匠の技と駿河の恵みを堪能。静岡・丸子の宿「工芸ノ宿 和楽」で心満たされる旅

客室サウナの茶ロウリュでととのう。静岡「泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽」

東海道五十三次の宿場町「丸子宿」の面影を残し、歴史と自然を楽しめる静岡県静岡市の丸子(まりこ)エリア。のどかな山里の空気を感じながら、静岡に伝わる匠の技術を堪能できる宿が「工芸ノ宿 和楽」です。

客室やフロントは、駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)やお茶染めなどの伝統工芸品で彩られ、繊細な美が息づく上質な空間。プライベートサウナを備えた別邸では、静寂に包まれながら心ほどける時間を過ごし、夜は地元の旬魚をふんだんに使った名店「Simples」でのディナーを堪能します。

歴史と自然、そして匠の技が織りなす「和楽」で、静岡ならではの上質な滞在を体験してみませんか。

 

目次

 

アクセス

古民家をリノベーションした宿へ

客室サウナの茶ロウリュでととのう。静岡「泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽」

「工芸ノ宿 和楽」は静岡市駿河区丸子の山あいの里“泉ヶ谷(いずみがや)”にたたずむ、懐かしさの中に洗練されたセンスが光る8室限定の宿。古民家をリノベーションした建物が特徴で、フロント棟にある3室と別邸5室のスモールラグジュアリーな施設となっています。

 

工芸ノ宿 和楽

アクセスは静岡駅より車で約15分。公共交通機関を利用することも可能で、静岡駅からバスに乗って約30分で最寄りのバス停「吐月峰駿府匠宿入口」に到着します。静岡駅へは東京駅から新幹線で約1時間と、都心からもほどよい距離感で、週末の小旅行にもぴったりです。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

フロント棟は、築50年以上の歴史を持つとろろの老舗店と民宿をリノベーション。細く割いた竹を使って繊細な模様を作る「駿河竹千筋細工」の照明や、俯瞰で見た茶畑を表現したお茶染めのパネルなど、静岡ならではの工芸品が飾られています。別邸に宿泊する場合も、お茶をいただきながらこのフロントでチェックインします。

 

客室

別邸「土間 DOMA」

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

今回宿泊したのは、別邸「土間 DOMA」。フロント棟から徒歩5分ほど離れた、宿泊者だけが入れるエリアにあります。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

全5室の別邸はすべて一棟貸し。門で区切られていて、プライベート感のある滞在が叶います。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

さまざまな古民家を生かして改装しているため、客室それぞれに異なるレイアウトが魅力。「土間 DOMA」はその名の通り、長い土間が大きな特徴となっています。

目を引くのは、同じ丸子エリアにある北欧家具店から仕入れたという「Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)」のスワンチェア。モダンなデザインが加わることで、日本家屋の美しさがいっそう際立ちます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「土間 DOMA」は築100年を越える甘味処をリノベーション。当時使われていた家具の一部を修復し、今も客室に残しています。リビングの窓の向こうには甘味処時代から受け継がれた木々や花々がそっと佇み、腰を落ち着けるだけで心もほっとする空間です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

お着き菓子として用意されているのは、隣接の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿(たくみしゅく)」内にある「蓬(よもぎ)きんつば ときや」のきんつば。きんつばといえば四角く白っぽいものが一般的ですが、静岡では丸い形に仕立て、よもぎを練り込むのが特徴です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

室内に置かれたドリンクにも、静岡ならではのこだわりが光ります。静岡県産の緑茶をはじめ、「駿府の工房 匠宿」にある「The COFFEE ROASTER」の自家焙煎コーヒーなど、多彩な味わいを楽しめます。

なかでも注目は、丸子紅茶の「紅富貴(べにふうき)」。丸子は国産紅茶発祥の地として知られ、紅富貴の澄んだ紅色と深い香りは、まさに特別な一杯です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「土間 DOMA」は広さ約60.8平米で、寝室とリビングが分かれています。ベッドのヘッドボードにあしらわれているのは、曲線が見事な駿河竹千筋細工です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

室内着は、静岡県浜松市に伝わる「浜松注染(ちゅうせん)染め」の生地を使用した甚兵衛(じんべえ)。静岡市で1937年に創業した老舗「mizutori」の下駄も用意されています。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

お茶染めの小さなトートバッグは、宿泊者へのうれしいプレゼント。温浴施設「ふきさらし湯」へ行く時などにも便利です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

長い土間から見える坪庭も、この客室ならでは。古いガラス戸が和の風情を演出します。

 

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

土間の先には、プライベートサウナとヒノキ風呂を備えています。ヒノキ風呂には温浴と水風呂の2種類があり、さらに外気浴スペースも併設。思い思いのスタイルでリフレッシュを楽しめます。プライベートサウナとヒノキ風呂は、別邸5室すべてに備わっています。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

