宮城県の南部に位置する白石(しろいし)市は、江戸時代より栄えた伊達家ゆかりの城下町です。市内には、今も歴史情緒漂う名所や旧跡が残されています。
伝統工芸である「弥治郎(やじろう)こけし」の絵付け体験をしたり、少し足をのばして蔵王連峰の火口湖「御釜(おかま)」や、愛らしいキツネと触れ合える「宮城蔵王キツネ村」を訪れたりと、多彩な楽しみ方ができるのも魅力。仙台から電車でも車でも1時間以内と、アクセス便利な白石市の観光モデルプランをご紹介します。
目次
白石市はどんな街?アクセスをチェック
宮城県と山形県にまたがる蔵王連峰。その宮城側のふもとに位置するのが白石市です。
見どころは市のシンボルである「白石城」。歴代にわたり伊達家の重臣として活躍した片倉家がおさめた城で、全国から多くの歴史ファンが訪れるほど人気の観光地です。毎年、春になると200本以上の桜が咲き乱れ、県内での有数のお花見スポットとしても知られています。
市内には新幹線の駅であるJR白石蔵王駅と、在来線の駅であるJR白石駅があるため、宮城・蔵王エリアを観光する際の拠点にすると移動がスムーズ。また、至るところに堀や水路、武家屋敷などが現存し、城下町だった当時の名残を感じられるので街歩きにもぴったりです。
白石へのアクセス
東京から向かう場合、東京駅から東北新幹線を利用すれば、白石蔵王駅まで乗り換えなしで約2時間。白石駅を目指す場合は、まずは東北新幹線に約1時間30分乗って仙台駅へ。そこから白石駅までは約50分です。
市内のスポットを巡る際は、白石蔵王駅前でレンタカーを借りるのがおすすめ。
城下の歴史スポットへ向かうなら、レンタサイクル(1日800円※保証金込み)を利用するのも便利です。白石蔵王駅や白石城のふもとにある「白石城歴史探訪ミュージアム」などで借りることができます。
「白石駅」では電動アシスト付き自転車(4時間2,000円※保証金込み、延長200円/1時間)も借りられますよ。
街のシンボル・白石城を探訪
白石エリアに到着したら、白石城を目指しましょう。白石駅から徒歩約15分、市の中心部に位置しています。白石駅から西へ10分ほど歩き、まずは最寄りの駐車場「城下広場」へ。そこから5分ほど坂を上ると、高い石垣の向こうに白石城が見えてきます。
白石城は、中世末期に地元の土豪である白石氏の居城として建てられました。1590(天正18)年、豊臣秀吉の天下統一によって家臣の蒲生氏郷(がもううじさと)の城となりますが、1600(慶長5)年、関ヶ原の戦いの直前に伊達政宗が攻略して伊達領へ。以来、明治維新までの260余年もの間、伊達の重臣である片倉家の居城としてあり続けました。
明治時代に一度解体されましたが、時を越え、1995(平成7)年に、天守閣と大手一ノ門、二ノ門が復元。日本でも数えるほどしかない、木造復元天守の名城として知られています。
城の歴史に思いをはせる
白石城の天守閣は3階建てで、戦後の木造復元天守閣では日本最大級の広さと高さを誇ります。入り口は急な石段。建物全体が極力、昔の姿を残すためにバリアフリーになっていないので、足元には十分気をつけて上ってください。
1~2階では城の歴史や城主の変遷が学べる資料などが展示されています。全国でも有数の木造復元天守閣の内部をしっかりと見てもらうために、展示品やパネルの数はあえて少なく配置しているそう。
建物に使われている木材は柱が吉野桧(よしのひのき)、化粧材は青森ヒバ、山陰地方の松丸太、赤杉とすべて国産材。補強金具などは使われていませんが、数百年の歳月に耐えられる強度を保っています。そのため、日本古来の建築様式に基づいた木造復元として、学術的な評価も高いとのこと。
内部の階段は、上り降りを躊躇するほど急な造り。これは、はしごをかけて上り降りしていた往時の姿をなるべくそのままに伝えるためなのだとか。かつては武器の保管場所だったというこの天守閣で、侍たちが走り回る様子が目に浮かぶようです。
城下の眺めを楽しめる天守閣
3階の天守閣からは白石城下を一望でき、蔵王連峰の豊かな自然を眺めることができます。かつては城外を見張るための「物見櫓(ものみやぐら)」としても使われていました。この30畳ほどの室内で、敵の情勢を分析しながら軍議が開かれていたのかと思うと感慨深いですね。
