昨今、新たなアクティビティとして注目を集めているサイクリング。レンタサイクルサービスの普及が進むとともに、電車で持ち運びしやすいグッズやサイクリスト用の宿なども年々増えてきています。
首都圏からサイクリングに行くなら、観光もできる茨城県の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」がおすすめ。都心から約1時間でのアクセスが可能です。ここでは、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の初心者でも安心して走行できる起伏の少ないコースをピックアップし、途中で立ち寄れる観光スポットやグルメ、絶景スポット、サイクリストにやさしい宿などをモデルコースで紹介します。
茨城県南部の自然と文化をサイクリングで楽しむ
2016年11月に開通した「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、茨城県南部にあるサイクリングコースです。
2019年11月には日本を代表するサイクリングルートとして、滋賀県の「ビワイチ(琵琶湖一周)」や広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道サイクリングルート」とともに、国土交通省によってナショナルサイクルルートとして指定されました。
道中の景観美も大きな特徴で、筑波山地域から霞ヶ浦、水郷地域の豊かな自然や文化的資産など、地域のさまざまな魅力に触れることができます。
全長は約180キロメートル。長い道のりですがその中には多彩なルートが用意され、初心者が気軽に挑戦できる数十キロメートルのコースもあります。
伝説の旧路線を走る40キロメートルの「旧筑波鉄道コース」
中でも、今回紹介する「旧筑波鉄道コース」は、JR「土浦駅」からJR「岩瀬駅」間を走る約40キロメートルのコースです。
大正時代の1918年から1987年まで、69年間運行されていた旧筑波線(筑波鉄道筑波線)の廃線敷を利用しているため、車の通行がない道であることもポイント。
道中にはかつてのホームを活用した休憩所なども点在しており、初心者でも安心して走れるコースとなっています。
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のモデルコース
今回紹介するモデルコースのスタート地点は、JR「土浦駅」とJR「岩瀬駅」のどちらにも設定できますが、今回はJR「土浦駅」周辺を起点に北方面へ向かうコースをご紹介。
土浦まで電車で行くならJR「土浦駅」から、車で行くなら無料駐車場がある「りんりんポート土浦」からのスタートが便利です。
起点までのアクセスに電車を使うなら「土浦駅」へ
「土浦駅」南部までは、JR「東京駅」から上野東京ライン(品川→常磐線)を利用すれば、乗り換えなしで約1時間15分で到着します。
なお、土浦駅直結の「プレイアトレ土浦」には、サイクリスト向けのサービスをワンストップで提供している「りんりんスクエア土浦」や、自転車を楽しめるホテル「星野リゾート BEB5土浦」もあります。
車で行くなら無料駐車場が充実した「りんりんポート土浦」へ
「土浦駅」から北西へ約4分の場所にある「りんりんポート土浦」は、100台の無料駐車場を備えた施設。車でアクセスする場合はここを起点にすると非常に便利です。
休憩スペースがある施設内には、自動販売機なども完備。また、自転車のメンテナンススペースやシャワー室など、サイクリストにとってうれしいサービスもそろっています。
りんりんポート土浦
- 住所
- 茨城県土浦市川口2-13-25
- 開館時間
- 9:00~18:00(駐車場は5:30から利用可能)
- 休館日
- 2025年12月29日~2026年1月3日 ※駐車場も利用不可
- 料金
- 入場無料※シャワー室の利用は30分200円
- アクセス
- 【電車】JR「土浦」駅からバス停「りんりんポート土浦入口」下車、徒歩すぐ
【車】常磐自動車道「桜土浦」ICから約20分 - 詳細
- りんりんポート土浦
加えて、事前のweb予約でレンタサイクルも利用可能。マイ自転車を持っていない人や、電車や車で持ち運びができない人は、ここで借りて行きましょう。ロードバイク、Eバイク、ジュニアクロスバイク、タンデム自転車など種類も豊富です。車種によって金額なども異なるため、詳細は公式サイトをチェックしてみてください。
週末は予約が埋まることも多いので、早めに押さえておくのがベターです。
ラクスマリーナ
- 住所
