冬の空気が深まり、外の冷たさと室内の温かさを行き来する季節になりました。この温度の変化は、知らないうちに自律神経や睡眠の質、肌のゆらぎに影響を与えることがあります。だからこそ冬は、湯のぬくもりやサウナの熱、外気の冷たさなど、温度の移ろいをゆっくり味わう時間が心身の負担をそっと軽くしてくれます。温と冷を丁寧に往復することで、呼吸が深まり、巡りが静かにととのっていきます。旅先だからこそ感じられる、この季節ならではの養生の感覚です。
今回は、冬の体に寄り添いながら温度の移ろいを心地よく味わえる3つの宿を、全国各地のサウナを旅するしきじの娘・笹野美紀恵さんがご紹介します。
益子温泉 益子舘 里山リゾートホテル(栃木県・益子町)
里山のぬくもりを感じる、冬のととのい時間
里山に寄り添うようにたたずむ「益子舘 里山リゾートホテル」は、外の冷たさと湯のぬくもりの差をやわらかく受け止められる宿です。温泉は、ナトリウム・カルシウム硫酸塩泉と塩化物泉が合わさった温まりの湯。弱アルカリ性の湯が肌をほぐし、保湿力の高い塩化物泉が湯冷めを防いでくれます。冬の乾いた空気の中でも、湯上がりのしっとりとした感覚が長く続き、身体の芯までじんわり温まっていきます。
サウナは約85〜90℃の高温サウナで、セルフロウリュに対応。湿度を自分のペースで調整できるため、冬特有の熱のきつさがやわらぎ、呼吸が静かにととのっていきます。横になれるサウナでは、体の上下の温度差が少なくなり、足元の冷えが気になる季節でも深部から無理なく温められるのがうれしいところです。クールダウンは、男性は水深1.1mの深水風呂を、女性は足元だけ浸けられる水風呂を用意。冷たさが苦手な方でも、温度差の刺激をゆるやかに取り入れられます。
滝の音が届く露天エリアでの外気浴は、澄んだ空気と細かな水霧の気配が寄り添うように心を静めてくれ、温かさと冷たさの往復で自律神経が少しずつほぐれていくのを感じられます。
さらに、益子舘は「里山の食」も魅力のひとつ。栃木県の地産地消推進店第一号に認定されており、地元の生産者が育てた野菜や、とちぎ和牛などの食材を使った里山会席がいただけます。
笹野さん:横になれるサウナは、冬に乱れやすい深部体温の差をゆっくりととのえてくれます。足先まで温まりやすく、呼吸が深まるので、養生の時間にとても向いています。
益子温泉 益子舘 里山リゾートホテル
- 住所
- 栃木県芳賀郡益子町益子池下243-3
- 総部屋数
- 58室
- アクセス
- 【電車】真岡鉄道「益子」駅より車で約5分
【車】北関東自動車道「真岡」ICから車で約20分、「桜川筑西」ICから車で約15分
草津温泉 ホテルクアビオ(群馬県・草津温泉)
高原の静けさに包まれる、冬のリセットステイ
草津の高原にたたずむ「ホテルクアビオ」は、冬の冷たい空気と、湯やサウナの温かさをゆるやかに往復しながら、心身を静かにととのえられる宿です。標高1,200mの澄んだ空気が広がる環境は、冬ならではの清らかさがあり、自然と呼吸が深くなるような静けさがあります。
浅間山を望む半露天風呂では、冬の澄んだ空気とやわらかな湯気が重なり、心の奥までゆっくり澄み渡っていく時間が流れます。温泉は、草津特有の強い酸性が肌を清潔にととのえ、湯上がりはすっと軽くなるような入り心地が特徴です。重たさを残さず、体の巡りが静かにととのっていくような感覚があり、サウナ後の余韻にも自然に寄り添います。
サウナは約95℃のフィンランド式サウナで、セルフロウリュが可能です。アロマ水で湿度を調整できるため、熱の角がやわらぎ、冬の乾燥で呼吸がつらい日でも無理なく入れるのが魅力。水風呂は高原の冷たい水を使った約14℃前後で、きりっと引き締まる感覚が心地よく、外気浴へ向かう流れをやさしくととのえてくれます。