静岡のお茶でロウリュを楽しめるのも、「和楽」の魅力。香ばしいお茶の香りが立ちのぼる「茶ロウリュ」は、心と体を包み込むような心地よさ。サウナの温度はあらかじめ最適に設定されていますが、自分好みに調整することもでき、この特別なサウナを目当てに訪れる宿泊者も多いのだとか。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

バスアメニティは、静岡のオーガニックコスメブランド「オルモニカ(ORMONICA)」。シャンプー、トリートメントはシトラス&ハーバルブレンドの香りで、天然精油のアロマとともにうるおいあふれる髪へと導きます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

クレンジングオイル、化粧水、保湿乳液、保湿クリームも用意されています。採用されているのは、世界的ブランド「shu uemura(シュウ ウエムラ)」の創業家が手がける「UTOWA(ウトワ)」の保湿スキンケアライン〈MLシリーズ〉です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

洗面台にも、静岡の職人技が息づいています。「静岡挽物(しずおかひきもの)」と「駿河指物(するがさしもの)」の技術を生かした木のコップ、ヘアアイロンとドライヤーが入ったお茶染めの袋、漆のうちわなど、上質な工芸品を実際に使いながら楽しめます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

お風呂やサウナで汗を流したあとは、冷たいドリンクでひと息。

冷蔵庫の飲み物はすべて無料で、「匠宿」にあるブルワリー「静岡醸造」のクラフトビールも味わえます。地元の素材を使ったジェラートを、お風呂上がりに食べるのも幸せ!

 

別邸「楽 RAKU」

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

宿の名前「和楽」は、1963年(昭和38年)に創業した民芸店に由来します。その民芸店の建物をリノベーションした客室が、別邸「楽(らく)RAKU」。存在感のある太い梁や、天井から吊るされた照明は当時のままで、歴史の趣をそのまま感じられる重厚な空間です。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「楽 RAKU」は約87.5平米のメゾネットタイプ。1階に2台、2階に2台ベッドが置かれており、グループやファミリーでの利用におすすめです。

 

体験

初心者でも楽しめる、静岡の伝統工芸づくり

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

お部屋でひと休みした後は、隣接の「駿府の工房 匠宿」へ。日本最大級の伝統工芸体験施設で、和楽の宿泊者は「工芸体験クーポン」を使って静岡の伝統工芸を体験できます。

無料で体験できるのは、駿河竹千筋細工「ペン立て こはる」、染めものの「藍染バンダナ」、木工指物(もっこうさしもの)の「木のお箸」、陶芸の「手びねり」、漆芸の「粉貝箸(ふんがいばし)」の5種類の中から1つ。

ちなみに、ほかの体験メニューを選ぶ場合は2,000円引きクーポンとして利用可能。また、体験ではなくショップでの商品購入の際にも1,000円引きクーポンとして使えます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

選んだのは、駿河竹千筋細工「ペン立て こはる」の組み立て体験。駿河竹千筋細工は、江戸時代に東海道を行き交う大名や旅人の間で評判となり、駿府の特産品として知られるようになった伝統工芸です。この体験ができるのは、「匠宿」だけ。空いていればすぐに参加できますが、事前予約がおすすめです。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

駿河竹千筋細工がほかの竹細工と異なるのは、角のない丸ひごを使うこと。これは、江戸時代にお殿様へ献上した虫かごや鳥かごの中で、生き物が傷つかないよう配慮されたことに由来しているのだそう。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「和楽」では、 「匠宿」内にある「The COFFEE ROASTER」のドリンクチケット(600円分)をもらえる宿泊プランも用意。

「The COFFEE ROASTER」は、焙煎士(ばいせんし)がこだわり抜いた豆を、職人が手がけたカップで味わえるカフェ。コーヒーのほか、隣接する「静岡醸造」のクラフトビールも楽しめます。営業時間は10:00〜17:30(ドリンクL.O. 17:00)なので、チェックアウト後に立ち寄るのもいいですね。

 

夕食

駿河湾の恵みを、無国籍スタイルで味わう

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

ディナーは、「和楽」から歩いてすぐの場所にあるレストラン「Simples」へ。豊かな駿河湾で獲れた天然の地魚を、ジャンルにとらわれない無国籍スタイルで味わえます。

シェフの井上靖彦さんは、フランスやイタリア、ブラジル、中東など、世界各地の調理法を自在に取り入れながら、“日本的であること”を大切にし、静岡の食材を生かして静岡の文化を感じられる一皿を生み出しています。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