- 茨城県土浦市川口2-13-6
- 営業時間
- 9:00~16:00(貸出は9:00~14:00、返却は14:00~16:00で対応)
- 定休日
- 水曜
- アクセス
- 【電車】JR「土浦」駅からバス停「りんりんポート土浦入口」下車、徒歩すぐ
【車】常磐自動車道「桜土浦」ICから約20分 - 詳細
- つくば霞ヶ浦りんりんロード 広域レンタサイクル予約システム
休憩できて資料の展示案内所もある「小田城跡」
自転車に乗り換えたら、まず目指したいのが「小田城跡」。「土浦駅」や「りんりんポート土浦」から自転車で約1時間と、最初の目的地としてちょうどいい距離にあります。
2022年に放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に登場した、有力な御家人13人のひとりである八田知家(はったともいえ)が、1185年に築城したとされるお城の跡地です。
時代に翻弄され最終的には佐竹氏の城となり、関ヶ原の戦いのあとに廃城したといわれています。
1935年に国の史跡に指定されたこの城跡の面積は21万7000平方メートルと広大。
かつては、小田城の本丸跡を斜めに貫くように筑波線の線路が敷設されていましたが、現在は本丸を迂回するように「つくば霞ヶ浦りんりんロード」が敷かれています。
東屋やベンチもあるので、疲れた時はすこし休憩していきましょう。
ここから徒歩数分の場所には、資料などが展示された「小田城跡歴史ひろば案内所」もあり、歴史やお城好きの人にとっても、見逃せないスポットです。
小田城跡
- 住所
- 茨城県つくば市小田2377
- 営業時間
- 24時間(※小田城跡歴史ひろば案内所 9:00~16:30 月曜定休)
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【電車】JR「土浦」駅から「小田」停留所下車後、徒歩約10分
【車】常磐自動車道「土浦北」ICから約15分
雄大な紫峰を撮るならここ「筑波山フォトスポット(つくば市漆所)」
サイクリングを存分に満喫できるよう整備された「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、走行中の景観の撮影も楽しめるよう、随所に公式のフォトスポットが点在しています。
そのひとつが北東に筑波山を望む位置に設けられた「筑波山フォトスポット(つくば市漆所)」。「小田城跡」から自転車を15~20分ほど走らせた場所にあります。筑波山はルート上のさまざまな場所から眺められますが、やはり公式のロケーションは格別です。
撮影用のエリアが本線の横に路肩として用意されているので、撮影中に人の通行を気にする必要はありません。また、自転車を立てかけられるサイクルラックが設置されているのも安心。
ぜひ、足を止めてゆっくり景色を眺めたり、思い出に残る一枚を撮ったりしてみてください。
筑波山フォトスポット(つくば市漆所)
- 住所
- 茨城県つくば市漆所399
- 営業時間
- 24時間
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【電車】JR「土浦」駅からバス停「杉木」下車すぐ
【車】常磐自動車道「土浦北」ICから約35分
名店譲りの手打ち式が絶品「松屋製麺所」
運動してお腹がすいたら「松屋製麺所」へ。手打ち式中華麺の製麺所ですが、有料試食として店内でラーメンを食べることもできます。
朝7時から営業しており、モーニングでもランチでも立ち寄れるお店です。
大正時代に建てられ、長年営業していた土産店「松屋」を改築し、現店主が2015年に開業しました。
店主には、注文ごとに粉から製麺する打ち立てラーメンのパイオニアとしても知られる東京の有名店「麺や七彩」グループで修業を積んだ経歴が。「松屋製麺所」の麺は、そのとき学んだ製麺の知識や技術が十分に生かされています。
ラーメン雑誌の茨城エリアで殿堂入りを果たしたり、雑誌のお取り寄せ企画でグランプリに輝いたりと、県内屈指の人気店でもあります。
製麺所とあって、店内では中華麺(スープ付・2食入り650円~)の購入も可能です。中でも数種類の麺やスープを選べる5食入りのお得なセット(900円~)は見逃せません。
トッピングのメンマ(100グラム入り・700円)やチャーシュー(10枚~・700円~)も販売されているので、併せて購入すれば家でも本格的なラーメンが食べられます。
お店の場所はかつての筑波線「筑波駅」、現在の「筑波山口」停留所のすぐ目の前。「筑波山フォトスポット(つくば市漆所)」から自転車で約10分です。