外気浴は半露天の縁に腰かけてゆったりと。高原の冷気は軽やかで、温かさと冷たさの行き来が自然と呼吸を深め、冬に乱れやすい自律神経をゆっくり落ち着かせてくれます。
そして、ホテルクアビオの特長は内側からの養生。玄米や季節の野菜を中心としたマクロビオティックの食事や、専門指導のもと行うファスティングプログラムなど、体の声に耳を澄ませる滞在ができます。冬に溜まりやすい重さをそっと手放し、必要なものだけを丁寧に取り入れる食の時間は、ここだからこそ味わえる体験です。
笹野さん:草津の湯は、体に残る熱が重たくならず、温まったあとの呼吸がすっと軽くなるのが特徴です。冬の冷たい外気とも相性がよく、温と冷の行き来を気持ちよく受け止められます。
草津温泉 ホテルクアビオ(Hotel KURBIO)
- 住所
- 群馬県吾妻郡草津町草津226-63
- 総部屋数
- 10室
- アクセス
- 【電車】JR「長野原草津口」駅よりバスにて約25分、草津バスターミナルで下車し徒歩約13分(送迎あり)
仙石原古今(神奈川県・箱根)
静けさの中で、温と冷をゆっくり味わうプライベートスイート
仙石原の森に静かに溶け込むようにたたずむ「仙石原古今」は、冬の体が求める温と冷の移ろいを、自分のペースでゆっくり味わえるスモールラグジュアリーホテルです。全5室すべてがスイート仕様で、客室には温泉・サウナ・水風呂がそろい、外気に触れずにととのいの動線が完結する造りになっています。
客室のお風呂には、大涌谷温泉(期間により宮城野温泉の単純泉)を引き入れています。湯あたりがやわらかく、体を包むように温めてくれる湯で、冬特有の強張りをほどきながら、深部までじんわりと温まっていきます。
サウナは90〜95℃ほどの十分な熱さ。セルフロウリュに対応しているため、湿度をその日の体調に合わせてととのえられます。すぐ隣には冷たさを調整できる水風呂があり、冷たすぎる刺激が苦手な方でも、無理のない温冷の切り替えができます。ととのいは、客室の窓際やテラスへ。森を眺める静かな空間で、外の寒さに触れすぎず、室内の心地よい温度の中で呼吸がゆっくり深まっていきます。温泉・サウナ・水風呂のすべてがプライベートな空間で完結するからこそ、冬の温度差に振り回されない、静かな巡りの時間が流れていきます。
食事は、地産地消を掲げたモダンフレンチ。箱根の食材を中心にしたコースは、味付けも重たすぎず、温泉やサウナでととのえた体を内側からやさしく支えてくれます。
笹野さん:地元食材とサウナ体験が見事に調和しています。氷見牛の美味しさと、薪サウナのぬくもり。どちらも、ととのうを感じられる宿です。
仙石原古今
- 住所
- 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245-280
- 総部屋数
- 5室
- アクセス
- 【バス・電車】箱根登山バス「パレスホテル前」、または箱根登山鉄道「姥子」駅から車で約3分
冬の旅では、ふだんの暮らしでは意識しない小さな変化に気づけることがあります。湯に包まれたときの緩み方や、熱と冷たさを行き来したあとの静かな呼吸など、そのひとつひとつが、季節に寄り添いながらととのっていく感覚を穏やかに思い出させてくれます。
今回の3つの宿は、そんな冬ならではの心地よさをゆっくり味わえる場所ばかりです。深まる季節の中で、自分のペースで過ごせる時間を見つけに出かけてみてください。