店内はオープンキッチンになっており、井上シェフが仕上げた料理は、数秒後にはカウンター席のゲストのもとへ。丸子の穏やかな自然に溶け込む平屋の空間で、まるで舞台のように美食のショーが繰り広げられます。ここでしか味わえない、特別なひとときです。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「Simples」の大きな特徴は、静岡・焼津に本店を構える名店「サスエ前田魚店」から仕入れた魚を使っていること。五代目店主の前田尚毅(まえだなおき)さんは“魚の天才”と呼ばれ、国内外のトップシェフから絶大な信頼を集める存在です。その前田さんが選び抜いた魚が、「Simples」のコースの主役を務めます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

コースは日替わりで、この日並んだ13皿のうち9皿が魚介を使ったもの。メニューには食材名だけが記されており、例えば「鯵(あじ)」の一皿には、スタッフが山で採った山椒を使ったオイルをかけ、上にはよもぎの素揚げがあしらわれていました。

鯵は生きたまま港に届いたものを店で締め、最適な状態に仕立てているそう。臭みはまったくなく、鯵本来の旨みを山椒とヨモギの香りとともに堪能しました。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
活け締めした「甘鯛」をビールを加えた衣で揚げ、中東のスパイス「デュカ」と甘鯛のウロコをトッピング
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
皮目をしっかりと焼いた「ニベ」を、ブラジルのシチュー「ムケッカ」風に味付け。アマゾン地方の発酵ソース「トゥクピー」を添えて
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

コースの中で唯一の肉料理は、「キタノあか牛」のグリル。使用しているのは、滋賀・草津にある熟成肉の名店「サカエヤ」の牛肉です。店主・新保吉伸(しんぽ よしのぶ)さんが丁寧に仕立てた経産牛を、井上シェフが絶妙な火入れで焼き上げています。

一般的に経産牛は硬いとされますが、「サカエヤ」の肉は驚くほどやわらかく、噛むほどに旨みが広がる上質な味わいでした。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

通常ならデザートで締めくくるところですが、「Simples」ではここで再び“魚”へ。最後の一皿は、自家製XO醤をのせた「カサゴ」のポワレと、穂紫蘇(ほじそ)が爽やかに香る「鮑(あわび)」のリゾット。

名店から届く新鮮な魚介を、井上シェフの独創的な一皿で心ゆくまで味わいました。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
ブラジル・アマゾン原産の「バルゼアカカオ」を使ったアイス
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
スポンジ生地を合わせて焼き上げた、ブラジル風プリン「プヂン」

 

朝風呂

自然と一体になる、開放的な里山の湯処へ

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

障子越しのやわらかな光に包まれて、心地よく目覚めた翌朝。鳥のさえずりを聞きながら里を歩き、「ふきさらし湯」へ向かいました。手組みの丸太工法で造られた、木の温もりあふれるお風呂からは山々を望むことができ、開放的な気分で湯浴みを楽しめます。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

「ふきさらし湯」のお風呂とサウナの入浴料金は平日1,300円、土・日・祝日1,500円ですが、「和楽」の宿泊者はタオル付きで無料。サウナにはフィンランドの「HARVIA(ハルビア)」製ストーブを採用し、ラベンダーなど日替わりの香りがロウリュの蒸気とともに広がります。

 

朝食

おでん、とろろ汁、桜エビ。静岡名物を丸っと味わう

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

朝食は、「和処 若松」で静岡の味覚をゆっくりと。古民家を改装した店内には葛飾北斎の「冨嶽三十六景」が飾られ、落ち着いた雰囲気が漂います。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

小鉢が彩りよく並ぶ和食御膳には、シラスや桜エビのオイル漬け、静岡市本山の地で栽培された「ほんやま自然薯」のとろろ汁、富士山サーモンの塩麹焼きなど、静岡の恵みがぎゅっと詰まっています。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽
泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

注目は、黒いだしが特徴の「静岡おでん」。濃口醤油をベースにじっくり煮込まれており、かつお節や昆布を合わせただし粉や、からしを添えて味わいます。

デザートには静岡県産抹茶のアイスも。静岡の名物を一度に堪能できる、満ち足りた朝のひとときでした。

 

泉ヶ谷 工芸ノ宿 和楽

古民家を改築した空間で静岡の伝統工芸品に囲まれながら、心安らぐ時間を過ごせる「工芸ノ宿 和楽」。隣には職人の技に触れられる「駿府の工房 匠宿」があり、徒歩圏内には庭園が美しい「吐月峰柴屋寺(とげっぽう さいおくじ)」も。都会の喧騒を離れ、心を鎮めながら、静岡の伝統美と美食を味わう旅へ出かけませんか。

 

工芸ノ宿 和楽

住所
静岡県静岡市駿河区丸子3375-1
アクセス
静岡駅より車で約15分
チェックイン
15:00
チェックアウト
11:00
客室数
8室
駐車場
あり(無料)

 

取材・撮影・文/小浜みゆ

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