歴代の当主たちは、ここからの景色をどんな気持ちで見ていたのか。想像が膨らみます。
白石城では甲冑の着付け体験(16,500円~)が可能です。足軽に扮したスタッフのサポートで、兜、胴、籠手、刀、陣羽織などを着用し、立ち振る舞いやポージングの指導を受けたうえで、自分たちで写真撮影することができます。お城の中で武将気分をとことん満喫してみるのもいいですね。
所要時間は1時間ほど。申し込みサイトなどから予約可能です。
また、敷地内にある「白石城歴史探訪ミュージアム」(入場無料)では、「御城印」(300円)が販売されています。月ごとに桜や梅、やまぶきなどデザインも異なるので、旅の記念に購入してみてはいかがでしょうか。
白石城
- 住所
- 宮城県白石市益岡町1-16(益岡公園内)
- 営業時間
- 4~10月/9:00~17:00、11~3月/9:00~16:00
※入館は閉館の30分前まで - 定休日
- 12月28日~12月31日
- 入館料
- 大人400円、小中高生200円、未就学児無料
- アクセス
- JR「白石」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- 白石城
武家屋敷で静寂に浸る
白石城とあわせて行きたいのが武家屋敷。白石城主・片倉家の家臣、小関家が住んでいた屋敷です。天守閣から徒歩10分ほどの住宅街に建っています。
江戸時代中期、享保年間に建てられた県の指定文化財です。1991(平成3)年に主屋、門、塀が小関家から白石市に寄贈されたのを機に、全面的に修復されました。白石の歴史を伝えるスポットの一つです。
うっそうとした庭樹の向こうに寄棟造(よせむねづくり)の母屋が、当時の姿そのままにひっそりと建っています。「ちゃのま」「なかま」「なんど」と部屋が続く内部は、薄暗く、庭から入る日の光とのコントラストは、思わず見入ってしまうほどの美しさ。まるで、タイムスリップしたかのような気分に浸れます。
武家屋敷
- 住所
- 宮城県白石市西益岡町6-52
- 営業時間
- 4~10月/9:00~17:00、11~3月/9:00~16:00
※入館は閉館の30分前まで - 定休日
- 12月28日~12月31日
- 入場料
- 大人200円、小中高生100円、未就学児無料
- アクセス
- JR「白石」駅から徒歩約20分
- 公式サイト
- 武家屋敷
ランチは「白石温麺」を堪能
白石のご当地グルメといえば「白石温麺(うーめん)」。江戸時代に誕生したという郷土料理です。そうめんによく似ていますが、胃に負担をかけないよう油を使わない製法が特徴。また、形状も長さ9センチメートルと短く、つゆがはねにくい長さになっています。
明治後期の商家を改装した、風情あるたたずまいの「やまぶき亭」は、白石温麺の専門店。場所は、白石城から徒歩約10分です。
席数120の広い店内で、自慢の熟成麺をゆったりと味わうことができます。
「とろ玉うーめん」(1,350円)や「キノコのおくずがけうーめん」(1,400円)などさまざまなメニューがありますが、一番人気は「天ぷらうーめん」(1,750円)です。麺はつるりとした食感と上品な舌ざわりが特徴的で、すっきりとした味わい。注文が入ってから揚げるサクサクの天ぷらとの相性が抜群です。冷と温から選ぶことができます。
店内の一角にはお土産スペースも。「やまぶき亭 オリジナルうーめん」(650円)はお土産に最適。5食分の「めんつゆ」(432円)も販売されているので、自宅でも手軽に「やまぶき亭」の味を楽しめますよ。
やまぶき亭
- 住所
- 宮城県白石市城北町6-13
- 営業時間
- 11:00〜14:00
- 定休日
- 水曜日
- アクセス
- JR「白石」駅から徒歩約15分
- 公式サイト
- やまぶき亭
「弥治郎こけし村」で絵付け体験
温麺でお腹を満たしたら、白石の伝統工芸品に触れましょう。「やまぶき亭」から車で約10分の「弥治郎こけし村」へ向かいます。