旧ホームは「つくば霞ヶ浦りんりんロード」公式の「筑波休憩所」にもなっているので、食後はこちらで、まったりひとやすみしていきましょう。
松屋製麺所
- 住所
- 茨城県つくば市沼田300
- 営業時間
- 7:00~17:00(試食部は不定休で昼前に終わることもあり)
- 定休日
- 水曜
- アクセス
- 【電車】JR「土浦」駅からバス停「筑波山口」下車すぐ
【車】常磐自動車道「土浦北」ICから約30分 - 公式サイト
- 松屋製麺所
県唯一の重伝建地区「真壁」の城下町を散策
平安時代から戦国時代にこの地を治めていた真壁氏の城下町に起源を持つのがこの「真壁の町並み」と呼ばれる歴史的な街景。
かつての筑波線「真壁駅」はこの町中にあり、現在は「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の「真壁休憩所」となっています。「松屋製麺所」から自転車で約30~40分と、食後の運動にぴったりな距離です。
真壁氏は関ヶ原の合戦後の1602年、十九代目当主の真壁房幹(ふさもと)が家臣として佐竹氏の配下となり、秋田・角館へ移封。
やがて江戸時代となり、1606年に真壁の初代藩主となったのは、豊臣秀吉や徳川家康に重用された浅野長政でした。現在も続く町割りは、長政とその子・長重によってつくられたといわれています。
真壁は明治、大正時代もこの地の文化や産業の中心地として栄え、隆盛を誇った商家の主たちが次々と蔵や門などを建設。市街地には今も300余棟の見世蔵、土蔵、門などがあり、茨城県唯一の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
町内には真壁城跡や、無料で入れる歴史資料館「真壁伝承館」などもあり、旧城下町の散策以外にも随所に歴史を学ぶことができるスポットが点在。
またこの地は「真壁のひなまつり」が晩冬から春にかけての風物詩となっているうえ、桜川市という地名にもあるように、桜の名所が多数点在しているエリアです。春のサイクリングスポットとしても、ぜひ立ち寄りたいですね。
真壁休憩所
- 住所
- 茨城県桜川市真壁町古城78-6
- 営業時間
- 24時間
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【電車】JR「岩瀬」駅からバス停「真壁城跡」下車、徒歩約5分
【車】北関東自動車道「桜川筑西」ICから約20分 - 詳細
- サイクリングいばらき
「つくばぷりん ふじ屋」の絶品スイーツでエネルギーチャージ!
スタート地点から2時間ほど自転車をこいで疲れた体には、甘いスイーツでエネルギーチャージしましょう!
歴史的建造物が並ぶ真壁の旧城下町からも近くにある「つくばぷりん ふじ屋」は、大通り沿いの広い駐車場にサイクルラックが設置されている、サイクリストにぴったりのお店です。
店名にもある通り、もちろん名物はプリン。
ソムリエでもある地元出身のシェフパティシエが、食品添加物に頼らず、茨城県産の食材を中心に使って生み出したおいしさが魅力です。
中でも要となるのが、特別配合された天然由来100%の飼料で育つ鶏の「奥久慈卵」と、筑波山麓で育つ牛から搾った甘いミルク。
新鮮素材による作りたてのプリンは季節限定などを含めて数種あり、店頭にずらりと並んでいます。
中でも、一番の人気は、黄金色のように濃厚な卵黄にちなんで名づけられた「ゴールドぷりん」(399円)。卵黄を25%とたっぷり使っており、リッチでコク深いぜいたくな美味しさと滑らかな舌触り、濃厚な牛乳の相性が抜群です。
店頭でしか食べられない「ぷりんソフト」(577円)は、サイクリストから圧倒的な支持を得ている商品なのだとか。
プリンと相性抜群のミルキーなソフトクリームが「ゴールドぷりん」に載せられています。セットの特製カラメルをかければ、さらに新感覚のスイーツに。走行で疲れた体に甘さと冷たさがしみわたります。
「茨城のおみやげ品部門」最高金賞など数々の栄誉に輝き、TVなどでも何度も紹介されている「つくばぷりん ふじ屋」のスイーツを、ここまで走ってきたご褒美に味わっていきましょう。
つくばぷりん ふじ屋
- 住所
- 茨城県桜川市真壁町飯塚113-1
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 火曜
- アクセス
- 【電車】JR「岩瀬」駅からバス停「上宿」下車、徒歩約10分
【車】北関東自動車道「桜川筑西」ICから約20分 - 公式サイト
- つくばぷりん ふじ屋
田園風景と筑波山との対比が美しい「フォトビュースポット」
