尽くす案内人の中山さんがナビゲートするこのツアーは今回で4回目を迎え、リピーターにも人気を集めています。
ツアーに組み込まれたスポットは、中山さんが自分の足で訪れ、お店や施設から「ぜひ遊びに来てください」と太鼓判を押してもらっているところ。バスツアーの冒頭には「実際見ていただいたらわかると思いますが、奥能登に足を踏み入れるとやはりまだ目を覆いたくなるような場所もたくさんあります。しかし、私はみなさんが問題なく楽しめる場所を発信しているので、ぜひ参考にして能登を訪れてほしいです」と話してくれました。
日本唯一!車で走行できるビーチ「千里浜なぎさドライブウェイ」
金沢駅を出発し、最初に訪れたのは羽咋(はくい)市にある「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」! 全長約8キロメートル砂浜を、車で走れる日本唯一の観光道路です。車でも走れる理由は、砂の粒が細かく固まりやすいため。この日は小雨か降っていましたが、波は穏やかで、全線通行可能でした。ビーチを気持ちよく車で走る体験は、ここでしかできません。
千里浜なぎさドライブウェイ
砂浜を走り抜けたら、道の駅「のと千里浜」で小休憩。お菓子・野菜・地酒など地元の名産品が並び、なぎさCAFEでは深煎りの「千里浜ブレンド」(500円)や浅煎りの「なぎさブレンド」(500円)などをハンドドリップで提供してくれます。地元の味を楽しみながら、次の目的地へ向かう活力を充電しましょう。
いい道の駅 のと千里浜
- 住所
- 石川県羽咋市千里浜町タ1-62
- 営業時間
- 9:00~17:00 ※店舗により異なる
- アクセス
- 【車】のと里山海道「千里浜」IC下車すぐ
【電車】「金沢」駅から「羽咋駅」下車(約45分)、市営循環バスで約11分 - 詳細
- いい道の駅 のと千里浜公式サイト
嫁ぐ娘を想った婚礼風習にふれる。絢爛豪華な「花嫁のれん館」
羽咋市から北西に進み、イルカショーが人気の「のとじま水族館」や、有名な「和倉温泉」がある七尾市へ。
ここでは絢爛豪華な加賀藩の文化を感じられる「花嫁のれん館」を見学しました。花嫁のれん館は、結婚の際に花嫁がくくる「花嫁のれん」を展示している施設です。加賀藩の領地内であった能登・加賀・越中の婚礼風習の一つで、幕末から令和の現代に至るまで続いています。
のれんは初め、木綿に藍染などシンプルなものでしたが、昭和以降は絹のちりめんで華やかなデザインが主流に。
嫁入りの時、たった1度だけくぐる「花嫁のれん」は、昔「のれんをくぐらにゃ嫁になれん」と言われていたほど大切な婚礼道具で、その美しさから嫁ぐ娘への想いを感じることができます。
現在は常設展示室「明治から平成までの花嫁のれんの移り変わり」と、2025年6月30日(月)までの第54回企画展「花のれん展 ー加賀紋と彩りの花々‐」が開催。企画展では花をモチーフにした美しい花嫁のれんを鑑賞できます。
花嫁のれん館
- 住所
- 石川県七尾市馬出町ツ部49
- 開館時間
- 9:30~16:00(入館は15:30まで)
- 休館日
- 年末年始
- 入館料
- 高校生以上550円、小中学生250年、幼児無料
- 詳細
- 花嫁のれん館公式サイト
絶品「能登かき」をたっぷりと!牡蠣漁師直営の「炭火ダイニングike」
お楽しみのランチは中山さんイチオシの「炭火ダイニングike」へ。牡蠣漁師である助八水産直営店で、七尾西湾で育った「能登かき」を思う存分楽しめます。
「みなさん、牡蠣というと冬をイメージすると思うのですが、実は産卵前の春は身がとても大きくて、おいしいんです!」と中山さん。
「牡蠣づくし和コース」(4,500円)は牡蠣3種盛、焼き牡蠣(8個)、牡蠣フライ(4個)、牡蠣釜飯、お味噌汁、お漬物と、能登かきを思う存分味わえるぜいたくなラインナップ! 焼き牡蠣は能登の珪藻土(けいそうど)で作られたコンロと備長炭で焼いていきます。
遠赤外線効果で焼いた能登かきはプリプリでクリーミー! そして春の牡蠣は驚くほど大きく、口に入れた瞬間に広がる海の旨味に思わず笑みがこぼれます。焼き牡蠣は「能登ワイン」のシャルドネと合わせるのも、素敵な地元マリアージュとなります。
「炭火ダイニングike」は能登産の牡蠣を食べられるお店が点在する「能登かき街道」にある食事処の一つ。ほかにも魅力的なお店がありますが、中山さんが迷った末にikeをおすすめする決め手となった料理が「牡蠣フライ」です。
牡蠣を3~4個まとめて揚げるという斬新な牡蠣フライで、まるでメンチカツサイズ! 能登かきの提供は11~5月ごろまでの期間限定で、それ以降は岩牡蠣が食べられる予定です(海の状況によって多少前後することもあり)。
中山さん「能登の人は牡蠣フライを醤油で食べることが多いです。ぜひ大きな牡蠣フライ、お試しください!」
炭火ダイニングike
- 住所
- 石川県七尾市中島町浜田2-10