東北の温泉地のお土産として知られる「こけし」。製法や柄などによっていくつかの系統に分かれています。なかでも白石を産地とする「弥治郎系こけし」は、頭部や胴部を色彩豊かに彩るろくろ線の美しさが特徴的です。
「弥治郎こけし村」では、そんな「弥治郎系こけし」の成り立ちを学び、こけし工人やスタッフのサポートを受けながら、手回しろくろを使った絵付けを体験できます。
こけしの歴史を学べる展示室
こけしは、江戸時代後期に木地師(きじし)※たちが湯治場で販売するお土産品として作り始めたことがきっかけで生まれたそう。
1階の展示室では、こけしの歴史や、製作工程、こけしの10の系統などが紹介されています。図版や資料、実物のこけしの展示などが豊富で、時間を忘れてついつい見入ってしまいます。
※木地師…広葉樹の木を伐採し、轆轤(ロクロ)という工具で、盆やお椀などの木工品を加工・製造する職人のこと
絵付けを体験しよう
こけしの絵付けは2階で体験可能です。予約なしでも参加できますが、予約するとより詳しいサポートを受けられます。特に週末は混み合うので、前もって予約しておくのがベター。こけし工人に詳しく教えてもらいたい人は、予約時にその旨を伝えておきましょう。
こけしは顔から描き始めます。墨汁を使って、まずは眉から。描き方は自由ですが、かわいらしい表情を目指すなら、眉を細く優雅に書くのがポイントです。こけしを膝で固定し、力を抜いてスッと筆を引きます。一発勝負なのでドキドキです。
顔を描いたら、「弥治郎こけし」に欠かせないろくろ線を引きます。均一な線を描くのは至難の業ですが、慣れてくるとだんだんとまっすぐな線が引けるようになりますよ。
襟や裾を描いたら完成です。所要時間はおよそ1時間。あっという間に時間が経ってしまいました。完成後は絵具をドライヤーで乾かしてもらえるので、当日そのまま持って帰ることができます。
また、「弥治郎こけし村」の庭にはこけし工人の工房が点在しています。匠の技を間近で見られるので、ぜひ立ち寄ってみてください。絵付けを体験してから見学すると、工人が高度な技術を難なくこなしていることを実感できます。工人が不在の場合もあるので、見学したい人は事前に公式SNSで工人がいる日を確認しておくと安心です。
弥治郎こけし村
- 住所
- 宮城県白石市福岡八宮字弥治郎北72-1
- 営業時間
- 4~10月/9:00〜17:00、11~3月/9:00〜16:00
- 定休日
- 水曜日(祝日の場合は翌平日)
- アクセス
- 【電車】JR「白石」駅からタケヤ交通で約17分(水曜日運休)、または白石市民バス「きゃっするくん」福岡線弥治郎こけし村行で約24分(土・日・祝日運休)
【車】東北自動車道「白石」ICから約20分
キツネに癒やされる「宮城蔵王キツネ村」
「弥治郎こけし村」から車を走らせること約30分、「宮城蔵王キツネ村」が見えてきます。およそ150頭のキツネが飼育されている、キツネ専門の動物園です。
カウンターで入場券を購入し、キツネと触れ合う際の注意事項を確認したら奥へと進みます。注目は、お昼寝したり遊んだりしている約100頭のキツネが見られる「キツネ放し飼いエリア」。赤毛のキタキツネが多いのですが、なかには黒っぽい子や、白っぽい子なども。思い思いに過ごす姿に癒やされます。
キツネの抱っこ体験(1回600円)も可能です。11時と14時の1日2回実施していますが、キツネの体調や天候によっては中止になることも。体験のキツネは、抱っこに慣れた子たちなので、ルールを守れば安全に抱っこできますよ。もふもふのキツネはずっと抱っこしていたくなるほどのかわいらしさです。
体験では大人のキツネを抱っこしますが、毎年5月と6月だけは子ギツネが登場します。子ギツネを触ってみたい人は時期を狙っていきましょう。
屋外の施設なので足場の悪い場所もありますし、冬には雪が積もることもあります。歩きやすい靴を選んで訪れてください。また帰る前には、キツネ型のお土産が豊富にそろう売店のチェックもお忘れなく。
宮城蔵王キツネ村
- 住所
- 宮城県白石市福岡八宮字川原子11-3
- 営業時間
- 冬季/9:00~16:00、夏季/9:00~16:30(最終入場は閉園の30分前)
※営業時間の切り替わりは毎年異なる - 定休日