自転車を走らせていると、田園風景と筑波山の景色が見えてきました。
南方に筑波山を望む写真を撮るなら、「りんりんロード絶景フォトビュースポット(桜川市東飯田)」がおすすめです。
場所は真壁の旧城下町と「岩瀬駅」のほぼ中間地点。旧筑波線「雨引駅」を改築した「雨引休憩所」からは、直線距離で南に2キロメートル強進んだ辺りです。
周辺にはのどかな田園風景が広がっています。
時季によっては鏡のように光る水面やたわわに実る稲穂、黄金色に輝く麦畑などを見られるかもしれません。
雄大な筑波山を背景に、この地ならではの景観美を収められるのも、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の魅力です。
りんりんロード絶景フォトビュースポット(桜川市東飯田)
- 住所
- 茨城県桜川市東飯田1243
- 営業時間
- 24時間
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【電車】JR「岩瀬」駅からバス停「東飯田」下車、徒歩約15分
【車】北関東自動車道「桜川筑西」ICから約15分
ゴールの「岩瀬駅」前にはレンタサイクルスポットも
フォトスポットから30分ほど走れば、ゴールの「岩瀬駅」に到着です!
今回は「土浦駅」起点に、この「岩瀬駅」を終点として紹介しましたが、逆に「岩瀬駅」からスタートするコースもOK!
駅前には「岩瀬休憩所」のほか、広域レンタサイクルの貸出返却拠点となっている「高砂旅館」もあります。
なお、「ラクスマリーナ」で借りた自転車もこちらで返却可能。もちろん逆にこちらで借りたものを向こうに返却するのもOKです(要事前web予約)。
ここから土浦まで電車で戻る場合は、JR水戸線で「友部駅」からJR常磐線に乗り換えて「土浦駅」へ向かうルートが最短。時間帯にもよりますが、乗り換えも含めて60~90分程度となります。
もし、電車に自転車を持ち込む場合は、折りたたんで専用の袋に入れるか、分解して輪行袋に入れる必要があるので注意しましょう。なお、広域レンタサイクルの自転車は分解できません。
サイクリストにやさしい宿泊スポット
最後は、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のサイクリング旅に最適な宿泊施設を紹介。
茨城県が認定する「サイクリストにやさしい宿」では、スポーツバイク対応の空気入れや工具の貸し出しなど、特別なサービスを用意しているので、愛車がある方はぜひ公式サイトを参考にしてみてください。
愛車を持ち込める部屋も魅力の「亀の井ホテル 筑波山」
筑波山の中腹にある「亀の井ホテル 筑波山」は、2024年7月6日にグランドオープンしました。多彩な部屋がそろうほか、7階には関東平野を見渡せるインフィニティ露天風呂があるなど、魅力満載の宿泊施設です。
加えて、茨城県の「サイクリストにやさしい宿」に認定されており、大切な愛車をホテル館内はもちろん、部屋にも持ち運ぶことができます。
特にサイクリストには、「スーペリアツイン サイクリングルーム」がおすすめの客室です。最大宿泊人数は3名で、自転車収納スペースを完備。
茨城県産を中心に、北関東の名物グルメを味わえるレストランや、カードゲームやジェンガなどをそろえた館内のゲームルームなど、魅力が随所に溢れるホテルです。そのほか、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の近くにはサイクリストにうれしい宿が点在しているので、コースや目的地に合わせて選んでみてください。
亀の井ホテル 筑波山
- 住所
- 茨城県つくば市筑波1050-1
- アクセス
- 【電車】つくばエクスプレス「つくば」駅から筑波山直行シャトルバスで約40分。バス停「筑波山神社入口」下車、徒歩約2分
【車】常磐自動車道「土浦北」ICから約40分 - チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 10:00
- 総部屋数
- 59室
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のサイクリングなら、手ぶらでも気軽に楽しめて、起伏も少なく長距離すぎず、初心者にも最適。グルメや絶景などを健康的に楽しみながらめぐる旅としても、おすすめのプランです。
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取材・文/中山 秀明 撮影/三原 久明