- 営業時間
- 11:00~15:00(L.O.14:00)/17:30~20:00(L.O.19:00 ※火・水曜日以外)
- 定休日
- 牡蠣シーズン期間(11~5月)不定休、シーズンオフ期間(6~10月)火曜日
- アクセス
- 【車】のと里山海道「横田」ICから約5分
【電車】のと鉄道「能登中島」駅から徒歩約5分 - 詳細
- 炭火ダイニングike公式サイト
能登の美しさと、あの日の記憶を知る「震災語り部観光列車」
続いては「和倉温泉」駅からのと鉄道「震災語り部観光列車」に乗車。のと鉄道は震災から普通列車のみ運行していましたが、2025年4月6日から観光列車が再開となりました。
2025年夏までのスケジュールは、5月11日までの土・日・祝日、7月19日~8月31日の土・日・祝日に運行を予定しています。
「震災語り部観光列車」は震災を経験した語り部が乗務。地震発生時の能登に何があったのか、そして能登の現状を自身の言葉で語ってくれます。
この日の語り部は、地震発生時に観光列車内にいた宮下左文さん。まず、宮下さんが案内してくれたのは車内の美しい装飾。車内は田鶴浜建具の組子細工、輪島塗、珠洲焼など能登ならではの伝統工芸品で彩られています。
車窓を眺めていると、見えるのは美しい能登の海と山の風景。そして、震災の爪痕です。まだ倒壊したままの家が残り、斜めになった電柱も。地震発生から、時が止まっているようでした。
宮下さんは2024年1月1日16:10頃、「能登中島」駅で乗客・乗務員合わせて48人とともに停車中の車内にいました。その出発に合わせたかのように震度7の地震が発生。大津波警報が流れると、駅前の坂を上り、乗客と一緒に避難したそうです。宮下さんの実体験を聞くことで、防災の大切さ、そしてまだまだ支援が必要な能登の現状を実感できます。
終点に近づき、乗客を迎えてくれたのは両側に桜が満開に咲き誇る「能登鹿島」駅の絶景! この日はあいにくの天気だったものの、能登の桜は曇り空を吹き飛ばすような美しさでした。
震災語り部観光列車の終点は「穴水」駅。そこから普通列車に乗り換えて折り返し、もう一度「能登鹿島」駅へ向かいました。
能登鹿島駅は「能登さくら駅」の愛称で知られ、春には約100本の桜並木を満喫できます。のと鉄道はこの他の駅や沿線でも桜を見ることができ、この日も多くの人が写真撮影を楽しんでいました。
震災語り部観光列車
- 運行日
- 4月6日~5月11日までの土日祝日、7月19日~8月31日までの土日祝日に運行
※以降は夏頃に決定 - 運行便
- 普通列車に増結して1日3往復
- 料金
- 七尾駅⇔穴水駅:大人1,750円、小人1,330円(乗車運賃+900円)
和倉温泉駅⇔穴水駅:大人1,590円、小人1,250円(同上) - 予約方法
- 1カ月前から前日12:00(Webは前々日)までにWeb、電話(0768-52-2300)、穴水駅窓口(10:00~17:00)で予約
※空席がある場合は当日受付可 - 詳細
- のと鉄道公式サイト
能登ならではのお土産が買える!「能登食祭市場」
ツアーの最後は七尾市の「能登食祭市場」でお土産探し。中山さんにおすすめを聞くと「能登に来ると、みなさんとても元気でパワーをもらえます。能登の魅力は、人です!」と、鮮魚売り場へと連れて行ってくれました。
寿司や刺身はとてもおいしそう! 夕方に訪れたので「今なら半額だよ」と店員さん。能登の人たちとふれあいながらお買い物ができるのが、中山さんのおすすめポイントです。
みんなに配るお土産なら「中島菜うどん」(2人前550円)や、能登の銘菓であるみそまんじゅう本舗 竹内の「みそまんじゅう」(5個入り900円)も中山さんのイチオシ。「中島菜うどん」は能登野菜の中島菜を使用している、美しい翡翠(ひすい)色のうどんです。他にも中島菜を使ったパスタやマカロニもおいしそうでした!
能登食祭市場
- 住所
- 石川県七尾市府中町員外13-1
- 営業時間
- 平日10:00~16:00、土日祝日9:00~17:00 ※グルメ館は店舗により異なる
- 定休日
- 火曜日(祝日の場合は営業)、元日
- アクセス
- 【電車】JR「七尾」駅から徒歩約10分
【車】のと里山海道「田鶴浜」ICから約18分 - 詳細
- 能登食祭市場公式サイト
来年の春もきっとまた訪れたくなる能登
能登から金沢駅に戻り、バスツアーは終了。牡蠣のおいしさと桜の絶景に感動し、能登の魅力をたっぷりと満喫できました。そして震災語り部観光列車に乗車し、遠方に住んでいてはわからない能登の復興の歩みを知ることができました。
今回紹介した多くのスポットは能登の有名温泉地・和倉温泉周辺になるので、和倉温泉を拠点に1泊2日の旅もおすすめです。養殖の能登かきが味わえるのは5月ごろまでなので、ぜひ能登への旅を計画してみてくださいね!
営業を再開している和倉温泉の宿(※2025年4月時点)
取材・撮影・文/小浜みゆ