- 水曜日(2月・8月・5月の連休、祝日の場合は営業)
- 入館料
- 大人(中学生以上)1,500円、小学生以下無料
- アクセス
- 【電車】JR「白石」駅からタケヤ交通で約29分(水曜日運休)、または白石市民バス「きゃっするくん」福岡線不忘方面行で約45分(月・水・木・土・日・祝日運休)
【車】東北自動車道「白石」ICから約20分 - 公式サイト
- 宮城蔵王キツネ村
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霊峰の火口湖・御釜へ
旅の締めくくりは蔵王の御釜へ。車でアクセスする際は、「宮城蔵王キツネ村」から北西へ向かって20分ほど走り、「蔵王大権現大鳥居」へ。そこから鳥居をくぐって山岳道路「蔵王エコーライン」(通行料無料)に入ります。
「蔵王エコーライン」を進んだら、山頂・県境付近にある有料山岳道路「蔵王ハイライン」(通行料 普通自動車550円)に入りましょう。5分ほど走った先に、「蔵王ハイライン」の終点「蔵王刈田岳山頂駐車場」があり、そこから3分ほど歩いたら展望台に到着です。
または、「蔵王刈田リフト」(9:00~16:00)を利用する方法も。「蔵王ハイライン」の分岐を通りすぎて、そのまま「蔵王エコーライン」を走り続け、山形県側まで進むと「刈田駐車場」が見えてきます。
ここから展望台付近まで、「蔵王刈田リフト」(往復800円)に乗ることができます。リフトの乗車時間はおよそ8分。降り場から4分ほど歩けば御釜の展望台に到着です。御釜は標高1,600mなので、寒さ対策はしっかりと。
蔵王刈田リフト
- 住所
- [リフト乗り場]宮城県刈田郡七ヶ宿町大平
- 営業期間
- 4月下旬~11月初旬
- 営業時間
- 9:00~16:00
- 定休日
- 営業期間中は無休
- アクセス
- JR「白石」駅から車で約1時間10分
御釜は、蔵王刈田岳・熊野岳・五色岳の3峰に囲まれた釜状の火口湖です。湖面はエメラルドグリーンに見えることが多いのですが、光の当たり方によって色が変わって見えることもあるため、「五色湖」とも呼ばれます。
御釜
- 住所
- 宮城県蔵王国定公園内
- 営業期間
- 4月下旬~11月初旬
- 営業時間
- 7:00~17:00(蔵王ハイライン料金所)
- 定休日
- 11月初旬~4月下旬は見学不可(蔵王エコーライン、蔵王ハイライン閉鎖のため)
- アクセス
- JR「白石」駅から車で約1時間
「蔵王山頂レストハウス」でお土産を購入
蔵王ハイラインの終点「蔵王刈田岳山頂駐車場」の目の前には、「蔵王山頂レストハウス」があります。休憩所やレストラン、軽食コーナーが備わっているので、御釜見学の前後の休憩にぴったりです。
宮城県と山形県の県境に位置しているため、売店では両県の特産品が販売されています。宮城らしい牛たんフレーバーのスナック菓子や、山形らしいさくらんぼ味のスイーツなど、バラエティ豊か。
サクマ製菓のキャンディーは、ドライブ旅行のお供として人気の商品。宮城限定の「ずんだみるく」(390円)と山形限定の「さくらんぼみるく」(390円)は、どちらも懐かしさのあるやさしい甘さです。
お菓子だけでなく、雑貨類も豊富にそろいます。「東北バッグ」(770円)は、東北各地の名産が描かれた鮮やかなカラーのバッグ。SNSを通じて人気が高まり、海外からの観光客を中心に好評なのだとか。
ちなみに、「蔵王山頂レストハウス」は施設全体でクレジットなどキャッシュレスでの支払いは不可。訪れる際は現金を持って行きましょう。
蔵王山頂レストハウス
- 住所
- 宮城県蔵王国定公園内
- 開館期間
- 4月下旬~11月初旬
- 開館時間
- 9:00〜16:30(ファーストフードコーナーは9:45~16:00)
※天候により変更の場合あり - 定休日
- 開館期間中は無休
- アクセス
- JR「白石」駅から車で約60分
歴史、自然、グルメと、さまざまな楽しみがある宮城県・白石市。近くの蔵王エリアも含めて素敵な温泉や宿泊施設も点在しているので、ぜひ宿泊してその多彩な魅力を満喫してみてください。
取材・文/星 マチコ 撮影/猪股 千春
